宇宙飛行士が宇宙から地球に帰ってきたときには、どうなるのか色々な報告があります。

たとえば

  • カルシウムが流出して骨がスカスカになってしまうとか、
  • 重力がない環境に慣れてしまっているので筋力がなくなってしまい地球の重力では動けなくなるとか
  • 宇宙空間では大量の放射線を浴びてしまうので、宇宙ステーションにもせいぜい半年ぐらいしか滞在できない

 

そんな話の中で

  • 宇宙服を着ていない生身の人間が宇宙空間に放り出されると15秒ぐらいで破裂してしまう
  • 血液が沸騰してしまう
  • すぐに体が凍り付いてしまう

という話を聞いたことありませんか?

キャラ

宇宙が厳しい環境なことは知られていますが、本当にそんなことが起きるのでしょうか?

宇宙空間でも人体は破裂しない

https://www.youtube.com/watch?v=ySGBILVpeyg

結論から言ってしまえば、実際人体は破裂しません。また、血液が沸騰してしまったり、 すぐに凍りつくようなこともありません。

 

宇宙に投げ出された人が、爆発する、急速凍結する、血が沸騰する、というのは「都市伝説」だったのです。

 

宇宙空間に行くと人体はどうなる?

実際、宇宙空間の真空状態に生身の人間が放り出されてしまうと、血液中に溶け込んでいる気体が泡になって血管を疲らせ、減圧症になるために、深刻な障害が起こります。

 

血液中の酸素が失われると、人間はまず意識を失います。その後1、2分で死ぬと思われますが、実際の限度ははっきりしていません。

 

そして、人体は表面の水分が蒸発するため気化熱が奪われて凍りつき、それに伴って体内組織や細胞の破壊が進んでいきます。その後、表面は乾燥し、内部は凍結したままの状態で宇宙空間を漂うことになります

 

また、太陽の光を直接浴びた場合、10秒ほどで日焼けが起きます。プロテクトなしに素で浴びてしまえば。相当ひどい日焼けになってしまいます。

 

宇宙空間で太陽の光が当たるようなところでは。100度以上の高温になっている上に、大量の放射線を浴びることになってしまいます。

 

NASAの見解

これについてはあの有名なNASAも公式見解を出しています。これは非常に信ぴょう性がありますよね。

 

一部前述したものと内容が重複してしまいますが、それによると以下の通りとなっています。

「宇宙空間に生身の身体で放り出されたとしても、それが30秒程度であれば、後遺症が残ることもほとんどありません。ただし息を止めようとすると肺を損傷する可能性があります。10秒経過したあたりから、体には命にかかわらない程度の問題が生じるが、体は破裂しないし、血液も沸騰しない。やがて酸素の欠乏で意識を失い、おそらく1~2分後にあなたは死んでいるだろう。その制限時間は実際に知られてはいない。」
 

NASAが見解を出して否定するぐらいの事態になったということです。

 

つまり、宇宙空間で人体が破裂するとか血液が沸騰するいう説は、ずいぶんそれまで信じられていて、広まっていたのですね。

 

生身で真空状態に陥ったけど助かった人

「へー要するに30秒程度なら生きられるんだ~。でもそれって机上の理論ってだけで、実際のデータはないんでしょ?」って思ってしまいますよね。それが実はいるんです。

 

そのケースを紹介しますね。いずれも宇宙空間での宇宙飛行士の話ではないのですが。

 

パラシュートジャンプを行ったキッテインガー

1960年、高高度(ぼぼ真空状態)からのパラシュートジャンプを行ったキッテインガーという人がいました。

 

その人の場合は右手の加圧手袋の加圧が切れてしまったため、右手だけが真空状態になってしまいました。

 

右手は腫れてしまい、固くなって循環が止まったような状態になってしまいましたが、着陸から3時間後には腫れも引いて、正常な状態に戻ったそうです。

 

