- じゃがいも・漢字の由来と意味とは?
- じゃがいもの漢字表記は当て字だった?
スーパーなどでは常に売られているので、普段から目にする機会が多いじゃがいも。
たいていの場合は「じゃがいも」や「ジャガイモ」と表記されていますよね。
漢字で書くと、どう書くか知っていますか?
ジャガイモの漢字での表記
正解は【馬鈴薯】と書きます。
読み方は【ばれいしょ】と読みます。
※「薯」は「いも」のことですが常用外漢字なので現代では「馬鈴しょ」と書きます。
漢字の由来は定かではない?
中国での呼び名のひとつと漢字が同じで、馬鈴薯を中国語で読むと『マーリンシュー』となります。
中国ではマメ科のホドイモを指すようですが、18世紀に日本人の小野蘭山(本草学者)が、「馬鈴薯がじゃがいもである」と命名したといわれています。
中国名をそのまま輸入したものなのか、新しく付けた名前がたまたま中国名と同じだったのか、それとも蘭山の命名が中国に伝わったのかは明らかではないとされています。
またWikipediaの中国語版によると、古代の馬につけた鈴の形状からとったという記載があります。
他には「マレーの芋」という意味からこの名前が付けられたという説もあるようです。私は、馬鈴薯とは品種のことだと思っていました(笑)
漢字の意味は岩手県からきていた?
岩手県で「チャグチャグ馬コ」という祭りがあって(現在でも行われています)、この祭りに登場する馬は首から丸い鈴をぶら下げています。
この鈴こそが“馬鈴(ばれい)”と呼ばれるもので、昔の馬鈴は素焼きの土製のものが多く、その形と色がジャガイモによく似ていたために、
《ジャガイモ…馬鈴によく似たイモ(薯)→馬鈴薯》となったと言われているそうです。

当て字ともとれる「馬鈴薯」という漢字。
語呂がいいからとかではなく、上記に書いたような由来や意味から考えると、当て字だったとは言い難いところがありますね。
由来は地名から?
「ジャガイモ」という呼び名について、「ジャガ」とは、ジャワのジャガトラ(現在のジャカルタ)からオランダ造船によって伝播したことにちなんでいるとされています。
これが変化して現在のジャガイモという呼び名になったと言われています。他に、「ジャワ島の芋」の意味の「ジャワイモ」が変化したものだという説もあります。

どちらが正しい?
一般には「じゃがいも(ジャガイモ)」と呼ばれることが多く、公的・学術的にはほぼ「ばれいしょ」と呼ばれます。
どちらにしても間違いというわけではありませんね。
ジャガイモはナス科ナス属の植物
知ってました?じゃがいもって、ナス科ナス属の植物なんです!ナス科っていわれても、なんだか想像しにくいですよね。
食品として分類するのであれば、【穀物に準ずる主食となる農産物】となります。
そしてややこしいですが、さまざまな食品の栄養成分が一挙にまとめられた「食品成分表」によると、じゃがいもは野菜類でも穀類でもなく、【いも及び粉類】に分類されるのです。

ではそもそも【いも及び粉類】とはどのようなものを指すのでしょうか。
【いも類】は、養分を貯蔵している組織で、塊茎、球茎および塊根のことをさします。野菜類に分類することもできますが、【でん粉・でん粉製品】ともされています。
片栗粉の原材料はじゃがいも
じゃがいもは、加工されて「でんぷん」になることがあります。「でんぷん」とは、ご存知の通り「片栗粉」のことです。
片栗粉は本来、カタクリという植物のでんぷんを粉にしたものでしたが、自生カタクリが減少していることや、じゃがいもが大量栽培されるようになりました。
この結果、現在売られている片栗粉のほとんどがじゃがいものでんぷんから作られるようになっていきました。
種類は豊富
じゃがいもといえば、でんぷん質が多くホクホクとした粉質なのが特徴で、粉ふきイモやポテトサラダに向いている丸っこい「男爵」。
そして、つるっとした長細い形で比較的煮くずれしにくいので、おでんや煮物、揚げ物に向いている、「メークイン」がありますよね。
店頭で売られている主な品種はこの二つとなっていますが、品種改良が進んでいるので他にも美味しいじゃがいもが色々と登場しているのです。
皮が黄色いタイプでは、新じゃがいも・キタアカリ・インカのめざめ など。皮が赤や紫色のタイプでは、シャドークイーン・ アンデスレッドなどがあります。

