- ホームレスは生活保護を申請できない?
- なぜ生活保護を受けられないのでしょうか?
ホームレスが都会の街の道端に寝込んでいる風景を頻繁に見かけた時代はピークを過ぎたようです。
その代わり、見えないホームレスが増えつつあります。なぜ彼らは生活保護へと行きつかないのでしょうか。
ホームレス人口は熟年層の男性はまだ多いですが、若者に増えています。
総対的にリーマンショックの時に派遣の人たちが仕事をうばわれ、会社の寮のアパートを追い出されてしまった。
その結果、路頭に迷うといった年齢層の人達がホームレスに陥ってしまったというケースが増えています。カフェで寝泊まりするホームレスも相変わらず存在します。
なぜホームレスは生活保護を受けられない?
生活保護の情報不足で申請できない
なぜ生活保護を申請できないのでしょうか?申請はできるのです、ただ知らないからです、それは情報を得る手段をもっていないからです。
ネットカフェでインターネットをする術を持っている人なら生活保護申請を調べられると思いがちでしょうが、ネットカフェでは寝泊まりするための所としか本人が受け止めていないため、申請方法の検索もしないからです。
生活保護を申請できる条件
- 貯金、所持金が10万円以下であること。
- 生活費を援助してくれる人がいないこと。(家族や友人も余裕がないなど)
- 不動産を持っていないこと。
つまるところ生活困窮者で以上に当てはまればホームレスも堂々と申請できます。しかしホームレスは情報を持っていません。
新聞を読むでもなし、よほど、ホームレス自立支援のNPOの団体の人に出会わなければ生活保護まで行きつきません。
女性のホームレスは街で中々見かけません
ネットカフェで生活しています。仕事は風俗が主です。
それでも毎日のネットカフェでの使用料やシャワー利用料、風俗の仕事に必要な品々を買うとアパートを契約する敷金、礼金も貯まらないので本人は諦めてしまいます。
アパートを借りる場合は保証人が必要ですが、自分に身よりが居ない場合や故郷の家族に心配かけなくないなどといった理由からも、アパートを借りる事をためらうのです。
ネットカフェのホームレスも生活保護申請はできます。ただ本人がそれを知らないだけなのです。
まず近くの区役所へ行く事からはじまります。生活保護課がありますのでそこで生活の困窮具合を説明します。対応するのはケースワーカー。
ケースワーカーは一人当たり100人もの生活保護者を担当しているため多忙を極めています。ホームレスは相手にされず何回も区役所へ訪ねるケースが多いのです。
住むところがなくても生活保護申請は可能
悪徳な生活保護課では、申請に来たホームレスに「住んでいるところがなくてはダメです。」と説明して追い返してしまいます。
それを本人は鵜呑みにしてしまいアパートへ入っていなければ保護を受けられないのだと思ってしまうのです。
更にひどいケースは、追い返し役として、警察官OBなどを雇い、威嚇してホームレスを追い返すのです。
なぜそこまでして行政は追い返すのか
現在、どこの自治体も生活保護費の出費が大きな負担になっています。
それなのでホームレスをはじめ生活困窮者達への申請を受け付けるのを厳しく制限しているのです。
本来、前述した「金なし、頼る人なし、不動産なし」であれば誰でも生活保護を受ける権利が誰にも日本にはあります。
孤立するホームレス
外で寝泊まりしているホームレスにせよ、ネットカフェを利用しているケースにせよ、お互いが仲良くなる事は少ないのです。外で寝泊まりするホームレスは毎日の食事を確保するにも大変です。
コンビニが廃棄したお弁当をあさる人、それも縄張りが決まっているため安易に他のホームレスの縄張りのコンビニに近づけません。
ましてや食事を分け合って、などということは絶望的です。むしろ、食事(残飯)の取り合いで喧嘩になる事もある位です。
そんな状況では、益々孤立するホームレスは自分が生活保護を受給できることを知るよしもありませんね。
ホームレス支援NPOも活躍しています
都会ならばホームレスにチラシを配ります。
それは、うちのNPOに来れば「生活保護申請の仕方教えます。」といった内容です。
それを知り、今まで孤立して何も知らなかったホームレスは藁をもすがる思いで、移動費もないため、徒歩で1時間2時間かけてNPOまでたどり着き生活保護申請をお願いしてきます。
