- 溶岩の温度はどのくらい?
- どんなものでもすぐ溶ける?
噴火活動などが活発な火山はとても危険ですが、いったん活動を休止している火山は、観光地化しているところも多く、火口の様子や溶岩なども身近に見ることができます。
今回は、あまり知られていない溶岩についていろいろ調べてみました。
溶岩の温度はどのくらい?
火山噴火のニュースなどを見ると、噴火口から黒い噴煙と、赤い溶岩がドロドロ流れてくる状態がよく撮影されています。
赤い色はかなりの高温を想像させますが、具体的にはどのくらいの温度なのでしょうか?

溶岩の特徴や性質など、少し具体的にみていきましょう。
溶岩とは
火山が噴火すると、マグマが噴出して外に流れ出してきます。
この溶解物質とそれが固まってできたものが、いわゆる溶岩というものです。
噴出する前のマグマの中には水などの揮発成分を多く含んでいます。
この成分は、少しずつ火山ガスとして排出しているのですが、噴出するときに一気に減圧作用が起こり、ガスが分離するので、気孔や気泡となります。これが溶岩に多く見られる穴です。
溶岩の粘度
溶岩の硬さについては、温度と成分によって違いがあり、噴出してから時間が経つと徐々に冷却してきて固まります。
成分については、マグマの中のケイ酸成分の量が多いほど固くなります。
例えば玄武岩の溶岩であれば、ケイ酸成分が少ないため、柔らかく流動的で溶岩流も長くなります。
デイサイト質の溶岩であれば、ケイ酸成分が多いため、固くなり流出することがなく、溶岩ドームと呼ばれる隆起した形に固まります。

日本では、昭和新山や雲仙普賢岳などに見られます。
溶岩の形状

溶岩は流れながら徐々に冷えて固体化していくために、さまざまな形になります。
例えば、パホイホイ溶岩は、表面が平らでなめらかになっており、波や縄のような模様がついています。溶岩の末端によく見られる形状です。
また、溶岩が急激に冷えた場合、内部に含まれていたガスが放出されて海綿状になる場合があります。俗に軽石と呼ばれるもので、文字通り軽く、水に浮くものもあります。
軽石と似たようなもので、スコリアと呼ばれる溶岩の燃えカスができることもあります。
富士山や三原山でみられるアア溶岩は、表面が刺々しく歩きにくい感じの形状です。桜島などで見られるゴツゴツした塊状のものや、水中に流れて楕円形を積み重ねたような枕状溶岩を形成する場合もあります。
また、樹木を取り込んだまま固まるときもあります。

それぞれがまるで芸術作品のようです。
溶岩の色
噴火直後は赤やオレンジ色ですが、冷えていく過程で表面が黒くなっていきます。
一見すると、黒い平原のようですが、その下はまだ赤やオレンジ色のまま、ゆっくり流れている場合もあります。
青い溶岩?

なんとインドネシアでは、青く見える溶岩があるようです。
ジャワ島にあるカワ・イジェンというアジア最大の噴火口がある火山の溶岩ですが、昼間は日光の光で見えにくいのですが、夜になると神秘的な青色に見えるらしいです。
それは、火山性ガスに含まれている硫化水素と二酸化硫黄が冷却することで発生する硫黄が多くあり、その硫黄が燃えると青い炎になるという、なんとも珍しい現象ですね。
溶岩流も、まるで映画のワンシーンのように、青く流れていくそうです。

なんだか幻想的でロマンチックですね。
火口湖の色も、独特な黄色みを帯びた水色でこれもまた神秘的です。
そのため、観光ツアーもあるようで、世界中から観光客が訪れ、なかなか人気のスポットになっているようです。
さらに、この辺りでは、鉱山労働者により硫黄が採掘されています。
溶岩の温度はどのくらい?
映画などでよく見かけるシーンでは、赤やオレンジ色の溶岩が流れてきたあとに、全てが真っ黒になってしまうなど、かなりの温度の高さを想像させますが、実際の溶岩の温度はどのくらいでしょうか?
溶岩の温度は、それを組成する物質により、約600℃から1200℃と違いがあり、平均的な温度は約1000℃です。
例えば、流紋岩質の場合は600~900℃、安山岩質の場合は800~1000℃、玄武岩質の場合は1000~1200℃で、ハワイのキラウエア火山などは、玄武岩質のため1200℃にもなりました。
これは、噴火した直後の温度で、次第に冷えて固まってきますので、温度は徐々に低くなっていきます。
どんなものでもすぐ溶ける?
噴火とともにものすごい勢いで流れてくる赤いドロドロの溶岩は、あっという間に周りの木々を飲み込んで、真っ黒にしてしまうイメージがあります。
しかしながら、どんなものでもすぐ溶かしてしまうのでしょうか?
モノには溶ける温度がある
私たちの周りにはいろいろなモノがありますが、それぞれに耐熱温度があります。
日常生活における大抵のモノは、生活用品に関しては300℃前後、その他多くのモノに関しては1000℃までのものが多く、金属などはそれより高い温度のものが多くあります。
溶岩で溶けるもの
溶岩の平均温度は約1000℃ですので、日常生活で接しているもので、金属以外のものはほとんど溶けてしまう可能性があります。
ちなみに、鉄やチタン、プラチナなどは溶けません。ヴェスヴィオ火山で有名なポンペイの遺跡などでもパンを焼く窯や粉を挽く臼などが残っていたようです。
まとめ
今回は溶岩について簡単にまとめてみました。世界中のあちこちで、火山は今も活動しているところも多くあります。もちろん日本にも多くの火山があります。
日本の象徴である富士山もその一つ、あの美しい形は噴火してできたわけですね。自然の力は想像を絶するものがあります。
富士山は、登山が人気で、登山ルートは4つありますが、見た目の美しさだけでなく、どのルートでもしっかりした装備と、登山の知識や経験が必要なものです。
その他の火山でも、日本の場合、最近はほとんどの火山が落ち着いていて、観光地化しているところが多くあります。そのため、火口や溶岩なども身近に見ることができます。
例えば、鹿児島県にある桜島は、県庁所在地である鹿児島市にも近く、フェリーで約15分と大変便利なアクセスで気軽に行けるようになっており、観光客にも人気のスポットとなっているようです。
展望台や温泉施設などキレイに整備されていて、とても火山の麓にいるような危険な雰囲気はないのですが、全長約3㎞の溶岩なぎさ遊歩道を散歩すると、周りにゴツゴツした溶岩が身近に感じられ、独特な景色を見ることができます。
お土産に溶岩そのものや、溶岩で作ったストラップやランプシェード、香炉なども買うことができるようです。

おどろおどろしい溶岩も、なんだか親しみやすく感じますね。
最近では、昨年あたりから東京都小笠原村の西の島などあちこちで噴火が確認されたことから、一層の警戒が必要となりました。
今年に入っても、1月に草津白根山が噴火し、12人の死傷者が出たことは記憶に新しいと思います。
そして、さらにこの3月1日に鹿児島県と宮崎県の県境にある霧島連山の新燃岳が噴火しました。
火山活動は一旦停止したかのように見えましたが、また活発化しているようで、引き続き噴火の恐れがあるとして、気象庁は警戒を呼び掛けています。
今のところ、大きな火砕流などは見られませんが、灰色の噴煙はやはり不気味なものです。
近くに住んでいる人たちは気が気ではないでしょう。これ以上大きな噴火にならずに落ち着いてもらいたいものですね。
火山列島と言われる日本列島ですが、自然の脅威を感じつつも、これからもうまく共存していくことを考えていかなければならない時期に来ているようです。