• クマノミが性転換する仕組み・理由とは?
  • 性転換できる他の魚も紹介!

クマノミと言えば、あの映画「ファインディング・ニモ」で有名ですよね!

クマノミ はクマノミ亜科に属する海水魚の1種です。

クマノミには鑑賞魚として可愛いだけはなく、その生態にも面白い特長があります。

 

それは何かというとズバリオスがメスに性転換するのです。

 

このコラムではクマノミの性転換についてご紹介したいと思います。

クマノミはオスで生まれ
メスに性転換する

クマノミは初めはみんなメスとして生まれてくるそうです。

 

クマノミが性転換する仕組み・理由

集団の中で育っていきますが、その中で一番大きなものがメスに性転換するそうですよ。

 

そして、その集団の中で二番目に大きかったオスがそのメスとペアになり、子供を作るそうです。

 

他にも性転換する魚はたくさんいるそうですが、こういう仕組みなのはその中で見ても、とても珍しいそうですよ!

 

なんで、大きなオスがメスになるのかというと、メスの方が受精した後に栄養を体内に蓄えていきます。

 

子供を育てるためには、大きな体をもっているほうが生殖能力を考慮するとメスであったほうが都合がよいという理由だと考えられています。

 

人間の場合は一般的に男性の方が、女性より体は大きく、力も強くなりますよね。

 

これとクマノミは対照的ですが、この理由から見るとメスの方が大きくなるのが最もという感じがして面白いと思いませんか?

 

また、群れの構造や性転換のタイミングは生息地によって異なります。

 

性転換できる魚は他にも

性転換できる魚はクマノミだけではありません。

 

温帯岩礁や熱帯サンゴ礁に生息するものを中心になんと約300もの種類の魚が性転換できるそうです。

 

その例をいくつかご紹介しましょう!

 

マダイ

あのおめでたい時に食べる高級魚も実は性転換しているのです。4歳までは両性生殖腺を持つ現象がみられます。

 

2歳頃に多くがオスへと性転換しますが、成熟していくとほぼ半数づつのオスとメスになります

 

台湾産のマダイの場合ですと、産卵後にメスがオスに変わります。

 

しかし、全部が一辺ににオスに変わるわけではありません。

 

一生オスに変わらずメスのまま過ごす「生涯メス」のマダイもいるのです

 

クロダイ

クロダイも性転換します。しかし、面白いことにマダイと違ってメスからオスに性転換するそうです

 

一般的にはマダイのようにメスからある時期にオスに性転換するものが多いようです。クロダイは珍しくこれが逆なのです!

 

2-3歳までは精巣が発達したオスとして育っていきます。しかし、それが4-5歳になると卵巣が発達してメスになります

 

ただし全てがメスになるわけではありません。雌性ホルモンが不足したオスは性転換でメスにはならず、一生オスとして過ごすそうです。

 

コブダイ

コブダイの場合、生まれたときは全てメスです。この中で栄養状態のよいものが巨大化します。

 

そして、その巨大化したもの同士で戦いが起きて、その戦いに勝ったものがオスになるそうですよ!

 

ちなみにオットセイはオス同士で争って勝ったオスが一夫多妻制を作り、多数のメスを独占します。

 

こっちは人間も歴史をみると時の権力者が同じ事をやっているので、わかりやすいですが、コブダイのほうがちょっと理解が難しいですよね 笑

 

マハタ

ハタ科の海水魚はもっと面白いですね。他の魚のように性転換する種類もあります。それだけでなく雌雄同体の種類もあります

 

雌雄同体の場合は、それぞれの個体が卵巣と精巣をもっているため、自分だけで子孫を作ることができるのです!

 

これだと一匹だけになってしまっても、子孫を作れるので、種の絶滅を回避しやすく数世代も種を守れるのですね!