ジョンソン宇宙センターでの宇宙服テスト

1965年、ヒューストンのジョンソン宇宙センターで宇宙服のテストをしていたときのことです。

 

真空チャンバー内にいたNASAの技術者が来ていた宇宙服を偶然に真空に近い状態にまで減圧してしまったことがありました

 

記録によればその人は12~15秒で意識を失い、27秒後に圧力が元に戻った後に意識を取り戻したそうです。

 

なお意識を失う前にその人は舌の水分が沸騰していくのを感じたそうです。その後遺症か味覚を失ってしまったそうですが、4日後には回復したそうです。

 

真空状態での犬や猿での実験データ

テキサスのブルックリン基地の研究者は犬で真空状態の実験を行いました。

 

その記録によると90秒以内であれば、殆ど後遺症もなく生き延びたそうです。ただし2分にした場合は心停止で死亡してしまいました

 

犬以外に猿でも実験が行われており、猿の場合は犬よりも更に長く、3~5分間の状態から生還した例もあったそうです。

 

さすがに人間でぎりぎり何秒まで生きられるかという実験はしているわけがないですが、これらの例をみると90秒ぐらい、もしくはもっと生き延びられるような気がしますね。

キャラ

特に猿が大丈夫なら大分似ている人間も大丈夫では?というイメージもわきませんか?

そんな危険な真空状態になってしまうのに、なんで宇宙飛行士は宇宙に行けるのか?それは宇宙船もそうですが、宇宙服も大きな役割を果たしているのです。

 

宇宙服は服というより小さな宇宙船

宇宙飛行士が着ている宇宙服はこのような過酷な環境に耐えられるように、いろいろな機能を持った高性能スーツで、服というよりはむしろ小さな宇宙船といってもいいぐらいの物です。

キャラ

宇宙服の重さは、全部で約120キログラムもあります。

地球でそんな重い服着たら全く動けなくなりますのでちょっと想像がつきにくいですが。

 

宇宙服には温度調整機能がついている

服の中の温度は25度程度になっており、宇宙飛行士は胸についている切り替え装置を使って温度設定を変える事ができるようになっています。エアコンがついている服という感じですよね。

 

なんで温度調整が必要なのか?宇宙服は中の酸素を逃がさないように密閉されていますよね。その密閉されている宇宙服では、人体により暖められた空気は服の外に出られないため、なかなか熱が逃げずに溜まってしまいます。

 

それを防ぐために、チューブの中を冷却水を通して、宇宙服の中を強制的に冷却できるようになっているのです。

 

宇宙服は温度調整以外に気圧も調整し、通信までできる

宇宙服は温度調整しているだけでなく、気圧などを調整しており、生命維持装置が内蔵されています。

 

生命維持システム(Life Support System: LSS)は、宇宙服の内部気圧と温度をコントロールし、呼吸用の酸素や電力を供給する他、通信機能を提供するシステムです

 

また、外部との音声通信や心電図データ、酸素消費量などを知らせるための通信装置、宇宙服にトラブルが発生した時の警告警報機能がついています。

キャラ

本当に至れり尽くせりですよね。逆にこれだけの高機能な装備がないと宇宙へは行けないってことですね。

宇宙服を着ていれば、連続で約9時間ほどの宇宙船の外で活動できるようになっています。

 

それだけ高機能な宇宙服は非常に高価

そんな高機能な宇宙服は一体いくらするのでしょうか?宇宙服アセンブリが100万ドル(約1億円)、生命維持装置が900万ドル(約9億5千万円)で合わせて1,000万ドル(約10億5千万円)します。

 

グローブは宇宙飛行士毎に用意されますが、ひとつあたり20,000ドル(約220万円)もします。

 

これだけでも宇宙旅行には莫大な資金がかかることがわかりますね。

 

残念ながら、一般人が普通に宇宙旅行に行ける日はまだまだ来ないですね。

 

宇宙・宇宙空間について