- クサカゲロウとはどんな虫?生態や卵は?
- クサカゲロウの卵は孵化する前に駆除すべき?
- クサカゲロウの卵は幸運を呼ぶ?
夜、灯りの周りを緑色で透明の翅の小さな虫が飛んでいるのを見つけたら、それはクサカゲロウという虫です。
よく見ると、透明の翅から透けて見える細くて緑色の胴体が、とても華奢で綺麗です。
翅にもレースのような模様がついていて、昆虫とは言え、じっと見入ってしまうこともあるのではないでしょうか。
通常は葉の裏に卵を産み付けますが、時には車に卵が付いている時もあります。
そんな時はどう対処したらいいのでしょうか。
今回は、クサカゲロウについて紹介します。
クサカゲロウとはどんな虫?
生態や卵は?
クサカゲロウの卵の駆除のお話をする前に、クサカゲロウの生態などについてお話していきましょう。
クサカゲロウの種類

クサカゲロウは、世界で1300種類が知られています。日本には約40種類が生息すると言われています。
ヤマトクサカゲロウ、ヨツボシクサカゲロウなど10種類が人家周辺で普通に見られます。
クサカゲロウは夜行性のため、昼間はあまり見られませんが、灯りや火の周りに集まってきます。
大きさは約1cmから3cmです。
種類によっては、臭い匂いを発するものもいるため、「臭いカゲロウ」から「クサカゲロウ」という名がつけられたとも言われています。
ただ日本にいる種類はほとんどが臭い匂いを発しない種類ですので、安心して下さい。
日本に生息する代表的なクサカゲロウは?
日本にいる代表的なクサカゲロウは、主に3種類が生息しています。
- ヤマトクサカゲロウ
- ヨツボシクサカゲロウ
- カオマダラクサカゲロウ
主に、この3種類のクサカゲロウが日本に生息しているクサカゲロウになります。
ヤマトクサカゲロウの特徴
ヤマトクサカゲロウは全体的にきれいな緑色をしていて、背中に一筋黄色い線があります。
目の横にある黒斑が目に接触していて、口元にあるヒゲが薄茶色に見えます。
ヤマトクサカゲロウにとても似ているスズキクサカゲロウという種もいます。
スズキクサカゲロウは目の横にある黒斑が目から離れており、口ヒゲは濃い黒に見えます。
ヨツボシクサカゲロウの特徴
ヨツボシクサカゲロウは、ヤマトクサカゲロウより少し小さく、頭部に4~5つの黒い模様があります。
越冬をする時期には、体の色は黄褐色に変わります。
そのため、同じカゲロウとは判断しにくくなります。
冬の時期に綺麗な黄緑色のままだと目立ちすぎてしまい、落ち葉などの色のようになって外敵から身を守るためかもしれません。
カオマダラクサカゲロウの特徴
カオマダラクサカゲロウは、口ひげの付け根あたりに黒い斑紋があるのが特徴で、「カオマダラ」という名前がつけられています。
クサカゲロウの生態

クサカゲロウの出現時期は4月から10月で、成虫は越冬することもできます。
カゲロウ(蜻蛉)と聞くと、何かはかないようなイメージですが、卵から成虫まででだいたい3,4ヶ月の寿命です。1年で考えると、3世代交代することになります。
蚊のように1ヶ月しか生きられない虫と比べたら、華奢な体のわりには意外と長生きしてますね。
クサカゲロウは卵から幼虫、蛹になり成虫となります。成虫の美しい姿に比べると、幼虫は醜い感が否めませんが、アブラムシを餌とするため、益虫としての役割も持っています。
アメリカやニュージーランドでは、農作物の害虫駆除に使用している国もあるほどです。
クサカゲロウの卵

クサカゲロウの卵は葉の裏に産み付けられることが多く、大きさは約1ミリほどで、色は白、形は楕円形をしています。
そして、それぞれの卵が糸状のヒモの先にぶら下がっています。