他にもたくさんありますよ。食べ比べしてみたいですね。
風邪の予防や疲労の回復効果バツグン!
じゃがいもには意外とビタミンCがたくさん含まれていることご存知でしたか?その量はほうれん草やミカンと同じ位です。
しかも、本来ビタミンCは水溶性ビタミンと言い水に溶けやすく熱に弱いので料理の過程で失われやすいのですが、じゃがいもの中のビタミンCは、でんぷんに守られて加熱しても壊れにくいそうです。
ビタミンCはアンチエイチングや肌荒れなどにも効果がありますよ。
カリウムが摂りやすい

食卓に並ぶ色々なメニューとしてじゃがいもは日常的に使われますよね。
カリウムはナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、むくみや高血圧に効果があります。
また、長時間の運動による筋肉の痙攣などを防ぐ働きもあります。逆に不足すると、筋肉が弱り障害を起こすそうです。
栄養満点で優秀な野菜

他にも栄養たくさん。
- ビタミンB1
疲労回復に貢献 - 食物繊維
腸の中にある毒素を体外へ排出し、腸内環境を整え便秘解消に貢献 - 鉄
貧血予防に貢献 - マグネシウム
骨や歯の形成、代謝を助ける機能
じゃがいもの皮に多く含まれている「クロロゲン酸」は、がん予防や老化防止の効能、糖尿病の予防にも効果が期待されています。
皮つきで調理できればさらに良いですね。これは嬉しい!
米飯100gのカロリーは168kcalに対し、じゃがいも100gはおよそ80kcal。約半分ですよね!
じゃがいもは炭水化物を多く含む食品ですが、一部は“レジスタントスターチ”というダイエットに効果的なでんぷんが含まれているのです。
血糖値の上昇を抑制する効果や、便秘の改善から大腸がんの予防・中性脂肪・コレステロールの低減、さらには食欲の抑制効果が期待できるという優れもの。
ダイエットや健康に効果的ですね。
じゃがいもには毒・ソラニンがある?
じゃがいもの芽(芽とその芽の根元)や、皮(特に光が当たって緑色になった部分)には、天然毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれているので、これらの部分を十分取り除くことが大切です。
購入・調理における注意ポイント
目が大きく緑色に変色していたらNG
芽が大きく出ていたり、緑色に変化した部分が確認できるじゃがいもは、購入しないようにしましょう。
家庭菜園で育てると毒素が多い傾向
家庭菜園などで採れる未熟で小さめのじゃがいもは毒素が含まれている危険性があるので気を付けましょう。
小さくて未成熟なジャガイモは皮をむく
小さくて未成熟なじゃがいもや変色しているじゃがいもは、なるべく皮を厚めに剥いて食べましょう。
調理の際には目は大きめにくり抜く
調理時、緑の部分や芽の部分は、少し大きめにくりぬいて取り除きましょう。
お子様向けには皮を多めに向く
小さなお子さんの場合は少量の毒素でも中毒になる可能性があるため、普通のじゃがいもでも皮をむいて与えましょう。
日の当たらない涼しいところで保管
じゃがいもを保管する時は、日の当たらない涼しいところに置きましょう。

約3~8割の毒素が皮の周辺に集まるとされています。
またソラニンやチャコニンは熱に強く、170℃以上の加熱をしないとほとんど分解されません。
保存にも注意を!
じゃがいもは、高温で加熱することで大量のアクリルアミドを生成することが分かっています。アクリルアミドとは「人に対しおそらく発がん性がある」物質に分類されるものです。
低温で貯蔵したもののほうがアクリルアミドが多く生成されるとされているので、冷蔵庫など8℃以下でのジャガイモの貯蔵・保管は避けましょう。
カレーや肉じゃが、ポテトサラダにポテトフライ。さまざまな料理で大活躍のじゃがいも。これからの時期も、特に食中毒には気を付けて美味しく頂きたいですね。
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