日本ではまだ承認されていないことから、「中絶薬」という言葉を耳にしたことのある方は少ないかもしれません。
中絶薬とは、内服するだけで妊娠を継続することができない状態にする薬を指します。

この中絶薬は、日本の産婦人科を受診しても処方されることのない薬です。
ここでは、中絶薬の詳細、また中絶費用や中絶薬の副作用のリスクについて解説していきたいと思います。
中絶薬とは何か
中絶薬とは、妊娠してから49日以内に口から薬を摂取し、人工的に流産させる為の薬を言います。これは1980年代にフランスで開発され、「ミフェプリストン」という名の薬です。
女性は妊娠すると、その妊娠を継続させるために、プロゲステロンというホルモンを分泌させるようにできています。
しかし、中絶薬を服用することで、そのホルモンの分泌を抑制し、働きを阻害させることで流産を起こすよう促す効果を発揮します。95%もの高確率で効果が発揮される薬であると言われています。
また、子宮収縮剤と併せて服用し、自然流産になるよう中絶させるというものです。現在では、日本を除き、アメリカやフランスの他、先進国60ヶ国以上もの国で使用されています。
ところが、日本では未だ使用は承認されていおらず、実際には使用可能な国でも、医師の管理下において正しい使用法で服用しなければなりません。
産婦人科で処方されるか
日本では、まだ認可がおりていない薬である為、日本国内の産婦人科を受診しても、中絶薬が処方されるといったことはあり得ません。
現在も中絶については、中絶手術により行われることとなります。
妊娠初期に行う中絶手術について
中絶手術は「人工妊娠中絶」という正式名称があり、中絶手術を行う資格を持つ医師が担当することになります。
日本国においては、以下の条件に適合するケースにおいては母体保護法に基づき、人工妊娠中絶を受けることができるとされています。
- 妊娠・分娩により、身体的及び経済的理由によって、母体の健康が著しく害する恐れがある場合
- 暴行や脅迫により姦淫されたことで妊娠に至った場合
中絶に必要な費用

日本で行われる人工妊娠中絶費用は、20万円までとされています。
一方、中絶薬の場合は、10000円前後です。中絶費用は中絶薬と比較しても当然お金がかかります。
金額だけで選択すると、中絶薬が選ばれるのかもしれませんが、実際には様々なリスクがあり、法に触れることもある為、十分注意する必要があります。
中絶薬を服用することによる副作用とそのリスク
中絶薬を服用して中絶を行うことは、手術を行うことと比べると当然費用が安いことが分かります。
しかし、服用には様々な危険性が考えられているのです。
ミフェプリストンの副作用は、痙攣や出血、倦怠感の他、吐き気やめまいなども起こると言われています。
また、出血については2週間ほど続き、重篤な場合は痙攣が一カ月以上も続くことがああります。このような強い副作用により、死亡する可能性もあるようです。
そして、ミフェプリストンの処方が認可されている国でも、ネット販売することは禁じられています。必ず産婦人科を受診すること、そして、医師による経過観察も必要です。
このミフェプリストンを服用した100人の方のうち8人は、人工妊娠中絶により失敗し、改めて手術の必要性があるのです。
以下の条件に当てはまる場合には、ミフェプリストンの服用は不可とされています。
ミフェプリストンの服用が認可されない原因
- 子宮外妊娠
- 子宮内避妊具を使用
- 副腎に障害がある
- ステロイド治療を受けている
- 抗凝血剤を投与している
- 薬にアレルギーがある
中絶薬は違法である

日本では中絶薬の使用は認められていません。
日本では薬事法に基づき、販売や譲渡は禁止となっています。このことから、日本国内において販売や処方を行うことはできません。その為、産婦人科を受診しても処方されることはない薬となります。
とは言え、海外ネットサイトより個人で輸入して購入することは可能です。しかし、これは違法行為に該当するため、注意が必要です。
また、日本においては、母体保護法指定医以外の医師が中絶施術を行うことで、堕胎罪に問われてしまいます。
医師の診断や処方がないまま個人輸入した中絶薬を入手し、服用して中絶を行うとあなた本人が「堕胎罪」に問われることになります。
望まない妊娠なら産婦人科で中絶

現代では、自分自身が望んで妊娠したことを喜ぶ方もいれば、逆に望まない妊娠に悩む方もいます。
その為、中絶を考えている方も少なくありません。中には、何らかの事情がある為に、産婦人科を受診することができないという方も存在します。
望まない妊娠は、あなた本人の身体にも負担がかかるだけではなく、あなたの精神状態も悪くなり、さらには、あなたのお腹に宿った命を断たなければならないなど、これほどに辛く残酷なことはありません。
生きている中で誰にも過ちはあるかもしれません。しかし、望まない妊娠であれば、きちんと避妊をすべきです。
そして、あなた自身の身体のことを考え、また、周囲の人の為にも、安易な思いで中絶薬を使用するなどといったことは避けて下さい。中絶薬により、母体側が死亡するといった最悪のケースも考えられるほどの薬です。
個人輸入が可能とは言え、海外では医師の適切な指示の下処方される薬であることから、私達のような一般人が自己判断で服用するような薬ではないことを認識しておいてください。
また、どんなに悩んでも、どうして産むことができないという方は、必ず産婦人科を受診して、相談することが大切です。
あなたにとって、宿った命もあなた自身の身体も、どちらも選べないくらい大切なものです。
妊娠というものを安易に考え捉えることのないよう、今一度、あなたのあるべき姿を再認識する必要があると思います。
まとめ
いかがでしたか?中絶薬の詳細、そして中絶費用や中絶薬の副作用、リスクについて解説しました。
日本ではまだ認可されていない中絶薬ですが、海外では普通にこの方法を使用した中絶が行われています。
望む、望まないという観点ももちろん大切ですが、宿った命を断つようなことのないよう、中絶が身体に与える負担や精神的負担を考慮すべきです。
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