- かぼちゃの漢字はどうして「南瓜」って書くの?
- 漢字の由来は?
何気なく目にしている南瓜という感じですが、よくよく考えると「なぜこう書くのだろう?」と思いますよね。
かぼちゃの漢字の由来、語源や意味を調べてみたので、以下をご覧ください。
「南瓜」という漢字の由来
かぼちゃは、1532年~55年の天文年間に、カンボジアの瓜として、日本にもたらされました。
カンボジアという国の位置は日本の南ですよね。南の国の瓜、ということで「南瓜」と漢字で命名されたといわれています。
日本におけるかぼちゃの歴史
1532~55年の間に、カンボジアから渡来したかぼちゃ。その後どのように日本に広まったのでしょうか。
かぼちゃの基本情報
- 科目
:ウリ目ウリ科 - 日本にある主な種類
:日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃ - その他細かい品種
:宗麟かぼちゃ、鹿ヶ谷かぼちゃ、黒皮かぼちゃ、菊かぼちゃ、くりかぼちゃ、坊ちゃんかぼちゃ、糸かぼちゃ - 主な生産地
:中国、インド、アフリカ、ウクライナ - 主な栄養素
:ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなど
- 科目
ウリ科に属するかぼちゃは、1532年からの天文年間に日本にもたらされ、まずは当時の豊後国の大名であった大友義鎮(宗麟)に献上されました。
それゆえ当時では、かぼちゃは『宗麟かぼちゃ』と呼ばれていたようです。じゃがいものようにゆでて食べたと思われますが、その甘みにびっくりしたでしょうね。
日本でかぼちゃ栽培が始まったのは
日本かぼちゃと西洋かぼちゃは日本で栽培され始め、気候があったせいかあっという間に土着しました。古い記録では1615年以降、日本でのかぼちゃの栽培が可能になったのです。
低温に強い西洋かぼちゃは、北海道や東北地方で広まり、中部以南では日本かぼちゃが栽培されました。現在東京の大手スーパーに普通に並んでいるかぼちゃの多くは「西洋かぼちゃ」。
西洋かぼちゃがのニーズが高まるごとに、中部以南の各地で、西洋かぼちゃをハウス栽培する農家が増えてきました。
明治以降、アメリカからもかぼちゃが渡来
明治時代に、アメリカ合衆国より新しいかぼちゃの品種が渡来しました。

アメリカからのかぼちゃといえば、イメージするのはハロウィンのときのおばけかぼちゃですよね。
ハロウィンのときの大きなかぼちゃは「ペポかぼちゃ」と呼ばれて、日本に来たのは更に後。
「くりかぼちゃ」「坊ちゃんかぼちゃ」「糸かぼちゃ」「ズッキーニ」なども、西洋かぼちゃの種類です。
日本でもっとも多く食されているのが西洋かぼちゃなので、目にする機会も多いでしょう。
かぼちゃ発祥の地
かぼちゃの土着性の強さは世界各地で確認されており、それゆえにかぼちゃの正確な原産地を割り出すことが難しくなっています。
紀元前7000年ほどのメキシコの洞窟地層から、考古学者がかぼちゃの種を発見したことにより、どうやらかぼちゃの原産地はメキシコあたりではないかとの見方が強いです。
コロンブスがアメリカ大陸を発見する以前のアメリカでは、かぼちゃは主流の作物のようです。
肉厚で甘みのある現代のかぼちゃを思い浮かべる人も多いでしょうが、当時のかぼちゃは違いました。現代好んで食べられるかぼちゃの果肉部分は、水っぽくて苦味があり食べられなかった様子。
昔の人は、果肉部分ではなく種を炒って食べていたとの見方が、発掘調査などで推測されています。また、当時はかぼちゃの外側の硬い皮を、容器として使用していたのではないかとの説もあるとか。
ハロウィンなどでかぼちゃの中をくりぬくと、確かにいい入れ物になりそうな頑丈さです。処理をしないとすぐに腐ってしまいますけどね。
「かぼちゃ」という読みの由来は?
かぼちゃの漢字の由来は上に紹介したとおり。