クサカゲロウは、一箇所に10から60個ほどの卵を産み付けます。
ヒモの先についている卵たちがゆらゆらとしている様は、とても不思議で神秘的な光景です。
クサカゲロウの種類によっては、ヒモがコヨリ状になっているものもあり、その先についている複数の卵が花のように見えることもあります。
この神秘的な姿からでしょうか、クサカゲロウの卵は「優曇華(うどんげ)」という、仏教の説法に出てくる伝説の花の名前で呼ばれています。
あるいは、昔の人は虫の卵と思わなかったのかもしれません。葉の裏など、植物についているので、花だと思ったのでしょう。
卵は約1週間で孵化し、幼虫となります。
クサカゲロウの幼虫
クサカゲロウの幼虫は卵から出ると、1日じっと卵にしがみついています。
よく見ると、幼虫の体には白くて細かい毛がたくさん生えています。

卵や成虫の美しい神秘的な姿からすると、幼虫の姿は醜くて、アリジゴクを細長くしたような姿です。
幼虫の大きさは種類によって異なりますが、大きいものだと3cmにもなります。
クサカゲロウは、幼虫の時にとてもたくさん餌を食べますが、主に、アブラムシやハダニ、カイガラムシなどを食べています。
600匹のアブラムシを食べるとも言われています。
幼虫でいる間は10日間ですが、その間に600匹ものアブラムシを食べ、餌が足りなくなるとアリを襲ったりもします。
ある種では、幼虫の背に鉤状の毛があり、体液を吸ったアブラムシの殻をそこに引っ掛けて背負う行動をします。
体中がアブラムシの殻で覆われている幼虫もいて、ゴミが動いているような印象を受けます。
敵から身を守るための行動ではないかと言われていますが、実際はまだこの行動の理由はわかっていません。
クサカゲロウの蛹
クサカゲロウの幼虫は3齢幼虫になると、お尻から糸を出して繭を作って蛹になります。

蛹になっている期間は、約2週間です。
クサカゲロウは蛹から直接成虫が出るのではなく、いったん蛹が繭から出て、歩行脱皮して成虫になります。
クサカゲロウを卵から飼育した人が、幼虫から繭が十分に出なくて動かなかったクサカゲロウが実は蛹化していて、無事に羽化したという報告をしています。
こういう場合、野生のクサカゲロウなら他の虫の餌食になっていたことでしょう。
クサカゲロウの成虫

クサカゲロウの成虫の大きさは、1cmから3cmです。
成虫になると、肉食だった幼虫とは異なり、主食は植物の花粉やアブラムシが出す甘い蜜になります。
種類によっては、カイガラムシも食べるそうです。
クサカゲロウが成虫でいる期間はだいたい3ヶ月で、年に2~3世代を経過します。
成虫は生存期間に、数千個の卵を産みます。
クサカゲロウの卵は
孵化する前に駆除すべき?
クサカゲロウの卵を葉の裏に大量に見つけた場合、早急に駆除した方がいいのでしょうか?

答えは、ガーデニングや農作業、家庭栽培をされている場合は駆除しない方がいいです。
では、どうして、ガーデニングや農作業などをされている方は駆除しない方がいいのか、ご説明していきますね。
クサカゲロウは大食い?
先ほど、クサカゲロウの幼虫のところでもお話しましたが、クサカゲロウの幼虫はアブラムシを食べます。
ですので、たいていアブラムシがいる植物に卵を産み付けます。

殺虫剤でアブラムシを退治する方法もありますが、自然の方法で退治したいなら、クサカゲロウの幼虫が大いに役立ちます。
葉にクサカゲロウの卵を見つけたら、そのままにしておきましょう。
卵が孵化して幼虫になるまで、待ってみて下さい。
最初のうちは幼虫は小さいので、それ程アブラムシが減ったという印象はないでしょうが、孵化から1週間以降には幼虫は大食漢になります。
この幼虫の時期には、何と600匹のアブラムシを食べると言われているのですから。
食べるというか、アブラムシの体液を吸うので、この時期のクサカゲロウの幼虫の周りには、アブラムシの殻がたくさん見られることでしょう。
また、時々、車にクサカゲロウの卵が付いている時があります。
植物でもないのに、車のドアのところにいきなり糸がついていて、その先の卵がユラユラと揺れている光景は、少し異様です。
クサカゲロウは、人に対して害のある虫ではないので、そのままにしててもいいかもしれませんが、気持ち悪い人は水などで洗い流して下さい。
雑巾などで取ろうとしてもなかなか取れませんので、しっかりと水で洗い流すようにして下さい。
細い糸ですが、一度付いたら取れにくいというのも、ちょっと意外ですよね。
クサカゲロウの不思議な習性
クサカゲロウの幼虫はアブラムシの体液を吸い尽くした後、そのアブラムシの死骸である殻を背中に背負って動くという習性があります。
アブラムシだけではなく、近くにある葉っぱや種子などのゴミも背中に背負います。
よく蟻が自分より大きな餌を一生懸命運んでいるのを目にしますが、クサカゲロウの幼虫は自分の身をこれらのゴミで隠すようにして動きます。
そのために、幼虫の体には毛がいっぱい生えており、そこにゴミを引っ掛けるようになっているのです。

