- クマバチの巣があった場合、そうやって駆除したらいい?
- クマバチの巣作りはどうやってしているの?
クマバチはとても大きな身体をしています。
しかし、クマバチの性格はとても温厚なハチだとして知られています。
とは言え、同じ蜂の種類・・・大きな巣でも作られてしまった場合、駆除しなければいけないと思う方の方が多いと思います。
もし、クマバチの巣が身近にあるのを見つけた場合、その巣は駆除した方が良いのでしょうか。
ここでは、クマバチの毒性や刺された場合の対処法の他、駆除方法など、クマバチの巣作りについて解説します。
クマバチの巣は駆除すべき?
クマバチってどんな蜂なの?
クマバチは体長2cmの、同じ蜂の中でも特に個体として丸い体型をしています。
よく見かけるクマバチは黒色の身体をして、飛ぶと大きく「ブンブン」と音を立てて飛んでいます。
クマバチは、身体全体が黒く、胸部だけが黄色い色をしています。身体がとても丸く、色が黒いことで、全体的に大きく見えます。
それでも、実際のところ、他の蜂の大きさとはそこまでの大差はないと言われているのです。
クマバチはミツバチの仲間となりますが、スズメバチのようなスラリとした体型ではなく、ずんぐりとした丸い体型が大きな特徴となっています。
■クマバチの飛行能力
クマバチはスズメバチと同様にかなり大きな音を立てて空を飛びます。
その為、近くを通り過ぎる時こそ、その大きな音に驚く方も少なくありません。

この大きな羽音こそ、クマバチの特徴だと言えます。
これは、身体の割に羽の大きさが小さく、空気抵抗などを利用しながら上手にホバリングする為、人一倍羽を動かさなければ、自分の丸い身体を浮かせることができないようです。
それでも飛行の安定性は抜群で、花の蜜を吸う際も、その周辺をいつも得意げにホバリングしている姿をよく見かけます。
このホバリングについても、オスが縄張り争いを行う際に相手を見極める際、ホバリングがとても有効であることからこのような習性が生まれたそうです。
昔はホバリングの習性やこれほど安定した飛行ができるクマバチの生態が謎めいているとも考えられていました。

やはりその謎は羽の小ささだったようです。
これは、現代の航空力学的には、空気の粘土を利用し、クマバチが安定ある飛行が可能であることが解明されています。
■クマバチの活動の時期
クマバチは春〜秋にかけて活発に活動を行います。
その為、春から気温も上昇する夏になると、クマバチはブンブン大きな音をたててあちこちを飛び回る姿が確認されています。
あれほどの羽の音を聞くと、どうしても怖い・・・などといった印象を持つ方が多い中でも、クマバチの食性は肉食ではなく花の蜜を吸ったり、花粉を食べることで生きている為、比較的のんびりとした習性を持つハチとして知られています。
■クマバチの交尾は?

クマバチは単独行動をして生きる個体です。
子孫繁栄のためにも、オスのクマバチは春先になると、メスを待つために自身の縄張りを作り始めます。
この縄張りにメスを誘い、交尾を行うと、その後、メスは木に穴を掘り、自身が産卵するための巣を作ります。
クマバチは枯れ木に穴を掘り、そこに巣を作るとされています。
特に古い木造家屋は巣作りに最適であると言われているのです。公園など、軒下の木に巣を作ることもあります。
夏になると、卵から無事に羽化し、成虫になる為、その頃には巣に戻って子育てを始めます。
羽化した子供のハチは当然、まだまだ未熟であることから、安易に外に出ることができません。
その為、親のクマバチは、花粉を採りに出掛けます。
このように、クマバチには、自分が生んだ子供と同居し、子育て行う習性を持つハチであることが分かります。
また、クマバチは、ミツバチやスズメバチなどのように集団で生活をし、巣作りを行う社会性のあるハチと、群れを形成せずに単独行動で生きるハチの中間に位置するようなハチであることが分かります。
その年の夏に生まれたクマバチの成虫は越冬し、翌年に交尾を行い、同じように子育てを行い、子孫を残します。

