• コウモリが哺乳類なのはなぜ?
  • 鳥類じゃないのに飛べる理由とは?
  • コウモリの知られざる生態とは?

皆さんはコウモリが鳥類ではなく、人間と同じ哺乳類であるということを知っていましたか?

コウモリといえば、大きなツバサを広げてバサバサと飛んでいる様子が思い浮かびますが、我々からしたらあの姿は完全に鳥ですよね…。

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コウモリが人間の仲間だなんて信じられないですよね。

 

今回はなぜコウモリは空を飛べるのに、鳥類ではなく哺乳類なのか?気になる疑問についての答えをまとめました。

 

同時に、コウモリの知られざる生態についてもご紹介していきますので、最後までごゆっくりご覧くださいね。

コウモリが哺乳類なのはなぜ?

哺乳類といえば、私たち人間や犬、猫、猿、鼠…あたりが定番かと思いますが、その中にコウモリが入ると正直ちょっと異色ですよね。

 

そもそも空を飛べるなら、明らかに鳥類の方が近い気がしますがコウモリはれっきとした「哺乳類」です。

 

その理由について、哺乳類と鳥類の定義について考えながら詳しく解説していきたいと思います。

 

哺乳類の定義とは?

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哺乳類とは、ひと言でいうと脊椎動物門哺乳綱に属している動物を総称したものです。

 

多くの哺乳類は大脳が発達しており、知能が高く、視覚・聴覚・嗅覚に優れています。また、皮膚は毛で覆われており、独立した顎や耳、様々な形の歯を持っているのが特徴です。

 

周りの気温に左右されずに一定の体温を保つことのできる「恒温動物」であるとされています。それから特筆すべきは、汗腺や皮脂腺、乳腺が発達しているということです。

 

特にメスが子を育てるために、乳腺から分泌される母乳を飲ませる生態は「哺乳類」の名前の由来となっています。

 

子といえば、哺乳類はお腹の中で子を育ててある程度発育してから出産する…という生態がありますが、これを「胎生」といいます。

 

実はこの胎生ですが、哺乳類動物が世界中に広まって生息できるようになったことと深く関係しているんです。

 

か弱い赤ちゃんは自然界ではあらゆる生物達のターゲットになってしまいますが、お腹の中にいれば安全です。この哺乳類特有の胎生のおかげで、これまで厳しい環境を生き延びることができたわけです。

 

哺乳類は現生種が約4500種とされています。

 

鳥類の定義とは?

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一方、鳥類とは脊椎動物門の鳥綱に分類される動物の総称とされています。

 

鳥類の身体は体毛で覆われており、体温を一定に保つことのできる恒温動物です。汗腺はなく、嗅覚や味覚の感覚が鈍いのですが、その代わり視覚はかなり発達しています。

 

最大の特徴は、嘴(くちばし)があることと、前脚がツバサになっていて多くの場合空を飛ぶことができるということでしょうか。(ダチョウやペンギンなど、飛ぶことが出来なくなった種も存在する。)

 

また、子どもについては卵を産んで育てる「卵生」です。

 

現生の鳥類は世界中に約8600種以上存在するとされています。

 

コウモリが哺乳類に分類されるワケ

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空飛ぶコウモリがなぜ哺乳類に分類されるのでしょうか?

 

コウモリの分類は、「脊椎動物門哺乳綱コウモリ目」です。

 

分類的には完全に哺乳類ですが、なんといってもコウモリは飛びますよね。我々人間を含む哺乳類の多くは飛ぶことができませんし、飛ぶといえば鳥類のはずです。

 

しかし、確かにコウモリは空を飛ぶことができますが、そのツバサに鳥類との違いが見受けられます。

 

鳥類のツバサは羽毛に覆われていますが、コウモリのツバサは正確には「飛膜」と呼ばれるもので、鳥の持つツバサとは性質が異なります。

 

コウモリの飛膜は、細長く伸びた前脚の人差し指から、後ろ脚の足首付近まで繋がっています。飛膜は伸び縮みする膜ですので、不要なときは小さく折りたたむことが可能です。

 

