• 浦島太郎のその後は?
  • 玉手箱を開けたおじいさんは鶴になる?

浦島太郎と言えば、ほとんどの人が知っているおとぎ話ですが、その後どうなったかご存知でしょうか。

実は、単純におじいさんになった・・・というだけではないようです。

さっそく調べてみましょう。

 

浦島太郎のその後は?

 

浦島太郎は、最近携帯電話のCMで、とても人気のあるキャラクターです。

 

CMでは、いろいろと面白い演出をしているようですが、お話のほうのその後はどうなったか覚えていますか。

 

一般的なところですと、乙姫様からもらった玉手箱を開けた瞬間に煙に巻かれて、おじいさんになったというところまでではないでしょうか。

 

実はそこから先もあるようで、なかなか面白いものでした。

 

実際に書かれている内容とともに、さっそく、紹介していきましょう。

 

丹後国風土記の結末

 

筒川村に島子というものがおり、一人で海に出たところ、三日間魚が釣れず、五色の亀が捕まりました。

 

寝入っている間に亀が女性に変わり、島子と話しがしたいとやってきたと言います。

 

一緒に女性の住んでいるところを訪れ、歓待されたうえに、男女の仲になります。

 

三年経ち、島子に里心が芽生えて、帰りたいと告げると、再会を望むなら開けてはいけないという箱をもらいます。

 

家族の消息はなく、自分である島子は300年前に失踪したと伝わっていることを知ります。

 

その後約束を忘れて、箱を開けてしまう島子。

 

何か美しい姿のものが雲を従えて、天に向かって飛び去って行ってしまいました。

 

そして、島子はもう女性には会えなくなったことを悟ります。

 

そこでおしまいであるかのようですが、このあとに二人は歌を詠みあいます。

 

この部分は、後で追加されたのではないかと言われています。

 

現代に伝わっている話よりも、今でいう手紙をやり取りできたというのは、実に平和な結末ですね。

 

日本書記の結末

 

丹後国に住んでいる浦島子は、船に乗って釣りに出かけましたが、釣れたのは大亀でした。

 

この大亀はたちまちのうちに女性になり、これを妻としました。

 

その後、海中に行き、常世の国である蓬莱山へ向かいます。

 

そこで、各地を巡り歩き、仙人たちに会います。

 

と、日本書記はここまでのようで、大変幸せな生活を描いて終わっているようですね。

 

万葉集の結末

 

水の江に住む浦島の子が魚釣りをしていて、海境に行き、海神の娘と語り合うようになって、結婚しました。

 

常世にある女性の国で生活を始めましたが、3年ののち里帰りをしたいと言いだします。

 

そこで女性は、この世界に再び戻るならば開けてはならないという箱を手渡します。

 

水の江に里帰りしましたが、3年しか経っていないと思っていたのに、家はすでになかったのです。

 

もしやこの箱を開ければもとに戻れるかもしれないと思ったので、開けたところ、白い雲がたなびき、常世に向かっていくのを見ました。

 

うろたえて叫び、地団駄を踏んでも時すでに遅し。

 

浦島の子は、気絶し、皺だらけの白髪の老人のようになり、亡くなりましたという結末です。

 

この結末は一番現代に伝わっているものに近いような気がしますね。

 

以上、ここまでは、書物に記述されている浦島太郎のその後です。

 

さらに、浦島太郎伝説が残る場所に伝わるその後もみてみましょう。

 

神奈川県横浜市に伝わる結末

 

相模国三浦の水の江浦島太夫と言う人がいて、太郎という息子を連れて丹後へ赴任しました。

 

その太郎が船で釣りをしている時に5色の亀を釣り上げます。

 

太郎が一休みしている間に、亀は乙姫に変化して、竜宮城に連れていかれ歓待されます。

 

3年後両親のことが気がかりで帰りたいと告げると、乙姫が玉手箱と観音像を渡されます。

 

丹後に帰ると、両親も知人もいませんでした。

 

通りすがりの老人に聞くと、300年前に浦島太夫の子である太郎が釣りに行ったきり帰ってこなかったという話があり、その太夫は嘆き悲しんだまま亡くなってしまったということでした。

