- 叔母と伯母の違いとは?
- 意味の使い分け・覚え方をわかりやすく解説!
みなさんは、「おば」と呼ばれる方には、2つの漢字が存在することをご存知ですか?
ここでは、「叔母」と「伯母」の使い方の違いや意味の違い。
そして、どのようにして覚えると良いかについて解説していきたいと思います。
叔母と伯母の違い・使い分け方
「叔母」と「伯母」の違いをある程度理解できた中でも、一体どれをどのように表現すべきか迷うところです。
さらに堀り下げ、詳しく解説してみることにしましょう。
日常生活において
普段生活している中で、単に言葉で発する「叔母さん」と「伯母さん」はどちらも「おばさん」となる訳であり、日本語として同じ発音です。
しかし、漢字に書き換えることで全く意味が異なる表現になったり、その違いが明らかとなります。耳で聞いている分には特に違和感をじません。
とは言え、漢字表記となった場合はとても難しく考えてしまいます。
日頃から様々な場面で遭遇するであろう、「叔母」と「伯母」の違いには、かなり深い意味があることが分かります。
「おば」とはどの続柄?
「おば」とはどの続柄となるかを解説します。
あなた本人から見て、以下のような続柄を指すようになります。
- 父の姉妹
- 母の姉妹
- 父の兄弟の妻
- 母の兄弟の妻
「おば」に使用される漢字は?
「おば」と表現する漢字には3つの表記があります。
叔母
この「叔母」にあたる人の範囲は、あなた本人から見て、自分自身の
- 父の妹
- 母の妹
- 父の弟の妻
- 母の弟の妻
というように、「叔母」とは、両親からみて年齢が若い方に対して表記する漢字となります。
伯母
この「伯母」にあたる人の範囲は、あなた本人から見て、自分自身の
- 父の姉
- 母の姉
- 父の兄の妻
- 母の兄の妻
というように、「伯母」とは、両親からみて年齢が上の方に対して表記する漢字となります。
つまり、父方であるか母方であるかに関係なく、自分の両親の年齢よりも上の方の場合には「伯」が付き、年齢がしたの方の場合には「叔」が付くのです。
補足となりますが、この関係からすると、伯母の配偶者である夫となる方はどのような表現になるのでしょうか?
- 伯母(両親の姉)の夫は「伯父さん」
- 叔母(両親の妹)の夫は「叔父さん」
となるわけです。
少し表現がややこしくなりますね。
これは、血縁のある伯母または叔母にあたる配偶者となる夫が、あなた自身の両親よりも年齢が下である場合には「伯父」となり、上であると「叔父」となるのです。
このようなことから、「伯母」と「叔母」の使い方も、両親の妹なのか姉であるのかによって「伯母」と「叔母」の表現になるということです。
パッと見ただけではその漢字が妹にあたる人に対して使用するものなのか、あるいは姉にあたる人に対して使用するものなのか迷ってしまいますが、この際、この機会に一気に覚えてみましょう!
小母
「小母」という漢字や表現は初めて見るという方も多いと思います。
この「小母」については、一体どのような意味を持ち、どのような場面で使用されるのか解説します。
「小母」という表現は、年下の方が親族ではない方の年長の女性に対してその名を呼ぶ時に使用します。
あまり馴染みのない表現ですが、遠い親戚の年長者となる女性に対して使用する表現となります。
例えば、大家族など多くの親戚を持つ田舎に血縁のある方の場合、お正月にみんなが集まる席など。
あまりにも遠い親戚で自分から見てもどの続柄となる親戚であるかが分からない、曖昧だという場合、その女性をよく「おばさん」などと表現することもあると思います。
その時の「おばさん」にあたる方に使用する漢字が「小母さん」となるわけです。
叔父と伯父、叔母と伯母の使い分け
親戚関係は表現に困るという方がほとんどです。
それに、実際のところ、かなり調べてから漢字表記しなければならないことの方が多く、その意味も全く異なるのです。
ここからは、「叔父」と「伯父」、「叔母」と「伯母」の使い分けを明確にしていきたいと思います。
叔父
「叔父」の意味は?
