- 俳句で「爽やか」という季語はどんな風に使う?
- 季語の「爽やか」を使う適した時期はある?
俳句を作る時は、季語を含め、その季節に感じたこと、風景などを5・7・5の17音で表現するというものが俳句です。
その短さゆえ、誰でも簡単に手軽に俳句を作ることができます。
「爽やか」も季節をイメージさせる季語に当たるようですね。
ここでは、「爽やか」という季語の意味や、俳句で使う時期や季節、その使い方について解説します。
爽やか・季語の意味とは?
■季語とは?
- 季語とは、俳句を作る際に使われる「季節を表す言葉」を指す。
季節を連想させるような言葉を含めることで、より俳句の楽しさや面白さ、その時の状況を思い浮かべることができ、俳句をとても楽しむことができます。

では、季節を表す言葉や季語には
一体とのようなものがあるのでしょうか?
とは言え、一言に「季語」などと表現すると、それだけで難しく考えてしまいがちです。
例えば、季語になる言葉としては、「春・夏・秋・冬」も季語として使うことができます。
他にも、「入学式・卒業式・雪解け・春一番・立春・夏至・潮干狩り」など、これらの言葉もすべてそれぞれの季節を表す言葉となる為、季語として俳句の中で使用されます。
季節感を表現する時に、「1月・2月・3月・・・」といったように、これらもすべて季語に含まれます。
つまり、季語とは、自分自身が季節を感じることができる言葉であり、それと同時に相手にも季節を連想させることができる言葉であれば、それはすべて「季語」に該当するという訳です。
■俳句の季語はどのように分類されているのか?
俳句に使用される季語は、季節を連想させるとして、いくつかに分類されています。
- 「時候」に関する言葉(例:立春)
- 「天文」「気象」に関する言葉(例:五月雨)
- 「地理」「山」」「川」「海」「陸」に関する言葉(例:刈田)
- 「人事」「生活」に関する言葉(例:入学式)
- 「忌日」(例:桜桃忌)
- 「動物」「昆虫」(例:鶯)
- 「植物」(例:葡萄)
- 「食物」(例:おでん)
■秋の季語はどう使用すればいい?
俳句の世界はとても奥深く、普段、日常生活を送る中で使用する言葉は、実は俳句の世界ではその季節に該当しいないなど、あるルールがあるようですね。
それに「これが夏の季語?」「これが秋の季語なの?」など、驚いてしまうようなものもあります。
京都で行われる「大文字の野焼き」について、五山の送り火ですが、これは私たちのイメージとしては「夏」です。

しかし、俳句で使用する時は「秋」の季語として用いられます。
俳句の季語は、太陽暦で立秋から立冬までが「秋」であると考えられています。
また、立秋は8月7日頃であり、五山の送り火が行われる8月16日は「秋」の季節に該当するのです。
そう考えると、夏のイベントと考えられている「七夕」や「天の川」などもこれもすべて「秋」の季語として用いられることになります。
これは太陰暦と太陽暦が1ヵ月の季節がズレているために起こります。
その為、古典文学の上では、7月7日の七夕の日は、8月中旬頃に該当することになります。

だから「秋」の季語として用いられるのです。
「爽やか」さわやかの意味とその使い方
「時候」という挨拶の言葉は、手紙を書く際の書き出しで使用される礼儀文として知られています。
また、四季の移ろいを相手に伝える一文として知られています。
寒い冬を超え、やっと緑が生い茂る頃になると、私たちは自然と「爽やか」という言葉を口にします。
では、この「爽やか」について、俳句で使う時期や季節はいつが最適なのでしょうか?
■「爽やか」は実は秋の季語
意外と知られていない「爽やか」という言葉については、暑くもなく寒くもなく、ちょうどよい季節として使用されます。
そう感じるからこそ、その季節は春や初夏であるようなイメージですよね。
しかし、実は「爽やか」という言葉を用いる季節は秋となり、「爽やか」は秋の季語として俳句に用いられるのです。
■爽やかの類語
- 「さわやぐ」
- 「さやけし」
- 「さやか」
- 「爽気」
- 「秋爽」
- 「爽涼」
春は「麗らか」「のどか」という表現をしますが、秋は「爽やか」「身に入む」「冷じ」という季語を用いることになります。
俳句で用いる「爽やか」には、とてもさっぱりとした、快い、晴れ晴れとして気分という意味となります。
清らかな風が吹くような秋は「爽やか」という表現がぴったりな言葉だということが分かります。
■「爽やか」は春や夏の表現には使用しない
俳句を作る際、その考え方としては、「爽やか」は秋を表現する季語となります。
例えば「風薫る爽やかな季節となりました」という表現で書き出し文が書かれていると、その季節が春や夏であるとあまりしっくりとこない=好ましいとは言えない表現であることが分かりますよね。
気象庁の「天気とその変化に関する用語」を調べてみると、「爽やか」という言葉は、原則、夏や冬に使用せず、秋に発生する移動性高気圧に覆われる際、空気の乾燥と気温が快適になる晴天の日に用いる言葉」として記されています。
実際、これが正しい日本語の使い方なのだということを知りました。
しかし、これはあくまで俳句を作る際の世界での考え方となることから、普段の日常会話で使用してはいけないということではありません。
むしろ、「爽やか」については、詩歌の言葉をよくご存じである方や目上の方、年上の方に対して書き始めるような際には使用すべきではありません。
すべてを禁止事項とする訳ではありませんので、堅苦しい思いで俳句を作るようなことがないようにしてくださいね。
■春や初夏に使用する表現は?
一方で、春や初夏であった場合に用いられる言葉としてはどのようなものがあるのでしょうか?
その為、春や初夏に「爽やか」を使用したくなりますが、俳句の中では季節感を持たせることを重視し、使用するのは避けましょう。
簡単に考えた場合、春は季節がとても暖かく、のんびりとした雰囲気の言葉を選び、夏は涼し気な清涼感のある言葉を選んでみましょう。
とは言え、現代と昔とでは、その言葉の意味や重みも変わっています。
時代とともに変化を見せる言葉ですが、ある程度の許容で使用すると良いと思います。
俳句で「爽やか」はどのように使うの?
- うなづき爽やか明日の嶺を確かめて
- かつて農夫のその日新樹の爽かなり
- くさむしり蚊帳吊草は爽やかかに
- くづれては瀬をさやかにもしもはしら
- ここに少年期根瘤さやかに秋の椎
- 爽やかな君の名乗りの残りけり
- 爽やかにまなこのなかにしまふもの
- 爽やかに日を日まはりの上に見る
- 爽やかに木曾の五木をけふ見たり
- 爽やかや白木のピアノ演奏す
- 爽やかに若さはばたきゆける空
- 爽やかに向き合ふ未来はじまりし
このように「爽やか」を用いて俳句を作ってみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
「爽やか」の季語の意味や俳句で使用する時期・季節、その使い方についてご紹介しました。
私たちが日常生活を送る中で、「爽やか」という言葉を聞くと、それは夏のイメージを思わせるものです。
しかし、俳句の世界においては、「爽やか」は秋の季語として用いられることが分かりました。

これについては少し驚きましたね。
まさか「爽やか」が秋というイメージは全くなかった為、勉強になりました♪
これから俳句を作って楽しむ際、「爽やか」という言葉を使用する場合は、秋の季語としての俳句を考えて気軽に楽しみながら作ってみてくださいね。