一瞬見ると、ゴミが歩いているように見えるので滑稽な光景です。
ガーデニングしている人は、もしクサカゲロウの卵を見つけたら、観察してみると面白いかもしれませんね。
滑稽で面白い幼虫の後は、とても美しい成虫に育ちますので、それも楽しみの一つですよ。
クサカゲロウの卵は幸運を呼ぶ?
これはいったいどのようなことなのでしょうか?
クサカゲロウの卵につけられた別名が由来しているようです。
クサカゲロウの卵の別名とは?
クサカゲロウの卵は、「優曇華(うどんげ)」の花と呼ばれています。

「優曇華(うどんげ)」とは、仏教教典に出てくる伝説の花で、3000年に一度しか咲かないと言われています。
また、「優曇華(うどんげ)」が咲く時には、金輪王が現世に出現するとも言われています。
この金輪王は、インド思想では理想の王様とされる転輪聖王(てんりんじょうおう)の一人で、最大で最高の王様です。
その王様が3000年に一度現れるのですから、とてもありがたい花とされているのです。
クサカゲロウの卵に、なぜこのような花の名前がつけられたのかは分かりませんが、昔の人はクサカゲロウの卵を虫とは思わず、花だと思っていたのでしょう。
卵は1ミリととても小さく、葉の裏に産み付けられますので、あまり人目につくこともなく、注意しないと見つけられないでしょう。
そのため、見つけた時は「優曇華(うどんげ)」の花のようにとてもありがたい、吉兆のしるしと思われたのかもしれません。
クサカゲロウの卵は吉?それとも凶?

地域によっては、クサカゲロウの卵を凶とするところもあるようです。
昔は、クサカゲロウの卵が家についていると、その家は火事になるとか病人が出るとか言われていたんだとか。
多分、昔の人が嫁に対する戒めとして、そのようなことを言い始めたのではないでしょうか。
その名残が今もあるのでしょう。
クサカゲロウの卵を凶とすることもあるのです。
とはいえ、吉か凶か、どう見るかは、見た人次第ではないでしょうか。
私は吉と見たいですね。クサカゲロウの卵を見たら、その日一日は素敵な気持ちで過ごせますから。
「優曇華(うどんげ)」の花は、実在する?
「優曇華(うどんげ)」の花は伝説の花と書きましたが、実はモデルとなった花があるのです。

それは、インド原産のクワ科イチジク属のフィクス・グロメラタです。
葉は10~18cmで先が尖った楕円形で、実は長さ3cmの倒卵型で食べられるそうです。
花は小さくて花托に包まれて見えないために、「滅多に見れない」ことが「3000年に一度咲く花」となり、「見たらいいことがある」となったようです。
日本でも熊本県や長崎県では、アイラトビカズラやフサナリイチジクが「優曇華(うどんげ)」と呼ばれています。
まれに、芭蕉の花が「優曇華(うどんげ)」と呼ばれることもあるそうです
まとめ
クサカゲロウは小さな虫ですが、調べてみると別名があったり、卵、幼虫、成虫と成長の段階で様々な姿を見せる、興味深い虫なんですね。
卵を見つけたら、観察して、その成長を見守ってみるのも面白そうだと思います。
ウスバカゲロウとクサカゲロウ