「叔父」は、本人の実のお父さんとお母さんの弟のことを指します。
これには、本人の配偶者のお父さんとお母さんの弟や妹の夫などの義理の関係にも使用される書き方です。
使い方は?
例:母方の叔父さんは、いつも私たちを助けてくれます。
本人からみて自分の両親(義理の両親も含み)の兄弟姉妹の中で、男性のことはすべて「おじさん」と表現します。
しかし、手紙などに書く際は、両親(義理の両親も含み)の年齢よりも年下のおじさんに対しては「叔父」と表現してください。
まれに、自分の両親(義理の両親も含み)だけではなく、自分自身よりも年齢が若いという場合があります
その際、自分の両親(義理の両親も含み)の妹の夫には、年齢問わず「叔父さん」と漢字表記することになります。
まとめると、男性であり、かつ自分の両親よりも年下である場合は「叔父」と表現します。
伯父
「伯父」の意味は?
自分の両親の兄のことを指します。
これには、本人の配偶者の兄や自分の両親の姉の夫といったような義理の関係を含むことになります。
使い方は?
例:僕の伯父さんはとてもやさしい方です。
本人から見て自分の両親(義理の両親を含み)の兄弟姉妹のうち、男性はすべて「おじさん」と表現します。
しかし、手紙などを描く場合は、両親(義理の両親も含み)の兄にあたる人をすべて「伯父」と表現します。
この時、自分の両親(義理の両親を含み)の姉の夫には、年齢問わず「伯父」と表現します。
その際、自分の両親(義理の両親も含み)の姉の夫には、年齢問わず「伯父さん」と漢字表記することになります。
まとめると、男性であり、かつ自分の両親よりも年上である場合は「伯父」と表現します。
叔母
「叔母」の意味は?
自分の両親の妹のことを指します。
これには、本人の配偶者の両親の妹や、自分の両親の弟の妻などといったような義理の関係を含むことになります。
使い方は?
例:義理の叔母は料理がとても上手です。自分の両親又は配偶者の両親の兄弟姉妹に含まれる女性はすべて「おばさん」と表現します。
しかし、手紙などを書く場合は、両親(義理の両親も含み)の妹にあたる人をすべて「叔母」と表現します。
まれに、自分の両親(義理の両親も含み)だけではなく、自分自身よりも年齢が若いという場合もあります。
その際、自分の両親(義理の両親も含み)の弟の妻には、年齢問わず「叔母さん」と漢字表記することになります。
まとめると、女性であり、かつ自分の両親よりも年下である場合は「叔母」と表現します。
伯母
「伯母」の意味は?
自分の両親の姉のことを指します。
これには、本人の配偶者の両親の姉や、自分の両親の兄の妻などといったような義理の関係を含むことになります。
使い方は?
例:伯母さんは、母が亡くなった後も、私たちの母親代わりとしてお世話をしてくれました。
自分の両親または配偶者の両親の兄弟姉妹に含まれる女性はすべて「おばさん」と表現します。
しかし、手紙などを書く場合は、両親(義理の両親も含み)の姉にあたる人をすべて「伯母」と表現します。
その際、自分の両親(義理の両親も含み)の兄の妻には、年齢問わず「伯母」と漢字表記することになります。
まとめると、女性であり、かつ自分の両親よりも年上である場合は「伯母」と表現します。
「叔母」と「伯母」の違い・義理のおばさんに注意
役所で何らかの手続きを行う際、親族の名前を記入する場面があると思います。
その際、その書類には大抵の場合「続柄」を記入する欄がありますよね
また、結婚式の座席表を見ると、そこには親族との続柄がすべて書かれているのを見かけたことはありませんか?