 

そして、太郎は嘆き、乙姫との約束を忘れて、玉手箱を開けてしまいます。

 

老人になってしまった太郎は、武蔵国の白幡の峰に埋葬されている太夫を弔うために武蔵国へ向かいます。

 

苦しい旅を経て白幡に着いたときに、一本の松に不思議な灯りがともり、そこに両親の墓を見つけます。

 

この灯りは、乙姫が照らしたものとされ、太郎はこの墓のそばに庵を建て、玉手箱と観音像を奉納し、どこかへ消え去ってしまいました。

 

その数年後、太郎と乙姫が亀に乗って現れて、観音像をお守りするという言葉を残し、再び去ります。

 

その後、人々は太郎が建てた庵を建て直し、太郎を浦島大明神とし、乙姫を亀化龍女神として、観音像とともに祀っています。

 

この結末も、現在伝わっているお話の結末とは違って、幸せな結末と言えそうですね。

 

一度は離れてしまった太郎と乙姫ですが、再会して、さらにまた竜宮城へ戻っていったかのように考えられます。

 

なお、沖縄県にも神として祀られるという結末の伝説があります。

 

香川県三豊市詫間町の結末

 

竜宮城から戻ってきた太郎は、2,3年は釣りをして暮らします。

 

玉手箱を開けた白い煙は、紫色の雲となって、紫雲出山に流れていきます。

 

その山中に、上天と呼ばれている場所があり、太郎はここから天へ昇ったと言われています。

 

浦島太郎のその後は、どうやら天上の人になったのではないかと考えられそうですね。

 

玉手箱を開けたおじいさんは鶴になる?

https://youtu.be/uKyZBdmhBCw?t=85

 

実は現代に伝わっている浦島太郎の伝説が定まったのは、室町時代の御伽草子によるものとされています。

 

そこには、確かに鶴になるという記述もありますので、さっそくご紹介します。

 

御伽草子の結末

 

御伽草子から亀が登場する、現代に伝わっているお話になります。

 

亀を釣り上げた浦島太郎は、かわいそうに思い、海へ返します。

 

数日後、女性が浜にたどり着き、漂着したので本国へ連れて行ってほしいと言います。

 

この女性が先日の亀で、竜宮城についた女性は浦島太郎へ結婚を迫ります。

 

結婚して三年後、故郷へ帰りたいと言った浦島太郎に、自分が亀であることを話し、決して開けてはいけないという箱を渡します。

 

浦島太郎は、自分のいた浜辺に到着し、家族を探すが見つかりません。

 

老人に尋ねてもそれは700年も昔の話だと告げられ、絶望します。

 

その時に箱を開けてしまうのですが、三筋の紫の雲が立ち上がり、あっという間に老人になってしまいました。

 

その後、浦島太郎は鶴になり、蓬莱山へ向かって飛び立ち、女性も亀になって蓬莱山へ向かうという結末です。

 

ここで、おじいさんから鶴になるという新しい結末を見つけました。

 

同じように女性も亀になって、蓬莱山へ向かうというのは、なんだかとてもステキな結末ではないでしょうか。

 

どうやらこの御伽草子が、浦島太郎のその後を物語っているようです。

 

まとめ

 

浦島太郎の伝説は、日本各地に点在していて、少しずつその内容も違っています。

 

乙姫との出会いや、竜宮城の様子、暇乞い、玉手箱、年月の流れの違いなどは、ほぼ同じようですが、やはり玉手箱を開けてからというのが大きな違いです。

 

具体的にまとめてみると、一つは、おじいさんになってそのまま亡くなってしまうという今もよく知られているお話です。

 

次は、玉手箱と一緒にもらった観音像と一緒に神として祀られるというお話です。

 

さらにもう一つは、鶴になって天上へ向かうというお話です。

 

現実的には、おじいさんになって亡くなってしまうというのが最も自然なものですが、やはりおとぎ話は夢の世界にしておきたいもの。

 

どの結末もこの世からはいなくなってしまうというのは一致しているようです。

 

それならば、鶴になって天上へ羽ばたいていくというのが一番おとぎ話的な結末ではないでしょうか。