• 中世ヨーロッパでは禁欲が当たり前だったの?
  • キリスト教会が性生活にまで規則を作っていたのは本当?
  • 中世ヨーロッパの性生活はどんなものだったの?

中世ヨーロッパ時代というとおとぎ話に出てくるようなお城や華やかな貴族、農民のおだやかな暮らしなどがイメージされるのではないでしょうか。

しかし、そんなおとぎ話のようなイメージと実際はかけ離れていた時代だったのです。

中世ヨーロッパでは、貴族、一般庶民に関係なくキリスト教会の教えが絶大な影響力を持っていました。

 

歴史の中で中世ヨーロッパの歴史、文化、習慣などは学校の授業でも触れられますが、性生活の詳しい実態までは触れられていません。

 

そこで今回は、中世ヨーロッパの性生活の実態について触れてみたいと思います。

中世ヨーロッパは国より教会が大事だった

キャラ

中世ヨーロッパの人々に共通していたキリスト教。

中世ヨーロッパの普通の人たちのキリスト教という価値観は、国よりも教会の方が大事でした。

 

読み書きを教わるのも、買い物をするのも教会。教会で青空市場が開かれていましたからね。

 

教会はトップだし、教皇は絶大な権力を持っていたのです。

 

中世ヨーロッパの貴族・一般庶民の暮らし

キャラ

中世ヨーロッパというと華やかなイメージがありませんか?

お城、修道院、馬車など思い浮かびますよね。映画でも舞台背景になることが多いです。

 

ロマン溢れる豪華絢爛な時代というイメージのある中世ヨーロッパの生活は、実際にどのような生活だったのでしょうか。

 

農民

土地を持たない農奴は、地主、領主、聖職者らの支配者が持つ直営地周辺に暮らして、働き、税金を納める必要があった。

その上さまざまな制約が課せられた。

素朴で穏やかな生活とは違って、決して楽なものではなかったのです。

 

都市の職業

都市部では鍛冶屋をはじめさまざまな職人や商人たちが生活をしていた。

ギルド=職人、商人が集う組織。

乞食を職業とする人たちもいたようです。

 

貴族の暮らし

城に住む貴族たちが豪華絢爛な生活を送っていましたが、意外と忙しい生活。

城の領主となれば責任者として、領地・配下の管理をしなければならないし、領内で起こった犯罪の裁判も執り行わなければならなかった。

食事も一般の人たちよりかなり豪華だったものの、大皿で運ばれてきた料理を手づかみで食べていたんだそうです。

 

ここまでで既にみなさんが持っている中世ヨーロッパのイメージと違っているかもしれませんが、性生活においてはもっと驚くことがたくさんありました。

 

中世ヨーロッパ、神の救済を信じる禁欲

 中世ヨーロッパの生活の中で意外と関心が高いのが、性生活についてです。

中世ヨーロッパの生活の中で、教会の影響力は性生活にも凄まじい介入をしていたようです。

キャラ

中世ヨーロッパにおいてキリスト教が最重要なものでした。

それは生活の中でも性生活に至るすべてにおいてキリスト教が介入していたのです。

 

それだけ、中世においてキリスト教の影響力が絶大なものだったということ。

 

どんな性生活を送っていたのか・・・ということを知る前に、キリスト教の影響力が想像を絶するほどの強さを持っていたことを覚えておきましょう。

 

キリスト教の教えの1つ「禁欲」

キャラ

禁欲というとどの程度を強いられていたのでしょうか。

それは、修道院にいる聖職者で例えると去勢をしている人も珍しくないほどで、現代の私たちの感覚で見ると完全に理解しがたい事実・・・。

 

なぜここまで禁欲にこだわりをもったのか疑問が湧きます。

 

禁欲的な規則正しい生活を送っていれば、”必ず来る最後の審判”で神によって救済されるから。

この教えを心から信じていたようです。中世ヨーロッパはかなーり迷信深い時代だったのです。

 

そんな禁欲が当たり前だった中世の性生活を知ると驚愕なものでした。

 