その時、「おばさん」の書き方に違いがあることに気付くでしょうか?
実際、おばさんの書き方には、「叔母」と「伯母」があります。
これは、おばさんについては、本人から見てお父さんかお母さんの兄弟姉妹を指しますよね。
その兄弟姉妹を指す時に違いがあるのです!
血縁がある場合の「おばさん」の書き方は?
- 叔母さん
→お父さん又はお母さんの妹にあたる人 - 伯母さん
→お父さん又はお母さんの姉にあたる人
このように、お父さんかお母さんの「妹」にあたる人を「叔母さん」とし、お父さんかお母さんの「姉」にあたる人を「伯母さん」と表現することになります。
さらに掘り下げ、難しい表現となるのが、「義理のおばさん」の場合です。
義理のおばさんの表現の仕方には要注意
義理のおばさんとは、実のおばさんと結婚している夫の場合、どのような表記になるのでしょう?
例えば、お父さんの叔母さん(お父さんの妹)の旦那さん(本人から見て義理のおじさん)が、もしも本人のお父さんよりも年上の場合は、この型を「伯父さん」「叔父さん」のどちらで表現するのでしょうか?
これは、正しくは「叔父さん」の表記となるのです。
このようなことから、義理のおばさんの書き方は以下のようになります。
義理のおばさんの書き方は?
- 義理の叔母さん→お父さんまたはお母さんの弟の奥さん
- 義理の伯母さん→お父さんまたはお母さんの兄の奥さん
義理のおばさんに対しては、年齢は関係なく、叔父さんと結婚している女性は「叔母さん」となります。
おおおばさんの場合の書き方は?
おおおばさんとまでくると、訳が分からなくなってきます。
おおおばさんと表現する方は、お祖母さんの兄弟姉妹を指します。
その場合、「大叔母」「大伯母」と表現します。
- 大叔母さん→お祖父さんまたはお祖母さんの妹にあたる人
- 大伯母さん→お祖父さんまたはお祖母さんの姉にあたる人
いとこだとどうなる?
いとこはおじさんやおばさんの息子や娘にあたる人を指します。また、いとこには従兄、従弟、従姉、従妹と漢字表記されます。
これらの使い分けは次のようになります。
- 従兄→自分より年上の叔父、伯父、叔母、伯母の息子
- 従弟→自分より年下の叔父、伯父、叔母、伯母の息子
- 従姉→自分より年上の叔父、伯父、叔母、伯母の娘
- 従妹→自分より年下の叔父、伯父、叔母、伯母の娘
従妹の場合は、叔父さんや伯父さん。また、叔母さんや伯母さんといった表現に該当する方の誰の子供であるかなどに関係ありません。
自分とそのいとこにあたる方の年齢や性別でその漢字表記の仕方が変わります。
ここは、叔母さんや伯母さんといった意味とはまた異なる為、なかなか覚えにくいと思いますが、その違いについて理解しておくようにしましょう。
結婚式やお葬式といった冠婚葬祭の順序
参列する順番にも違いがある
伯母さんと叔母さんが冠婚葬祭に参列するとなると、その順序にも違いが出てきます。
結婚式など特に、「伯母さん」や「叔母さん」の表現が目立ちます。
しかし、実際にはその使い方や意味を理解している方の方が少ないかもしれません。
この時、上記の「伯母さん」と「叔母さん」の意味からすると、結婚式の席次順が理解できると思います。
結婚式の席次順の漢字表記
- 祖父と祖母
- 大伯父と大伯母(祖父や祖母の兄弟姉妹)
- 大叔父と大叔母(祖父や祖母の兄弟姉妹)
- 伯父と伯母(あなたの両親の姉にあたる人)
- 叔父と叔母(あなたの両親の妹にあたる人)
お葬式の場合のお焼香の順
例えば、喪主を長男が行い、自身の父親が亡くなったという場合は、
- 喪主
- 母
- 喪主の妻
- 喪主の子供
- 喪主の弟や姉、妹で年齢順に行う
- 伯父や叔父、また、伯母や叔母といったように父の兄弟姉妹の年齢順に行う
- 母方の親戚
- 喪主の妻の両親
- 喪主の妻の兄弟姉妹で年齢順に行う
- 喪主の従兄・姉・弟・妹の年齢順に行う
結婚式の席次順とお葬式でもお焼香順を見ると、年功序列によって行われていることになります。
しかし、このように使い分けられるようになる理由はあるのでしょうか?
