- 劇団員の給料や生活とはどんなもの?
- 収入が少ない劇団員の末路はバイト生活?
皆さん、劇団員といってどんなイメージをお持ちですか?
役者という表現がありますがそれは映画やテレビにも出演している人を総称している言葉なので、ここでは劇団に所属している劇団員に特化してお話していきましょう。

劇団と一口にいってもピンからキリまであります。
それでは劇団を大きな劇団と小規模(小劇団)とに分けて、お話していきます。
劇団員の給料・ギャラは?
劇団四季での給料・ギャラ

劇団四季は大規模な劇団ですし会社組織でもあります。
以前は会社だったので晴れて研究生を終えたあと劇団員になれば給料が給付されていました。会社員になって8万円もしくは9万円からスタート。これが高いか低いか。
実家から四季に通う人は生活に困りませんが、一人暮らしの人なら手取り8万、9万で暮らしていくのはきついですね。
そうかと言って四季の場合は、劇団員になれば昼間の稽古のあと夜の本番があり全国巡演もある為、他にバイトをする時間がありません。
現在は社員制でなく契約社員制になりました。しかし一人暮らしの人はシェアハウスなどを利用して生活費を安くあげる工夫をするしかありません。
他の劇団での給料・ギャラ?
小劇場と言われるいわゆる少人数7,8人から20人位の劇団員数の、劇団員の給料は固定給はまずありません。それ以前にチケットをさばくのにも大変です。その為にチケットノルマがあるのです。
ノルマによって劇場を借りる、スタッフの人件費などに充てがわれます。更に劇場の規模によってノルマの額もそれだけ違うのです。
2000人席もの劇場になれば、それだけ劇団側もお客を集客できると見込んで上演に至るのでノルマは発生しません。それだけ劇団の規模も大きくなっています。
小劇場の劇団員はギャラなし?

まず小劇場のチケットノルマが5万円位~。
自分のギャラどころではないのです。ノルマ以上を達成すればその分は自分のギャラとして自分の懐に入ってきます。
上演案内メールを知人・友人に連絡がする人が多い
メールで上演案内を送る方法は、それだけお芝居の宣伝の熱心さがメールを貰った相手に伝わりにくい為、劇場に足を運んで貰うのも一苦労。
昔ながらの出来上がったお芝居のチラシを封詰めして、メッセージを添えて郵送で通相手に出す方法のほうが熱意が伝わります。これは稽古で忙しい劇団員にとっては手間がかかることなのですけれど。
ギャラも貰えないのにどうしてお芝居するの?

ズバリお芝居が好きだから。
ギャラも出ない劇団にいるのは自分が好きなジャンルを上演している劇団で、自分も大役にも抜擢されるチャンスが大きく舞台に立つことができるからです。
これは一度舞台に立ちスポットライトをあびた者ならば、お芝居の虜になってしまうことも要因しています。
ギャラが出る劇団はある?
規模が大きくなった劇団ならばギャラがでます。
50人以上の歴史の古い劇団が主です。設立40年50年以上の劇団です。
ギャラの相場は?

最初ワンステージ5000円からです。
中には年功序列で入団したばかりの新人の人が主役に抜擢されても、ワンステージ5000円しか貰えない劇団もあります。
どの劇団でも本番のステージ回数ごとにギャラが出るのであって、稽古中のお手当ては出ません。ワンステージいくらとはそういう意味です。
文学座での劇団員の給料・ギャラは?

この劇団は荘々たる俳優を輩出しています。
故・杉村春子さん、現在活躍中の緒形拳さん、江守徹さん、角野卓造さん、渡辺徹さん、樹木希林さん、田中裕子さんなど。
文学座に准劇団員止まりで在籍する人も

正式団員になると舞台公演などに縛られてしまいます。
そのため、マスメディアの映画やドラマに出演したい人、タレントとして活躍していたい人などは准劇団員としてとどまるのです。
文学座ではメジャーデビューしていない俳優さんも多数在籍していますが、大物俳優さんのギャラでこの劇団が存続できています。
ですから、無名の文学座の劇団員でも、ネームバリューでアトリエ(稽古場)公演をする場合、常連さんが足を運んでくれます。ギャラはキャリアや端役か大役か公演期間などにより、個人個人違ってきます。
文学座の団員でも売れない時期は?
在籍劇団員が多い為、必ずしも毎回のお芝居のキャスト(役)に抜擢はされないのです。
その間は生活の足しとしてアルバイト等をしています。
ドラマや映画のオーディションに挑戦

文学座内にはプロダクションが併設されています。
そのため、ドラマや映画のオーディションを受けるチャンスがあります。
自分からはアプローチは出来ませんが、演出家からオーディション受けないかと言われればテレビ、映画への道も開かれます。
大きな劇団には後援会がある