アンビリーバボーな性生活の実態

  • 「世間論序説 西洋中世の愛と人格」
  • 「西洋中世の男と女 聖性の呪縛の下で」
キャラ

中世ヨーロッパの人々の個人の人格などについてはこちらの書籍がとても勉強になりました。

中世のドイツ研究の大家、阿部謹也氏の著書。阿部謹也氏は、ヨーロッパにおける個人、人格についての研究をされていました。

 

中世ヨーロッパのセックス事情

キャラ

では、本題のセックス事情についてお話していきましょう。

基本的に教会が禁欲であったことは先ほどお伝えしました通りです。まず、基本的にセックス禁止!です。

 

恋愛禁止なアイドルみたいですが・・・禁止というレベルではなく犯罪レベルなのです。具体的に教義の中で男女の性的関係は罪であると規定していました。

 

男女の性的関係が罪になってしまったら、子どもが生まれないから人口は減り、人類は終わってしまうのでは?と考えられますが・・・例外もあり認められるセックスがあったのです。

 

男女の性的関係は罪

中世キリスト教の教義の元となったアウグスティヌス著書の「結婚の善」の中で明確に記されています。

(アウグスティヌスは後のキリスト教世界において絶大な影響力を与えた神学者)

 

「性行為は結婚した夫婦が子作りの目的のみにおいてしてよい」と。

 

それ以外のセックスはNG!罰せられます。

 

子作りのセックスならOK、しかし罰せられる行為がある

キャラ

教会は認めるセックスには、ルールも決められていました。

子作りのためのセックスなら例外で認められていたものの、そこにも具体的なルールがありました。

 

あくまでも「子作りのため」だったので、してもいいセックスと罪になってしまうセックスがあったということ。

 

 具体的な性行為におけるルール
 体位は正常位のみ
  •  教会が指定した正しい体位。
    欧米では現在、「Missionary position」呼ぶ。
 ペッティング、オーラルセックス禁止
  •  快楽のための行為だから
 後背位禁止
  •  野獣のような体位だから。
  • 違反すると40日の贖罪。
 アナルセックス
  •  子どもが産まれない行為だから。
  • 7年間の贖罪。
 口内射精
  •  3年の贖罪。
  • 習慣化している場合は7年の贖罪。
 オナニー・フェラチオ
  •  3年の贖罪
 レズビアン・女性のオナニー
  •  3年の贖罪。
 獣姦
  •  聖職者、一般人(未婚・既婚)で区別され罪の深さは異なる。既婚者の場合は未婚の倍の贖罪期間。

このような決まりがあったのです。

 

また、相手によっても刑罰が決められていました。

近親相姦に関する刑罰
母、または姉妹との性関係
  • 15年間の贖罪。
  • 日曜以外は服を着替えるのを禁止
兄弟とのホモセクシャル
  • 15年間の肉食禁止
息子とセックスをしようとした母
  • 3年の肉食禁止。
    その間、週1回の断食。
  • 父の未亡人
  • 父方のおじの未亡人
  • 姉妹との他の女性縁者
  • 父親と娘
  • 姉妹同士のレズビアン
  • 10年間の巡礼の旅。
    その間2年はパンと水だけの生活。

いかがですか?行為、対象相手によって刑罰の内容が異なっていますね。

 

10年間の巡礼の旅とか地味に凄いですよね。

 

性的媚薬にも罪

キャラ

禁欲を教えとしているのですから、性的媚薬も罪になります。

黒魔術的、呪術的な俗説、迷信がかなりはびこっていた時代だったので、女の子の日の女性の血を相手の男性に飲ませたり、体液、精液などに関する行為も罪に問われました。

例】夫の精液を食べ物に混ぜて夫に食べさせた妻

→2年間の贖罪。

これは精液に滋養強壮の効果があると信じられていたためです。

 

このような変わった趣向?は当時のゲルマン人にとって迷信、呪術的、黒魔術的な考えが広く浸透していました。

 

その他にも

妻の不妊が明らかな場合はセックス禁止
→出産の可能性がないセックスになるから

夫がED、または不妊の場合
→妻に離婚をして再婚する権利が与えられる

未婚者同士のセックスについては意外と寛大だったようです。しかし、処女とのセックスは罰せられていたようです。

 

青年が処女とセックス

→1年間の贖罪。妊娠していた場合は2年間の贖罪

この規定を見てみると、中世ヨーロッパでは「処女・独身・禁欲」というワードがかなり重要だったのです。

 

えっこれも罪になるの?!