クマバチの一生は、約1年の命であるということです。
クマバチが作る巣の特徴は
クマバチは、集団で過ごし、社会性を身につけたスズメバチなどとは異なり、単独で過ごし、単独で生きる社会性のないハチとして知られています。
また、スズメバチのような社会性のあるハチは、その作る巣の大きさもかなりの大きさになるものが多く、危険を伴うことから駆除を行う必要があると言われることが多いです。
一方で、社会性がなく単独で生きるクマバチのようなハチが作る巣は、一般的なハチの巣の大きさと比較すると全く別のものです。
本来、ハチであれば、六角形の形をしたハチの巣を作るのが普通ですよね。
実際のクマバチの巣は、木に穴をあけて、そこに暮らしているのです。
それが、クマバチの作るハチの巣は、まるでキツツキが木に穴をあけたかのように穴を作るだけなのです。
その中で子供と過ごし、越冬します。
そしてまた、暖かくなったころに外に出てきます。
クマバチはスズメバチなどとは異なり、何世代と引き続き、同じ巣を使用することもあるそうです。
その為、あちこちに巣穴をあけるといったことも少ないそうです。
ただし、古い家屋であった場合など、クマバチの巣があることが分かると、やはり駆除対象として依頼をする方も多いです。
自然界の中にクマバチの巣を見つけたとしても、そこまで積極的に駆除する対象ではありません。
クマバチは人間から手を出して襲っていかない限り、クマバチの方から人間に攻撃をかけてくるといったことはない、とても温厚なハチとして知られている為、そこまで神経質に巣の駆除を検討する必要はないと言えます。
■クマバチの巣の構造
巣作りの際はメスが太い枯れ枝や木造家屋の垂木に細長い巣穴を作り、その中に、花粉や花の蜜を集め、これを団子状に丸めたら、それがこれから生まれる幼虫の餌となり、その準備が整ったら、メスは巣穴で産卵をします。
クマバチの産卵は、蜜の団子1つにつき、クマバチの幼虫1匹分だと考えられていることから、蜜の団子と産卵した卵を置いて個室を作ります。
1匹のメスが産卵する卵の数は約8個です。
この卵が1匹ずつ個室に入る為、細長い巣が必要となる訳です。
このように巣作りを行い、メスは幼虫が成虫になるまでじっと待つと言われているのです。
クマバチは毒があるってホント?
刺されたらどうする?
クマバチはハチである為に、毒針を持つものだと思っている方がほとんどだと思います。
しかし、クマバチは毒針を持つのはメスのみで、オスは毒針がありません。
それでも、クマバチのメスが刺すというのは、巣作りを行い、産卵を迎える際など、普段とは違って特に警戒心が強くなることで人間に襲いかかるといったことがあります。
その為、見るからに巣作りを行うメスの姿は忙しく動き回っています。
木の下や軒先に、クマバチが単独で飛んでいる場合は、そこに巣を作る為の準備をしていると思ってください。

むやみに近づかないことが大切です。
それでも、クマバチに刺されてしまうこともあります。
もしも刺されてしまっても、クマバチの毒性はスズメバチのように強いことはありません。
■クマバチに刺されるとどんな症状がある?
- 数日間痛みが続く
- 患部が赤く腫れる
- 人によってはアナフィラキシーショックが起こる場合も
命に係わるほどの悪影響が及ぶということもないですが、刺されるとやはりさすがにその痛みは数日間続くと言われています。
それと同時に刺された患部は赤く腫れ上がります。
毒性は弱いものの、刺された方に急性アレルギー反応であるアナフィラキシーショックが見られた場合は要注意です。
ハチが持つ毒は、同じタンパク質であることから、毒の強さに関わらず、誰にでもアレルギーが起こる可能性があります。
もしも、重篤なアナフィラキシーショックが起こった場合は、即座に病院を受診することが重要です。場合によっては救急車を要請しましょう。
■クマバチに刺されたらどうするの?
クマバチに刺されたとしても、まずは焦らずに落ち着いて応急処置を行いましょう。
- 刺された際は、患部に針が刺さっていないか、残っていないかを確認してください。
- 毒針がまだ残っている場合はピンセットなどを使用して抜きましょう。
- 腫れを冷やし、痛みを和らげる効果がある為、針が抜けたら患部に付着している毒を綺麗に流水で洗い流します。
ピンセットではなく、指でつまもうとして、針が余計に中に入り込んでしまうことを防ぐ為にも、指でつまんで抜こうとすることは避けてください。
針が抜けたら、血と一緒に毒も出てくるので、洗い流しながらも患部を指でつまみ、血液を絞り出すようにしてください。
そして、その後、患部に抗ヒスタミン系ステロイド剤を塗布するようにしましょう。
よくありがちな行為として、毒を抜こうと口で血を吸い出そうとする方がいます。これは、口腔内や体内に毒が回ってしまい、大変危険である為、絶対に行ってはいけません。
■応急処置後は病院を受診すること
ある程度の応急処置を行った後、そのまますぐに病院を受診してください。

受診は皮膚科が理想です。
自分で応急処置を行ったからこれでよしと自己判断することは避け、必ず病院を受診してください。
また、受診の際は、アナフィラキシーショックが起こる可能性もある為、ハチに刺されたことを必ず医師に伝えるようにしましょう。
クマバチの毒性が弱いからと言って、処置を怠ることなく、最後まで注意深く処置してもらうことが大切です。
クマバチやクマバチの巣は駆除すべき?
冒頭でもお伝えしたように、クマバチは比較的温厚な性格の持ち主で、人間から危害を加えない限り、クマバチの方から人間に襲いかかってくるといったことはありません。
産卵シーズンはクマバチとの距離感に注意する必要はありますが、その他の点については特に大きな問題は起こらないとされるハチの種類です。
それでも、大きな羽の音が怖い・・・などという理由から、もしも自宅の軒下などに巣を作ってしまった場合などは駆除したいと思うかもしれません。

