- 天皇はいつから実在してる?
- 現人神だから神様の子孫って本当?
天皇陛下の生前退位で、2019年4月には平成が終わり新しい元号になることが話題となっています。
天皇が日本国(日本国民)の象徴であるということは皆さん学校などで学ばれてご存知かと思います。
しかしながら、そんな天皇がいつから実在していて、どういう存在なのかということをご存知でしょうか。
ここでは、天皇がいつから実在していて、その存在がどういったものなのかをご紹介していきます。
天皇はいつから実在しているのか
現在の平成天皇(明仁天皇)は第125代天皇であります。つまり、これまでに124人の天皇がいたということになります。
では、今から124代前の初代天皇はいつ頃存在した人物なのか、その初代天皇はどのような人物だったのかについてまとめていきます。
初代天皇がいたのはどの時代なのか
初代天皇は今から約2600年前の縄文時代に存在していたと日本書紀に記されており、その名を「神武(じんむ)天皇」と言います。
しかし、近年の歴史的見解でいうとその頃は弥生時代の初期とも言われていますので要注意です。
神武天皇は実在する人物なのか
上で「縄文時代」・「日本書紀」というフレーズを見て、勘の良い方はお気付きになられたかと思いますが、神武天皇は伝説上の人物であり実在していない天皇なのです。
伝説の中では、神武天皇は九州に産まれ小さいころから頭がよくわずか15歳で天皇に即位したとされています。
神武天皇が実在したという証拠になる資料が見付かっているというわけでもないので伝説とされているのですが、古事記では137歳日本書紀では127歳まで生きていたと記されているところを見ると恐らく伝説上の人物なのでしょう。
実在する天皇はいつから存在するのか

では、伝説上の人物ではなく実在する天皇はいつの時代から存在するのでしょうか。
一説には、第9代天皇の開花天皇までは伝説上の実在しない天皇だというふうに言われています。
つまり、第10代天皇の崇神天皇からが実在する天皇だということになり、これがおよそ紀元前100年の頃とされています。
実在するといえる根拠は?
神武天皇が実在しない伝説上の人物であるということや、第10代天皇の崇神天皇からが実在する人物であるということはあくまでも諸説ある中の一説ということになりますが、崇神天皇から実在していたと言える根拠になる有力な説があります。

それは、日本書紀や古事記による記述の違いによるものです。
崇神天皇以前の天皇に関しての記述は伝説調の物語が多かったり記述自体が少なかったりするのですが、崇神天皇に関しては具体的な記述がなされているのです。
例えば、人民の戸口調査を行って「弭調(ゆはずみのみつぎ)」という獣の肉や皮革や「手末調(たなすえのみつぎ)」という絹や布といった税を民に課したということが記されているのです。
このようなことから、崇神天皇以降が実在する天皇であるというふうに言われているのです。ちなみに、この崇神天皇が課した税が日本で初めての税制度であるということも言われています。
他の説はどのようなものがあるのか
上で挙げた根拠を持って、第10代の崇神天皇以降が実在する天皇だということを述べてきましたが、歴史なのでもちろん他にもいろんな説があります。
その他の説についても一応ご紹介しておこうと思います。
初代・神武天皇から実在する説

まずは、初代の神武天皇から実在するという説です。
実は、つい最近までこの説が最有力でほとんどがこの考えに基づいたものだったのです。
しかし第二次世界大戦後、GHQによってその存在が否定されるようになり現在は一部の歴史学者によってのみ言われているということになります。
第15代天皇の応神天皇以降が実在するとする説

次に挙げるのは第15代天皇の応神天皇以降が実在するとする説です。
20世紀前半に活躍した歴史学者の津田左右吉によって提唱された説であり、第15代天皇の応神天皇以前の天皇は実在していないという学説が提唱されました。
第二次世界大戦後にはGHQの指導の下応神天皇以前の天皇の名前は歴史教科書から消されることになります。
しかしその後その説に様々な矛盾点が見付かったことから、津田左右吉の説は第9代天皇開花天皇までが実在しないとする説に変わりました。
第26代天皇の継体天皇以降が実在するという説

最後は、第26代天皇の継体天皇以降が実在するという説です、
現代の歴史学の見解として、古事記や日本書紀のなかでの6世紀以前に関する出来事の記述は根拠がなく不正確な伝説だと言われています。
そういったことから、6世紀前半に在位したとされる第26代の継体天皇からが実在していてそれ以前の天皇は実在しないというように言われるようになりました。
歴史上の出来事(特に昔であればあるほど)は常に、事実とされる新しい説が次から次へと出てくるものです。もしかしたらこれからまた実在する天皇に関して新しい説が出てくるかもしれません。
ここまでご紹介した説はあくまでも「一説」なので、どれが信ぴょう性のあるものか情報を集めて判断するのは皆さんです。
天皇は神様の子孫なのか
第二次世界大戦が終結するまで、天皇は「現人神(あらひとがみ)」というように言われていました。
現人神とは、「この世に人間の姿で現れた神」ということを意味しています。つまり、天皇≠神のような認識であったということです。
天皇が現人神となったのはいつ
天皇が神格化されていたのは随分前からの話で、例えば万葉集には「大君は神にしませば」で始まる古歌がいくつか詠われています。
しかし、近代に入るまでは天皇は国民に周知されるような存在ではなかったようです。

国民から現人神と崇拝されるようになったのは意外にも最近の話で、明治中期以降のこととされています。
大日本帝国憲法の第三条には「天皇は神聖にして侵すべからず」ということが書かれていることからも分かります。
明治維新頃、国家権力の保護により神社神道と皇室神道が結合して成立した神道として国家神道というものがありましたが、これも同じようなことを指しています。
しかし天皇が現人神として国民から崇拝されていた時代は、第二次世界大戦の終戦とともに終わりを告げます。
天皇は神様の子孫なのか
終戦の翌年1946年1月1日、日本国の機関紙である官報にて昭和天皇が「新年ニ當リ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス國民ハ朕ト心ヲ一ニシテ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ」という詔書を発布しました。
この詔書の後半部分では天皇自身が、自らは現人神ではないと発言したと解釈できる部分があります。
これを俗に「人間宣言」と言いますが、この名称は当時のマスコミや出版社が言い出したものであって、この詔書の中には「人間」であるとか「宣言」といった文言は出てきていません。
こういったことから、天皇は神様の子孫ではないということが言えるのではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。日本国の象徴とされる天皇について、特に来年は今上天皇が生前退位される節目の年にもなりますので、日本国民としては基本的な知識がある方がいいですよね。
今上天皇が第125代天皇ということで、これまでに124人もの天皇がいたことに驚きですし、それが紀元前に及ぶほど昔のことだということにも驚きます。
実在する天皇については、上でも述べたように歴史上の出来事ですからいろいろな説がありますし、皆さんそれぞれで信用できる情報を選んでください。
最後までお読みくださり、まことにありがとうございました!
神道や宗教について