キャラ

実は性生活の禁欲レベルはまだまだこんなものではありません!

ここから先はさらに酷いと言ってもいい決まりがあるんです。

 

妄想・夢精も罪

これは酷いですよね。実際に行為として行われていない、頭の中の妄想ですら罪になってしまうのです。

セックスをしたいと思っている
→パンと水だけの生活40日間の贖罪

・・・。だって、男なら街やテレビで可愛い子やキレイな女性を見かけたら、エッチしたいな~と思ったりすることあるでしょ?!

 

そんなことを考えたものなら、教会へ行って懺悔しないといけませんよ!

キャラ

しかも妄想にはもっと細かい決まりがあるんです。

寝る前にエッチな夢を見たいな~。夢精したいな~。と思って就寝し、翌朝夢精をした場合

  • 起きて詩編を7つ読む。
  • その日はパンと水だけで過ごす

ちなみに無意識での夢精ならセーフなんだそうです。ということは、エッチなことを考えること事態が罪ということ。

 

これを読んでいる男性のほとんどが中世に産まれていたら間違いなく贖罪の日々かもしれませんね。

 

また、「パンと水」という贖罪に耐えられない場合は、お金で罪を償うことができたんだそうです。教会にお金を払うんですね。

 

寄付という形ですが、パンと水だけで過ごす罰が一般的なのですから、経済もそれほど発達していないということでしょう。

 

そう考えるとお金で解決するのは一般的な人にとっては現実的に償う方法ではなかったでしょうね。

 

許されるセックスの条件

キャラ

してもOKなセックスについてまとめてみてみましょう。

教会によって細かいセックスルールが規定されていて結構複雑でした。OKなセックスについて簡単に抜粋してみました。

 

セックスの条件

  • 子どもが欲しくセックスしたい気持ちがある
  • 既婚者でありその相手が妻であること
  • 妻が妊娠中、生理中、授乳中ではない
  • キリスト教の行事の期間ではない
  • 祝日、祭日ではない月・火・木曜のいずれかである
  • 場所が教会ではないこと
  • 時刻は夜であること
  • 自分が裸である

この条件を満たせばセックスしてもOKということなのです。曜日と時間帯まで決まっているんですよ・・・。

 

さらにセックスの行為に関してもうるさい・・・笑

  • セックスをするなら愛撫、ペッティングなどはNG。
  • 正常位のみの1回だけ。
  • 快楽を楽しまず、終わった後は必ず体をキレイに洗うこと。

これを守るならセックスしていいよ!となります。

 

あなたはこのような決まり、どう思いますか?

 

中世ヨーロッパで有名な「初夜権」とは

キャラ

中世ヨーロッパの絵画では領主に娘を差し出す「初夜権」を題材にした作品があります。

 

初夜権とは・・・

領主、僧侶に初夜を捧げるのです。

 

有名な話ですが、とても謎な権利です。だって、領主や僧侶がその土地に住んでいる女性の処女を頂く権利ですよ。

 

現在でもこの初夜権、処女権には逸話が残されています。絵画の題材、映画などの脚本にも登場しています。

 

本当にあった権利なのかは確定していない

実際に初夜権というものがあったのかどうかは確定しておらず、その真相は現在も議論をされているようです。

 

ウィキペディアでも伝承、口伝えで話は伝えられているが、実際に記録として残っていないとされています。

 

中世ヨーロッパの村々は閉鎖的でしたので、村や集落ごとにそれぞれの習慣があったのも事実です。

 

上記で細かく記載したセックスのルールは記録として残っているのに、初夜権に関する記録が全く残っていないというのは不自然と言えるでしょう。

 

初夜権、処女権が教会に関係しているのも変な話なので・・・。

 

現在のような市、街、国単位の地域レベルでこんな初夜権が行われていた可能性はほとんどないと思いますが、小さな村や集落で考えると存在していた可能性も考えられるのでしょうね。

 

もしあったとしたら、必ず誰であっても相手をしないといけないこと。そして処女を捧げなければいけないこと。

キャラ

互いに辛く大変な思いをしたことはあったはずです。

 

