- ジュゴンとマナティの違いとは?
- 簡単な見分け方を分かりやすく解説
ジュゴンもマナティもとても可愛らしいですよね!
あの愛くるしい姿に癒されている…という方も多いのではないでしょうか。
しかし一見すごくソックリに見えるジュゴンとマナティですが、何か違いはあるのでしょうか?

実はジュゴンとマナティは全く違う生物なんです。
この二つの生物は呼び名が違うだけで、「同じ生き物でしょ!?」と考えている方は意外と多くいるかと思います。
しかしジュゴンとマナティは見かけは似ていますが、それぞれ異なる点が沢山あるんですよ。
果たして、ジュゴンとマナティにはいったいどんな違いがあるのでしょうか?
今回は簡単な見分け方と違いについて徹底的に解説しちゃいます!
ジュゴンとマナティについて
ジュゴンとマナティはつぶらな瞳とちょっとポッチャリとしたフォルム…などが印象的ですよね。
パッと見の外見はほぼ同じように感じますが、ジュゴンとマナティは違う海獣生物なんです。
まずは「そもそもジュゴンとは?マナティとは?」という疑問について解説していきたいと思います。
ジュゴンとは?
ジュゴンは生物学的に「哺乳綱海牛目ジュゴン科」に分類される生き物です。
まん丸な目と、ゾウのような鼻が特徴的で、体はイルカのような見た目をしています。
基本的に暖かい地域に生息しており、日本では非常に稀ですが沖縄で目撃されることもあります。
昔はたくさん生息していたようですが、今では個体数が減少し、国の天然記念物に指定されているほどです。
沖縄では「ザンノイオ」や「アカンガイユ」と呼ばれています。
ちなみに英語ではそのままDugong(ジュゴン)か、SeaCow(シーカウ)と呼ばれるのが一般的です。
SeaCowは海牛という意味ですから、わかりやすいですよね。
ジュゴンは聴力が非常に発達しており、かなり遠くの音も聞こえるんだそうですよ。
マナティとは?
一方マナティとは、哺乳綱海牛目マナティ科に分類される生物で体はむらさきっぽいグレー色をしています。
なんとなくゾウにも似ているような気がしますが、実はその通りでゾウの遠縁にあたるとされているんです。
またマナティは北アメリカ〜南アメリカにかけて生息する「アメリカマナティ」、西アフリカ付近に生息する「アフリカマナティ」、南米アマゾン川付近に生息する「アマゾンマナティ」の大きく3種類に分けられています。
視力が非常に弱く、仲間同士鼻を付き合わせたり、鳴き声を発したりしてコミュニケーションをとっています。
また環境の変化や人間の乱獲などにより個体数が激減しており、絶滅危惧種に指定されているという厳しい現実もあります。
このようにマナティはとても貴重な存在ですが、日本では沖縄の美ら海水族館や、三重県の鳥羽水族館などで見ることができますよ。
簡単な見分け方や違いを分かりやすく解説 !
ジュゴンを見てからマナティを見ると…「あれ?一緒じゃん!」と思うくらい似ていますよね。