鳥類のツバサは「羽」ですが、コウモリのツバサは「膜」なのです。

 

また、コウモリは哺乳類としての最大の特徴を持っています。

 

それは、お腹の中で子を育てて直接産むことと、赤ちゃんに母乳を与えて育てることです。

 

  • ツバサを持っているとは言っても鳥類とは性質の異なる飛膜であるという点。
  • 卵ではなく子を産み、母乳を与えて育てるという点。

以上の理由から、コウモリは哺乳類に分類されるのが正解といえます。

 

確かに、そう言われてからよく見ると、なんとなくネズミっぽく見えてくるような気がします…。

 

顔なんかも、小動物みたいで可愛らしく見えてくるので不思議です。

 

鳥類じゃないのに飛べる理由とは?

コウモリが、ちゃんと哺乳類に分類される理由は分かっていただけたかと思います。

 

ただし、ここで一つだけどうしても解決できない疑問が湧いてくるかと思います。

 

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なぜ、コウモリは鳥じゃないのに飛べるの?

 

…ということで、続いては「コウモリはなぜ哺乳類なのに空を飛ぶことができるのか?」について、色々と気になる疑問についての答えをまとめました。

 

コウモリはなぜ飛べるのか?

コウモリがなぜ空を飛ぶことができるのか?については、研究者の間でも長い間議論されてきましたが、近年になって少しづつ解明されつつあります。

 

鳥類のツバサは、肩から手にかけて腱が通っており、その間は羽毛で覆われています。

 

鳥類でも種によって飛び方は異なりますが、基本的に大きな個体はツバサを大きくゆっくり可動しながら空気を掴みます。

 

一方、小さな鳥の個体は一生懸命パタパタと動かして飛び立ちます。

 

コウモリの場合は、人差し指から足首にまで繋がる伸縮可能な飛膜を駆使して飛んでいます。

 

空を飛ぶためには我々の想像以上に複雑なツバサの仕組みが必要ですが、コウモリの飛膜は長い歴史の中で上手く省エネ飛行できるように進化してきたのです。

 

飛膜は基本的にはハングライダーのように広げて飛び立つことができるようになっているものですが、伸縮性があるため微妙な調整が可能となります。

 

そのため、スピードの調整や急降下、急旋回などが可能で、もの凄く速く飛んでいても障害物にぶつからずに済んだり、獲物を狙うときも容易に捕獲することができるのです。

 

飛膜の仕組みについて

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コウモリの飛行を可能にしている「飛膜」が、けっこうすごいんです。

 

コウモリの飛膜は前脚の人差し指以降の指の間を膜が繋いでおり、そのまま後ろ脚まで繋がっています。(種によっては尾っぽまで繋がっている場合もあります。)

 

飛膜自体はゴムのように収縮する性質がありますので、普段はコンパクトに折りたたむことができます。

 

そして、いざ空を飛ぶときには指と腕を広げてハングライダーのように大きなツバサを動かします。

 

最近の研究で判明したことですが、実はコウモリの飛膜はただの皮ではなく、内部には細い筋肉がたくさん張り巡らされているんだとか。

 

そのおかげで、コウモリのツバサは微妙に動かしたり、角度をつけたり、絶妙なバランスで収縮させたりすることが可能です。

 

飛膜を大きく広げてハングライダーのように空気を捉え、さらに筋肉の微妙な動きで急降下や急旋回などの変化をつけることができるんです。

 

この繊細なツバサは、人間も「なんとか航空力学に応用できないものか?」と参考にしているほど素晴らしい仕組みなんですよ。

 

赤ちゃんコウモリはいつから飛べる?

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コウモリの赤ちゃんはいつから飛べるようになるのでしょうか?