中世ヨーロッパの性生活は本当に守られていたのか

キャラ

このような厳しく細かい規則は、本当に守られていたのでしょうか。

人間の3大欲求の1つである「性欲」を禁欲しなければならず、妄想しただけでもアウトな世界。

 

教会の細かい指導は、現代の私たちにとって信じられないものですが、実際に守られていたのかという疑問が湧きます。人間の本能は、中世の人も現代の私たちも同じです。

 

事実、中世ヨーロッパの書物には性、快楽を楽しむ人を描いた図版や歌もたくさん残っています。

 

また、現代には神様を信じ、敬虔(けいけん)な人もいれば全く神を信じない人もいます。

キャラ

それは人それぞれ個人によって違いますからね。

 

中世の地中海地方では、

 

「イエスが今日再臨するかもしれない」と神父が言って、イエスの再臨を見るために村人を連れて山に登った。

 

という記録があります。

 

日常生活を送る上で、常に「最後の審判」というものを意識し、イエスの再臨が近づいていることを真面目に考えていたのです。

 

中世ヨーロッパの人たちは、イエスを信じ、精神世界の豊かさを重視されていたということ。

 

そんな人々にとって、最後の審判は今後、将来起こるリアルな出来事であって、その時に救済されるために真面目な禁欲生活をおくることを守っていたのです。

 

聖職者は去勢することが当たり前でしたからね。

 

教会の教えは忠実に守られていた、守る努力をしていたと言えるでしょう。

 

その一方で売春は盛んだった

キャラ

真面目な禁欲生活を思わせる一方で、売春も行われる側面があったのです。

セックスに対して細かい規制があったのに対し、売春はかなり盛んに行われていました。もちろん公に認められてはいませんよ。

 

しかし、売春がなければ性犯罪が増えたり、同性愛に走るのではないかと考えられていたようです。黙認されていた売春。

 

それなのに売春婦は服装や住居の自由を奪われ、法的権利すらも与えられていなかったというのです。

 

レズビアンは病気

キャラ

レズビアンは病気として考えられていました。

中世でも同性愛の話題はありましたが、「レズビアンは病気」と考えられていたのです。

 

古代ギリシャの医師ガレノスが性行為の欠如により、女性の子宮に悪い種が宿ると考えられたのです。

 

その治療にはオルガズムの経験が必要とされて、どう使われたのかは分かりませんが、湿布で治療が行われていたようです。

 

また13世紀半ばのフランスでは、レズビアンは違法という法律が出されていました。

レズビアンの罰は、2度目までは手足の切除、3度目は火刑に処される。

 

フィクションの不倫モノが流行

キャラ

19世紀のフランスでは宮廷愛というジャンルが普及。

近年の日本のワイドショーではかなり「不倫」のゴシップネタをよく耳にしますよね。

 

19世紀のフランスでは。宮廷愛という新しいジャンルが普及。

 

11世紀にフランスのアキテーヌとシャンパーニュ地方で始まった宮廷高位貴婦人に対する騎士の恋愛ストーリー。

 

秘密、貴族的、そしてポイントは「不倫」という特徴。

 

騎士道、高潔さ、大半が既婚女性を対象にしたものというハードルが高いほど燃える感じですね。このようなフィクションの不倫話が流行したようです。

 

実際にロマンチックなことが頻繁にあったのか・・・というと疑問ですが、今も昔もハードルの高い恋愛には憧れのような気持ちを抱くことは共通しているのかな。

 

まとめ

キリスト教会が絶大な影響力を持っていたために、セックスや性に関してもかなり抑圧されていた中世ヨーロッパ。

その性生活の実態は、「禁欲」という正しい生活によって最後の審判でイエスに救済されることを信じていたのですね。

「教会の教えを守る=将来キリストによって救済されるため」の禁欲であったとしても、聖職者の去勢や夢精や妄想が罰せられるという決まりは、なんとも我々現代人にとっては驚きが隠せないセックス、性事情でしたね。

 

その一方で売春が盛んだったという事実。「禁欲」ということが神の救済のためであっても、欲には勝てない人もたくさんいたのですね。