では、「かぼちゃ」という読みの由来はどうなのでしょうか。
かぼちゃはカンボジアからもたらされました。渡来した当初は「カンボジア瓜」(かんぼじあうり)と呼ばれ、後に「かぼちゃ瓜」に。
その後さらに「瓜」が略され、「かぼちゃ」となりました。「カンボジア」→「かぼちゃ」。確かに、名残がありますよね。というか、言われてみればそのまんまです。
数百年経ってちょっと語感がくずれただけで、今でも十分「カンボジア」の言葉が残っています。
かぼちゃには別の呼び名があった
かぼちゃはほかにも、「ボウフラ」「南京(なんきん)」「唐茄子(とうなす)」と呼ばれていました。ボウフラは、ポルトガル語の「abobora」(ウリ科という意味)からきています。
南京は、文字通り中国の南京の港からもたらされたかぼちゃという意味です。唐茄子も、文字通りです。「唐」の国からもたらされた茄子、という意味ですね。
日本の地方では、今でもかぼちゃのことを「唐茄子」「ボウフラ」など、独特な呼び方をすることもあるようです。田舎のおばあちゃんなどは、伝統的な呼び方を受け継いでいるかもしれませんね。
中国でも南瓜という
ちなみにお隣の中国でも、かぼちゃは「南瓜」といわれます。名前の由来も日本と同じ。「南蛮渡来の瓜」という意味なのですよね。
南がカンボジアかどうかは不明ですが、名前の由来が国を超えて共通しているとは、興味深いですね。
南瓜に似たような漢字の野菜
「かぼちゃを漢字で書いて!」って言われたとき、「南瓜」か「西瓜」か迷ったことはありませんか?
そう、かぼちゃのように、ウリ科の植物には語尾に「瓜」をつけて命名されることが多く、漢字で書かれるととても紛らわしくなります。
以下に、有名どころのウリ科の食材を挙げてみますね。
- 西瓜(すいか)
- 冬瓜(とうがん)
- 糸瓜(へちま)
- 胡瓜(きゅうり)
- 木瓜(ぼけ)
- 烏瓜(からすうり)
- 隼人瓜(はやとうり)
いかがでしょうか。冬瓜や西瓜あたり、かぼちゃと間違えてしまいそうですよね。
東瓜と北瓜はどんな野菜?
さて、南瓜という漢字を書こうとして、迷った末に間違えて「北瓜」とか「東瓜」と書いちゃったことのある方も多いのではないでしょうか。
南瓜→かぼちゃ、西瓜→すいかと読むのなら、東瓜や北瓜はなんと読むの?と思いますよね。

実は、東瓜や北瓜は存在しません。
そんな名前の植物・野菜はないんです。近しいところで冬瓜などが思い浮かびますが、「北瓜」と漢字のイメージが近いというだけのこと。
アメリカからかぼちゃが渡ってきたのが明治以降。天文年代よりも数百年遅いのです。
この遅れがなければ、もしかするとアメリカから来たかぼちゃのことを「東瓜」と命名されていたかもしれませんよね。
日本の東に位置する国からきたものに、ふさわしい名前ですから。
まとめ
かぼちゃという名前の由来について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
- かぼちゃは南蛮渡来のウリ科の植物だったので、「南瓜」と名づけられた。
- かぼちゃの語源は「カンボジア」である。
- かぼちゃは別名、「ボウフラ」「南京(なんきん)」「唐茄子(とうなす)」などと呼ばれていた。
- 冬瓜・糸瓜・胡瓜など、語尾に「瓜」がつく植物は多い。
- 東瓜・北瓜は存在しない。
かぼちゃの歴史の中でも一番目を引くのは、その土着性の高さです。天文年間に日本にもたらされてから、あっという間に日本の地で栽培が可能となりました。
気候に合わせて日本各地での品種改良にも対応。かぼちゃという植物のもつ生命力の強さには、目を見張るものがあります。
いまではかぼちゃはいくつもの定番料理と姿をかえて、日本人の食卓を彩っています。
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