支援してくれるその劇団のファンの方々です。
後援会の人達が全国に点在していれば全国巡演した際、大きな集客力となります。そのファンの人々が近所の人を誘って公演を観に下されば、尚更観客数アップにつながります。
2000人文化ホールも満席になります。また劇団の営業マンがその地方の商工会議所の人とつながっていて集客に一役かってもいるのです。
売れない劇団員の生活とは?
シンクがお風呂代わり
以前、マルチタレントの久本雅美さんがおっしゃっていましたが、シンクでお風呂に入ったという逸話。これは他の劇団員でも珍しくないケースです。
お風呂がついたアパートに住めば家賃が高いですし、銭湯代も節約したい時は夏ならば冷たいお水でも体をふけばいいのですし、頭もシンクで洗えば問題ありません。
更にその水道代を節約したい劇団員であれば、劇団にある湯沸場で体を拭く頭を洗う強者もいます。そこまでするのは男性が多いですけれどね。
稽古とバイトを両立

また稽古とバイトの両立している劇団員がほとんどです。
バイトは女性なら水商売が多いです。短時間で高収入だからです。まぁ、キャバ嬢もこのご時世接待で来る景気のいいお客さんも減ったのでバイト代確保にも大変なのですがね。
男性なら力仕事。日雇い建築現場、またお芝居の公演期間中お休みがとれる接客業(居酒屋、ホステスの補助)なども人気。
劇団内でバイトができる?
大きな劇団の中には自分がキャストについていない期間に稽古場見学をする人もいますが劇団内でバイトも可能な所があります。
スタッフの仕事を劇団事務所にあらかじめ申告して時給800円位などと決して高くはないです。それでも、衣装や大道具など自分が手伝えそうなスタッフを手伝ってお金を手にすることができます。
それであれば劇団→バイトの場所までの移動時間もなくなり大好きなお芝居のそばでバイトも可能ですから、とても魅力的なのです。
ギャラが月合計12万円入った劇団員の例
家賃に食費(弁当持参)、光熱費、お風呂と大変助かるととても喜んでいました。月12万円は高い方です。稽古なくみっちり本番ばかりが入っている例です。
因みにその劇団員のお弁当は必ずだし巻き卵とほうれん草ソーセージに白米のお弁当でした。これでも、かなりのご馳走なのです。
中には、パンにマヨネーズの食事やインスタントラーメンばかり食べ続けて太ってしまった劇団員もいます。
実家から劇団に通う人は衣食住が保障されていて生活苦はありませんが、家族から劇団生活の理解を得るのは今の時代でも中々難しいのが現状です。
そうした理由から、自分でアルバイトして自立して家族とは別に暮らす人が都会でもいます。
実家暮らしの劇団員のメリット
お芝居生活の期間を長く続けることができます。40歳になっても50歳になっても。
劇団の看板女優にでもなれれば芸能人なみに美肌を保ち、いざプロデューサーの目にとまりメジャーデビューできた時の準備にも備えられます。心に余裕があるのです。
デメリットは自身のメンタルが崖淵に立たされていない為、「まぁ好きなこと続けられたらいいや」位なやや軟弱な気持ちに揺らいでしまう事です。
芸能人年金の魅力
大規模劇団に入団すれば、国民年金より割のいい(受け取り時に額面が少し高い)芸能人年金に加入できるというのをご存じですか?
ギャラはろくにでないし生活が苦しいのに何故、この人達は中年になっても長年お芝居続けているのだろう?と疑問に思いませんか?
実はこの芸能人年金に長年加入していれば国民年金より割がいい為、踏ん張れるのです。
劇団員になるには?

演劇の道に入るのはいきなり劇団に入団するだけではありません。
- 劇団の俳優養成所に入って選抜されていきやがて劇団員になる。
- 選抜からもれたら別の劇団のオーディションを受ける。
- 大学の演劇科から劇団の養成所に入る。
以上のように、劇団員になる方法は人それぞれです。
収入が少ない劇団員の末路はバイト生活?
小劇場が圧倒的に多い日本。大規模劇団のギャラで食べている人は少なく劇団員を始めた当初からそもそもバイトとの掛け持ち生活がスタートしています。
若い人の演劇人口が多く、どうしても35歳くらいを過ぎるとお芝居を諦めて女性なら婚活やバイトのほうが本職になるケースも多いです。
男性なら転職して会社員になる人も結構います。社員になれる限度年齢は35歳と言われているからです。
劇団員時代は極貧生活を送っていますが周囲も皆同じ環境ですし好きな事ができているので苦にはなりません。
ただ加齢とともに自分の才能の限界に気付き年齢が高くなればなるほど、劇団員は少なくなります。
35歳をすぎてから劇団員を辞めた場合
社員狙いを考えるよりも、資格をとりその道へ進んでいる人達もいます。
介護士の資格をとり家庭ももち子供も授かり、ときどきお芝居をするスタイルをする人。こんな人も居ます。
お芝居が好きであれば劇団員をやめても、やはり完全にお芝居から離れられないので時々お芝居に参加して自分の演劇熱を実現しているのです。
自己満足の世界じゃない?

いいえ、このように演劇は夢を売る仕事。
劇団員は自分だけが気持ちよければいいのではなく、お客さんに感動してもらえれば心から嬉しいのです。
それはお金にかえられません。人としての誇りなのです。