 

コウモリは哺乳類ですので、赤ちゃんは産まれたらしばらくは母コウモリの母乳を飲んで成長します。

 

母コウモリは赤ちゃんを産んだらすぐに飛び回って餌を探さなくてはならないので、とても大変です。

 

厳しい野生の世界においては、この産後すぐの状態は捕食者に狙われやすく、非常にリスクが高い時期です。

 

したがって、赤ちゃんはすぐに自立して巣立って行かなければなりません。

 

一般的にコウモリの赤ちゃんは生後約30日で親の元から飛び立つとされています。

 

産まれてから一ヶ月で飛ぶことができて親から自立できるなんて、人間からしたら考えられない早さですよね。

 

コウモリの知られざる生態とは?

これまでは空を飛べるコウモリがなぜ鳥類ではなく哺乳類なのか?について、あらゆる疑問にお答えしてきました。

 

コウモリが自由自在に飛ぶことができる仕組みについてもよくわかっていただけましたよね。

 

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こうなったら、もっとコウモリについて知りたくないですか?

 

そんなあなたのために、さらにコウモリの知られざる生態についてまとめましたので、是非ご覧くださいね。

 

哺乳類の中でも種類が多い

実は、コウモリの種類は世界中で1000種類近く発見されているんです。

 

哺乳類全体で約4500種類といわれていますから、なんとコウモリだけで全哺乳類の4分の1を占めているわけです。

 

ちなみに日本でよく見られるコウモリは、「アブラコウモリ」と呼ばれる種で、その辺でバサバサ飛んでいるやつはだいたいこのアブラコウモリです。

 

なぜか嫌われるコウモリ

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皆さんはコウモリに対して嫌なイメージはありませんか?

 

なんとなく「不気味」、「吸血されそう」、「こわい」…。

 

昔からコウモリは忌み嫌われている対象だったりするんです。

 

しかし、1000種類近くいる種の中でも吸血コウモリはほんの一部。

 

実はコウモリが血を吸うというイメージはほとんど誤解だったんです。

 

夜行性のためなんとなく暗い印象があって、牙が鋭くて、吸血のイメージや病気の媒介がこわい…といった具合に、コウモリが嫌われるのは、人間が恐怖を感じる要素が揃っているからなんですよね。

 

確かに中には病気の媒介になる場合もありますから容易に近付くのはいけませんが、よく見ると可愛らしい見た目だったりもするのでコウモリだからといって無闇やたらに嫌わないであげましょう。

 

コウモリの超音波

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コウモリが超音波を出すことができるのは有名ですよね。

 

コウモリの鳴き声は約30000〜100000Hzで、我々の耳には非常に甲高い音として聞こえます。

 

この超音波は精密機器のような働きをしていて、飛んでいるときに障害物をいち早く察知したり、遠くにいる獲物を感知したりすることが可能なんです。

 

コウモリはなぜ夜行性?

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コウモリは夜行性って知っていましたか?

 

とはいっても、コウモリは1000種類近くもいますから中には昼間に活動する種もいます。

 

ただ、多くは夜行性で夜に活動しています。

 

なぜかというと、夜に飛んでいる蛾を主食にしているから…というのが理由の一つです。

 

コウモリは、先ほど説明した通り超音波で獲物の位置を察知して捕食しますから、夜で暗くても関係ないのです。

 

また昼間は鳥類がたくさんいて邪魔なので、誰もいない夜に活動するようになった、という説もあります。

 

まとめ

 

コウモリはツバサがあって空を飛べるのに、なぜ鳥類ではなく哺乳類に分類されるのか疑問に思っている方は多いかと思います。

しかし、それについてはコウモリが「お腹から子を直接産んで、母乳を与える」という哺乳類最大の特徴を持っていたため…であるということがよくわかりましたよね。

また、ツバサの仕組みについても鳥類とはちがって「飛膜」ですので、厳密には鳥の羽とは全く違うものです。

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哺乳類であるコウモリが空を飛べる理由についてもお話しましたよね。

 

飛膜は、コウモリが進化する過程でできた非常に繊細な働きをする「ハングライダー」と言えます。

 

コウモリの不思議な生態についてもご紹介させていただきましたので、ますますコウモリに対する興味が深まりましたよね。

 

今度からは、きっと空をバサバサ飛んでるコウモリを見たら、「同じ哺乳類の仲間なんだな…」と親近感を持って見てあげられそうですね。

 

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