また、伯母や叔母と表現される血族は、一体どの位置にあるものなのでしょうか?
法律用語においては、〇親等の直径で〇〇の方といったような言い方をすることがあります
その際、伯母や叔母については、傍系尊属の3親等血族となるのです。
直径尊属とは
直系尊属とは、自分よりも前の世代を指しています。
簡単に言うと、自分から見て父母や祖父母、曽祖父母がそれにあたるとされています。ここには養父母も含まれます
叔父や叔母、また配偶者の父母や祖父母は直系尊属には含まれません。
直径とは、自分を中心とし、自分の両親や祖父、曽祖父、子供や孫といったような一直線上でつながりのあるものを言います。
傍系は直系以外のつながりを指しますそして、尊属とは、自分を中心とし、上の階層の人となる自分の両親やその兄弟姉妹を指すことになるのです。
直系卑属とは
直系卑属とは、自分よりも後の世代を指しています。
簡単に言うと、自分の子、孫、ひ孫がそれにあたるとされています。ここには養子も含まれます。
兄弟、姉妹、甥、姪、子となる配偶者は直系卑属には含まれません。
叔母や伯母の漢字表記の由来
「叔母」や「伯母」については、この呼び方やその使い分けの違いはもともとは中国から伝わってきたと言われています、
これは、中国語において兄弟と呼ばれる際に使われる「伯仲叔季(はくちゅうしゅくき)」がそれに関係していると言われているのです。
- 長男→伯
- 次男→仲
- 三男→叔
- 末っ子→季
以上のように決まっています。
日本で言うと、長男が一郎、次男は次郎、三男は三郎、四男は四郎といったような考えが中国でも同じように考えられていたようです。
この伯仲叔季の法則は、三国志にも用いられています。中国には姓名字があり、その字について用いられるそうです。
三国志に出てくる呉を建国した孫権の父孫賢が名付けた子供の字がこの法則となっているそうです。
長男から、以下のように決まっています。
- 孫策→伯符
- 孫権→仲謀
- 孫翊→叔弼
- 孫匡→季佐
といったように、伯仲の仲などと言われるよう、長男である「拍」と次男である「仲」は、近い時期に生まれた兄弟であり、「叔」は、2人目以降という意味があります。
まとめ
いかがでしたか?「叔母」と「伯母」の違いについて、またその意味の使い分けについて解説しました。
私たちが日常生活を送る中で、単純に、自分の両親の兄弟姉妹に対し、「叔父」「伯父」「叔母」「伯母」と表現することについては、言葉での理解はしている方は多いでしょう。
しかし、漢字表記についてまではその深い意味について考えたことがないという方の方が多いかもしれません。
それに、両親の兄弟姉妹に対する使い方が異なることさえ知らなかったあるいはそこまで深く考えたことはなかった・・・などという方も多く、ここでとても良い勉強になったのではないでしょうか。
これからは、冠婚葬祭の場においても、一般常識があり、順序だてた行動で模範となる動きができるようになりますね。
言葉で表すのはとても簡単に感じる一方で、漢字表記となるとその使い分けには最初は苦労しそうですが、一旦覚えてしまえばその後の使い方はとても簡単になります。
この機会にぜい覚えてみても良いと思いますよ!!
言葉の違いについて
親戚付き合いについて