その前に、巣を作られてしまわない工夫も大切です。
クマバチは、竹垣や竹ぼうき、屋根の支柱、庭の木の幹などに簡単に穴をあけて巣作りを始めてしまいます。
■どうしても駆除しなければならない場合は?
古い家屋であった場合は特に、クマバチにとっても巣作りしやすいことから、簡単に穴をあけて住み始めてしまいます。
もしもそのような場所にクマバチの巣を見つけた場合は、安全に作業を行う為、活動していない夜に駆除を行ってください。
- 駆除は、穴の中にハチ用殺虫剤をスプレーします。
- 巣穴からクマバチが出てきたら、穴を木工パテで埋める
クマバチの巣を駆除する際、特にハチ専用のものでなくても、成分として殺虫成分が含まれていれば良いとされています。
この時、ハッカ油などのスプレーも効果があるようです。
このように殺虫スプレーを行った後、巣穴からクマバチが出てきたら、その穴を木工パテなどで埋めましょう。
クマバチのオスとメスの違いは?
クマバチノオスとメスの違いはとても簡単に見分けることができます。
花の蜜を吸っているその姿を観察してみると、特に顔の形に注目してください。
【顔のココに注目】
複眼が楕円形をしていて、目と目の間が黒い色をしている個体がメスで、そうでない方がオスです。
メスは顔が大きく全体的に黒っぽい色をしています。
オスは複眼に丸みがあって、目と目の間に逆三角形の黄色の毛が生えています。

何となく人間の顔のようにも見えます。
クマバチは温厚な性格のハチなので、花の蜜を吸っている時をチャンスとして観察してみるのも良いですね。
■オスのクマバチの特徴
オスのクマバチは、メスと交尾を行う季節は低空飛行をして待っています。

その姿はとても上手なホバリングで、安定感抜群です。
これは、オスが縄張りを作り、メスを迎える準備をしているのです。
その為、普段、クマバチがホバリングしている姿を見かけた場合は、それは、交尾を行う時期であり、ホバリングしているのは大抵の場合がオスであることが分かります。
なおさら毒針を持たないことから、安心して観察することができますね。

また、クマバチのオスであれば捕まえてもOKです。
手で触っても、毒針を持たないことから刺すことはできず、刺す真似だけをするのみで、特に危険性はありません。
刺す真似をするその姿はとても可愛くも見え、面白くも見えます。
とは言え、オスは刺すための毒針がない代わりに、自己防衛のために咬むようなこともある為、手で触る時には注意が必要です。
もちろん、メスには毒針がある為、捕獲するのはNGです。
オスとメスの区別がままならないままで捕獲して、誤って触れたクマバチがメスであった場合は大変です。
きっとその時にはすでに毒針で刺されている可能性が高い為、もしもクマバチを捕まえるようなことがあれば、それがオスなのかメスなのかをしっかりと見極める必要があります。
その点はくれぐれも注意して行うようにしてくださいね。
■藤の花によるクマバチ
藤の花は、マメ科の花で、蜜線が花の奥のがく付近にある為に、花の蜜を吸うためには、身体を押し込んで吸わなければなりません。
その為、クマバチの身体には花粉がたくさんつきます。
受粉にも効果的なクマバチと藤の花はとても相性が良いようで、藤の花はクマバチを大歓迎します。

お互いが上手に共存しているように見えますね!
人間の世界も共存というシステムが存在しますが、昆虫の世界においても同じく共存社会が存在しているのもとてもおもしろいものですね。
特に、クマバチは人間に対して危害が少ないとされるハチであるだけに、その分、違った意味で興味もわく方もいるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
クマバチの巣は駆除すべきか、また、クマバチの生態や特徴、巣作りの方法などをご紹介しました
クマバチはそこまで人間に対して大きな危害を加えるようなハチではないために、スズメバチのように巣を作ったからといって、それをすべて駆除対象とすることはないような気がします。
しかし、古い家屋の軒下など、朽ちた木があれば、その場所を好んで簡単に穴をあけて住み始めてしまう為、自宅の軒下にハチの巣があるというのも少し問題です。
どうしてもそのような状況であった場合は駆除を検討すると良いでしょう。
このように大きく危害を加えるハチではないため、積極的に巣を駆除するという対象のハチとは言い難いかもしれませんね。
それでも、巣作りを行うメスが攻撃的であることから、近くで巣を作っていることが確認できた場合は、早々に駆除を行っておくようにしましょう。