• 事故物件での告知義務の期間はいつまで?
  • 病死・孤独死なら事故物件の告知は不要?

自分が所有している物件で、入居者が病死や孤独死、他殺や自殺などによって事故物件扱いとなってしまい、その後、誰も賃貸する者がいない為に収益が低下するといったことが起こる可能性があります。

不動産を所有している方は、自分が持つ物件でまさかそのようなことは起こらないだろうと思っていても、実際に起こってしまうとどうしてよいか分からなくなります。

また、事故物件にならないにしても、家族に看取られ亡くなる場合など、どこにでも遭遇する可能性があると言えます。

 

できれば避けて通りたいところですが、入居者が多数ともなれば、死の問題に直面することもあるでしょう。現代は少子高齢化社会であることから、今後、このような問題が起こる可能性はあります。

 

ここでは、そのような事故物件となった場合、状況によって告知義務はあるのか、また、告知義務の期間はいつまでであるかについて解説していきたいと思います。

事故物件の告知義務は?

事故物件の告知義務については、その人の死亡状況やその期間によって異なります。

それに、法律で定められているということもありません。

自然死の場合

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居室で病死された場合は、次の借主に対し、告知する義務はないとされています。

ただし、孤独死などの場合については、発見が遅かったことにより、腐敗具合によっては借主に対して告知することもある為、その時の状況によると言われています。

 

心理的瑕疵

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心理的瑕疵と言える場合は、必ず告知が必要です。

この場合、目安として考えられているのは、死後2~3年まではその物件において起こった自殺や事件があったことについては、必ず借主に伝える必要があるのです。

 

言い換えれば、2~3年の間に入居者がいれば、次の借主に告知する必要がないということです。

心理的瑕疵とは?
  • 自殺や殺人があった
  • 事件や事故による死亡があった
  • 事件や事故、火災による死亡等があった
  • 物件周辺に嫌悪施設がある
  • 物件の周辺に暴力団事務所がある

これらに該当する場合は、必ず告知する必要があります。

 

事故物件による自然死の告知義務はある?

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人が亡くなられたような物件については、多くの方が嫌悪感を感じるでしょう。

その為、告知義務があるという考え方として捉えられています。ただし、嫌悪感が認められる期間が一体どれくらいになるかについては物件によって判断が難しいと言われています。

 

自然死の告知義務について

今は病院で人生の最期を迎える方も多いと言われていますが、高齢化も進み、実際には孤独死となる方も少なくありません。しかし、人が亡くなった部屋であることから、心理的瑕疵に当てはまると言えます。

 

孤独死で発見されたとしても、腐敗の状況により臭いが取れないといった事情以外は、そこまで次の入居には差し支えないと感じる方も多いと思います。

 

その為、人が亡くなられて1年以上経過していたり、すでに入居が2人目以上ともなれば、もう告知義務がないと考える方もいるようです。

 

それでも、人が亡くなられた物件について嫌悪感を感じることは一般的なことである為、ある一定期間は告知義務があると言われています。

 

勝手な自己判断により、自然死の事実を伝えない場合は、損害賠償が成立する事案もあるのです。

 

告知義務によって損害賠償は起こる?

人が亡くなられた物件の告知義務を怠ったことによる損害賠償請求について、心理的瑕疵を与える要素については懸念されています。

 

実際に自殺があった事例である「病院へ搬送されてからそこで亡くなった」と言う場合でも、2年経過しても告知義務がないことが認められています。

 

自然死の場合は半年経過していることで告知義務なしとされているケースもあります

 

しかし、損害賠償請求され、裁判沙汰となった場合は、費用も時間も損害を被る為、自然死であっても入居契約前には告知を行う不動産業者は増えていると思います。

 

物件を保有している者からすると、事故物件扱いとなることで入居者がなく、収益を得ることができない上、損害賠償まで請求されると割に合わないですよね。

 

次の入居者に告知を行うかどう判断する?

事故物件に対し、入居者を募集する場合は、宅建業者や入居者に対し、貸主は事実の告知を行わなければなりません。

 

貸主が告知を行わず、入居者と賃貸借契約を行い、その後、事故の事実を知った場合、その事実を知っていた場合は契約はしなかったというトラブルに発展していまいます。

 

ただし、死亡事故について、全ての告知が必要という訳ではなく、自然死であった場合は告知する必要はないと言われています。

貸主が必ず告知を行うべきケース
  • 他殺の場合
  • 自殺の場合
  • 孤独死の場合、死後長期間発見されずに腐敗した状態で発見された場合

このような場合については、次の入居者に対し、重要事項の説明として必ず説明しなければなりません。

 

告知を行う期間は?

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事故物件の重要事項の説明について、それはいつまで行うべきなのでしょうか?

期間としては5~6年、また、入居者が2~3回替わるまで行うべきです。

 

事故物件の告知期間については、、大きな事件としてニュースになった場合や、地域住民に深く知れ渡っている場合などは、嫌悪感が強いと判断されることから、期間については長めに告知する必要があると言われています。

 

事故物件についての告知方法について

不動産賃貸仲介業者は宅建業法により、物件の事件・事故については重要事項として必ず入居者に対し、説明を行わなければなりません

 

その為、貸主は、不動産賃貸仲介業者に必ず事件・事故について説明を行い、入居者に対し、どのような説明を行うかについて、前もって打ち合わせしておく必要があります。

 

また、告知するべき期間について、目安としては6年以上経過していても、3回以上入居者が替わったとしても、もしも知っていれば入居しなかったと主張され、契約解除や金銭の要求がなされる可能性が高くなります。

 

最悪の場合は慰謝料請求される可能性があります。このようなことから、事件や事故があった物件については、相当期間に渡り、告知を行うことが望ましいと言えます。

 

自殺や他殺の場合の損害賠償は

入居者が自殺した場合など、事故物件扱いとなることで貸主は損害を受けることになります。その為、入居者の遺族、また、契約上連帯保証人となっている方に対し、損害賠償請求をすることができます。

 

ただし、貸主は事故物件として、将来に渡る家賃減額分の損害について、全ての補償とはなりえないことを理解しておくようにしてください。また、遺族が相続放棄を行うことで損害賠償請求ができなくなります。

 

このようなことから、入居者の自殺による事故物件についての損害は、全て損害賠償請求がうまく行えるとは言い切れないのです。

 

一方、他殺出ある場合は、入居者に過失がないことから、原状回復義務に留められ、入居者側に対し損害賠償責任はないものとされています。

 

このようなことから、加害者側に支払い能力があるか否かについては分かり兼ねますが、犯人が逮捕されることによって、貸主は加害者に対し損害賠償請求が可能となるのです。

 

いずれの場合でも、貸主は、入居者が自殺であろうと他殺であろうと、十分に補償されるという確約は一切ないということについて理解しておかなければなりません。

 

このような事故物件とならないよう、常に管理業者とともに入居者とコミュニケーションをはかることで、定期的な安否確認等を行うべきであると言えます。

 

まとめ

いかがでしたか?事故物件での告知義務について解説しました。お部屋を賃貸する時は、何も問題のない物件を選びたいものです。

内覧を行う際は、お部屋について特別なことがあるかないかなど、業者に対して質問することも大切です。

また、不動産物件を賃貸している貸主にとっては、事故物件となることで大きな損害を被ることになりますが、そのような事実については、隠すことなく告知を行うべきであると言えます。

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やはり、後にトラブルの原因となってしまう可能性もあるからです。

とは言え、このような事故物件とならない為にも、日頃から貸主や管理業者と管理の状態や入居者とのコミュニケーションをはかることも大切な務めでもありますね。