しかし、実はこの二つの生物、簡単に見分ける方法があるんです。
そしてジュゴンとマナティはよくよく観察してみると、結構色んな違いが見えてきて興味深いですよ。
尾ビレの形
まず、誰でも一発で見分けられる簡単な方法といえば、「尾ビレの形を見ること」ではないでしょうか?実はジュゴンとマナティの尾ビレは形が全く異なります。
ジュゴンの尾ビレは、イルカやシャチなどと同じく三角形のものです。
それに対してマナティの尾ビレは、平べったくて丸っこいフォルムで、うちわやしゃもじみたいな形をしています。
この方法なら尾ビレさえ見えれば、子どもでも簡単に見分けることができますよね。
口の形
またさらに極めつけとしては、「口の形を見る」方法もあります。
ジュゴンの口は下向きについており、開けたときの形は円盤型になっています。
その理由は、ジュゴンが餌として海底に生えている海藻を食べるからです。
一方、マナティは海面に浮かび上がる水草を食べているため、口が下側についているわけではありません。
尾ビレの形と一緒に口の形もチェックしてみてくださいね!
皮膚の違い
また、皮膚に直接触れるような機会はなかなか無いとは思いますが、皮膚の質感にも違いがあるので注目してみてください。
ジュゴンの表皮はサラサラすべすべした感触をしていますが、マナティの皮膚はザラザラしており、中には表面に苔が生えてしまう事もあるようです。
前足の違い
ジュゴンとマナティは前足にも違いがあります。
マナティの前足には肘のような関節がついているのですが、ジュゴンの前足には肘がありません。
またよく見るとマナティには前足の先に爪がありますが、ジュゴンには爪もありません。
マナティに爪がある理由は、遠い祖先がゾウだから…という説があります。
牙の有無
一方、ジュゴンには牙がありますが、マナティには牙がありません。
正確には無いわけではないのですが、ほとんどが埋もれてしまって見えないんだそうです。
大きさの違い
ジュゴンの大きさは約2.5〜3m、体重は300〜400㎏が一般的です。
それに対してマナティはもうひと回り大きく、体長約3〜4m、体重400〜1000㎏程もあるようです。
餌の違い
ジュゴンは海底に生えている海藻のアマモを好んで食べます。しかも1日になんと数10トンもの量を食べるんだそうです。

食べている餌にも違いがあります。
水族館に飼育されているジュゴンについては、毎回ものすごい大量のアマモを空輸して与えています。
そのため餌代は年間で2000万円もかかってしまうんだそうですよ。

ジュゴンて、もの凄く維持費のかかる生物ですね…。
一方マナティの餌は経済的で、比較的安価な水草やキャベツ、レタス、人参、かぼちゃ、白菜なども食べてくれます。
生息地は?

ジュゴンとマナティは生息地も全く異なるんですよ。
ジュゴンは基本的に温暖な海に住んでおり、東アフリカ〜オーストラリアまで幅広いエリアで見ることができます。
また個体数は非常に少ないですが日本の沖縄にも生息しています。ちなみにジュゴンの分布図によると沖縄が最北だそうですよ。
一方マナティは、生息地によって3種類に分類されています。
北アメリカ〜南アメリカにかけて生息する「アメリカマナティ」、西アフリカ付近に生息する「アフリカマナティ」、南米アマゾン川付近に生息する「アマゾンマナティ」などがあります。
マナティは、なんと海にも川にも生息することができるんです。
人魚のモデルになったのは?

ジュゴンもマナティもあの人魚伝説のモデルと言われています。
しかし人魚伝説が生まれたのは、ジュゴンやマナティが発見されるよりも昔の話です。
したがって、人魚の話を知っている人がジュゴンやマナティを発見して、その姿から「あれはきっと人魚のモデルだろう!」と思ったことがきっかけである可能性が高いです。
とはいえ、あのポッチャリした姿を人魚って…ちょっと無理がありますよね。
まとめ
ジュゴンとマナティの違いについて詳しく解説させていただきましたが、如何でしたか?
一番簡単に見分ける方法としては、やはり尾ビレを見ることでしょうか。
「尾ビレが三角形ならジュゴン、丸っこい形ならマナティ」…と覚えてくださいね!

早速ジュゴンとマナティの違いを皆に教えてみましょう!
また、細かく観察してみると意外に違うポイントが沢山あることもわかりましたよね。
とはいえ、ジュゴンもマナティも可愛くて癒される存在…という点では共通しています。
今や自然環境の変化や人間による乱獲のせいで、野生のジュゴンも野生のマナティも非常に数が減ってしまいました。
絶滅してしまわないように、私たちも身近なところからエコに取り組んで環境を大切にしていきましょう。
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