NPO側も区役所の生活保護課まで一緒に付き添ってくれて受給申請の手続きをしてくれます。保護受給が認められれば、アパートを借りる費用もでます。生活必需品も捻出されます。
またNPOのほうでリサイクルによって手に入れた冷蔵庫やテレビなどを無償で受給者にあげることもしています。フードバンクの機関を紹介することもあります。生活保護者が住む近所にフードバンクがある場合です。
フードバンクでは、生活保護など生活困窮者に食品業者から寄付された賞味期限ぎりぎりの缶詰や米、お菓子、などが無料で配布されます。缶詰は多少賞味期限が過ぎても問題ないので重宝されます。
こうしてホームレスから生活保護受給者になってとりあえず住む家と食費と雑費で必要最低限の生活を手にする人はいるのです。
生活保護の申請をしないホームレス
せっかくホームレスの自分に援助の手が差し伸べられても、かたくなに拒む人がいます。特に熟年層の男性に多いです。
- お上の世話になりたくない。
- 50歳代位までなら行政から求職して働くことをせかされます、それが嫌。
- 自由がなくなる、ケースワーカーが訪ねてくるのが煩わしい、等です。
そのようなケースのホームレスは拾ったシケモクでもタバコが吸えれば嬉しいし空き缶拾いで収入を得たお金で僅かながらの粗食でも生きていければいいのです。
受給してケースワーカーから「仕事は見つかりましたか?」とせっつかれることなく、気ままでいられる方がマシなのです。
夏は暑く冬は寒く食事も満足に食べられずそういったホームレスでも福祉を断る人は、はたから見れば理解しがたいのですが、元来束縛が嫌いになっていますから中々福祉に頼ろうとしません。
貧困(生活保護)ビジネス・闇の世界
炊き出しに集まってくるホームレス(稼動世代でない熟年男性)に男が「家付き、食事付き、個室だよ。」と言い寄ってきます。
その言葉になびいたホームレス達はまとめて車に乗せられて遠くへ連れていかれます。何処かわかりません。
貧困ビジネスの存在です。男は集められたホームレスの生活保護申請を付き添って役場でまとめて受給する事でお金を搾取するのです。
実際にあてがわれる個室はアパートの部屋の中にベニヤ板で仕切られた3畳もないスペース。共同トイレ。食事は満足なものではなく利用者はまずいと声を揃えます。
実際そのような粗末な生活をさせていれば受給額から余剰金がでるのでそれをピンハネします。これを貧困ビジネスと称するのです。
気づいた時には、その生活から逃れることもできず、諦めてその粗末な生活で日々を過ごす元ホームレスも多く、警察でも捜査をしています。
しかしながら、もともと暴力団などが経営しているので、警察に見つかればまた場所を変えて同じ事を繰り返すといった、いたちとたぬきの追いかけごっことなっています。
ひょんなことから生活保護受給者になることも
ホームレスは自分の体を何処か調子を崩しているものです。
家無し、食事もろくになければ栄養失調やら寒い空の下、風邪もこじらせます。自分にはお金がない。市販薬も切れた、病院へ行くお金もない。その様なホームレスは我慢に我慢を重ねて時を過ごします。
いずれ体は悲鳴をあげます。路上で吐血。倒れて意識がない、等。さすがに通行人も無視できません。
携帯で119番するなり、近くの交番に飛び込みます。そしてその病気のホームレスは救急車で病院へ運ばれる事になります。
病院側で患者に身寄り居ない、お金がない等と分かると、病院内のケースワーカーが迅速に動いてくれて生活保護申請を代わりにやってくれるのです。
どんな病気であれホームレスであるその患者は入院中、生活保護が受給されます。その時、初めて自分は生活保護が受けられるのだという事を知るのです。それに味をしめてしまいズルズルと入院を長引かせようとするホームレスもいますが、心配ご無用。
退院後も生活保護申請すれば持病などで働けない、といった事情で受給されやすくなります。また元来、体に障害を抱えていた人などもホームレス生活から脱却して働けないと見なされて受給率が高くなります。
誤解を招いてしまうといけませんので、健康な人で働く意志があるのであれば、その意志をケースワーカーに見せればホームレスでも生活保護は申請できますし、受給も受けられます。
どうかネットカフェでこれを見ている人がいらしたら、ご自分はあてはまらないかお考え下さい。一人でも多くのホームレスの人がまっとうな生活を手にすることが出来ます様に。
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