 

ウミウシ

ウミウシもマハタの一部と同じく雌雄同体です。一匹のウミウシがオスでもあり、またメスでもあるのです

 

ただし雌雄同体のマハタのように自家受精はできません。受精するためには2匹で行為をしないといけないようです。

 

この時それぞれのオスの交接器官からは相手のメスの交接器官に精子が送られます。

 

そして、それぞれのウミウシがそれぞれ同時に受精します。

 

ただしこれも全部のウミウシがこうというわけではなく、ウミウシの種類によってばらつきがあるようですよ!

 

性転換する動物は魚だけではない

性転換するエビもいる

魚の例をいくつかあげてみましたが、性転換するのは魚だけではありません。エビ類でも性転換するものが多いです

 

代表的なものとしては、アマエビとして食されるホッコクアカエビを含むタラバエビ科タラバエビ属で雄性先熟の性転換が知られています。

 

性転換する植物もある

また、植物でも性転換するものがあります。

 

性転換を行うことで有名なのはサトイモ科の「テンナンショウ」という植物です

 

テンナンショウは、球茎が小さい、すなわち蓄えられた栄養が少ないうちは雄花を咲かせます。

 

しかし、球茎が大きくなり、種子・果実をつくるための栄養が充分に蓄えられてくると性転換を行い雌花を咲かせるのです。

 

そして、メスとしての繁殖に栄養を消費して球茎が小さくなると、再び雄花を咲かせます。つまり、両方向の性転換を行うようになっているのです。

 

栄養が少ない期間はオスで栄養を蓄え終わったらメスに転換し、その栄養を使い果たしたらまたオスに戻るということですね!

 

いろいろ例をあげてみましたが、その一方、陸上脊椎動物の場合には性転換を行うものはほとんど報告されていないようですね。

 

性転換とは何なのか生物学的には?

例にあげたように性転換とは生物学的に二種類あります。ある個体の性別がオスからメスに変わることを「雄性先熟」といいます。

逆に、ある個体の性別がメスからオスに変わることを「雌性先熟」といいます。またこの両方向に性を変えることが可能な生物もいます。

 

 なんで性転換するのか?

そもそもなんで性転換するのでしょうか?

 

性転換の究極要因を説明する理論として、「体長有利性説」と呼ばれるものがあります

 

このモデルによれば、体サイズまたは年齢と繁殖成功との関係のしかたが雌雄で異なるとき、性転換が進化的に有利になるとされます。

 

たとえば、体サイズに関係なくランダムに配偶する生物や一夫一妻の生物を考えると、オスは体が小さくても多数の精子を生産してそれなりの繁殖成功を得られます。

 

それに対し、メスの繁殖成功は産卵数によって決まりますので体サイズに強く依存します。

 

サイズに応じてオス・メスを使い分ける

そういう理由で、体が小さいうちはオスとして、成長して多くの卵を生産できるようになってからメスとして繁殖します

 

それはすなわち雄性先熟の方が有利になると考えることができます。

 

逆に大きなオスが多数のメスを独占するような配偶システムを持つ生物では、小さなオスはほとんど繁殖することができず、大きなオスは非常に高い繁殖成功を得られます。

 

この場合、小さいうちはメスとして繁殖し、メスを独占できるサイズまで大きくなってからオスになる、つまり雌性先熟の方が有利になると考えられます。

 

これに対して、オスとメスが自分と近いサイズの異性と配偶する傾向にある場合、つまりサイズ調和配偶の場合はどうなのでしょうか?

 

この場合には繁殖成功とサイズの関係はオスとメスで同じになりますので、性転換することは有効になりません。

 

性を変えることにはなんらかの対価が必要になってしまいますので、むしろ不利になってしまうと考えられます。

 

まとめ

いかがでしたか?私もクマノミや他の魚が性転換するなんて知らなかったので調べてみてびっくりしました!

人間の場合、世界中が男だけとか女だけになってしまったら子孫が残せずに滅んでしまいます。

しかしながら、魚は性転換によってオスとメスのバランスを調整してそれを防げるようになっているんですね!

 

子孫を作って種を維持するために生き物って面白い仕組みがあるんですね♪

 

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