- じゃがいもによる食中毒の潜伏期間は?
- 食中毒による症状の原因と続く時間は?
じゃがいもは、いろいろな料理に使われる野菜ですね。カレー、肉じゃが、丸ごと茹でて、塩とバターで、じゃがバターにしてもおいしいですよね。
しかも、意外に安いのも魅力な食材ではないかと思います。しかし、じゃがいもを食べて食中毒になる人は毎年でてきます。

実はじゃがいもは天然毒素をもっている食材です。
かなり毒素が強いソラニンやチャコニン等のアルカロイド(ステロイド系アルカロイド配糖体)の有害成分を作る植物なわけです。
今回は、じゃがいもの食中毒について、潜伏期間や症状、原因などについて調べてみました。
じゃがいもの食中毒は何が原因?
天然毒素・ソラニンとチャコニンに注意

じゃがいもの「芽」に毒があるというのはかなり知られているのではないでしょうか。
しかし、じゃがいもの食中毒の原因となるソラニンやチャコニン等のアルカロイド系の有害物質は、芽にだけあるのではないのです。
この毒素が、じゃがいもの皮や全体にまで回っていることもあるので、それを知らないで食べると食中毒になってしまうというケースがあります。
市販されているじゃがいもは、芽を削除したり、皮が緑色で有害成分を多く含んでいる状態のじゃがいもは出荷しなかったりと、対策が取られていますので、まず購入したじゃがいもで食中毒になるというケースはありないようです。
小学校での家庭菜園も危険

最近の大きな食中毒事件では、小学校で栽培したじゃがいもを、児童たちが食べて食中毒になったという例があります。
じゃがいもの食中毒が発生する場所は学校が一番多くなっています。
また最近は自家菜園で、いろいろな作物を作る人も増えていますが、じゃがいもは手軽に栽培できますので、自分で栽培したじゃがいもを食べるときも要注意です。
そして、市販のじゃがいもは普通に冷蔵庫に保存しておけば、大きな問題はないのですが、日光のあたるところに置いておくと皮が緑色になり食中毒の原因となる有害成分を作り始めます。
このようなこと知らずに、特に自分で栽培したじゃがいもを食べてしまったときに、食中毒症状を起こすケースが多いで様です。
食中毒の原因となる部位は「芽と芽の根元」ですが、それ以外にも皮が緑色になっているじゃがいもは食中毒の原因となる毒素をその全体に多く持っている可能性があるわけです。
そして、小さくて未成熟なじゃがいももその全体に食中毒の原因となる有害物質をもっています。
じゃがいもの有害物質をどのくらい食べると食中毒になるのか?
ソラニンやチャコニン等のアルカロイド系の有害物質はどのくらいの量で食中毒を起こすのでしょうか。
農林水産省の資料によりますと、体重50キログラムの大人を基準にしたとき、ソラニンやチャコニン等の有害物質を50ミリグラム接種すると、食中毒症状を起こす可能性が高まります。
また、子どもの場合は、じゃがいもの有害物質を15.6ミリグラムから40ミリグラム接種すると、食中毒症状を起こすとされています。
一般のじゃがいもの場合でも、ソラニンやチャコニン等のアルカロイド系の有害物質は含まれています。その量はじゃがいも100グラムで7.5ミリグラムです。
ただ、そのほとんどは皮周辺や光に当り緑色に変色した部分にあります。そして、ソラニンやチャコニン等の有毒物質は、熱でも分解しません。
ですので、茹でたり焼いたり、有毒物質の量は減らないといわれていますが、170度以上で調理すると分解するという報告もあります。
じゃがいもの食中毒の潜伏期間は?症状は?
じゃがいもの有害成分であるソラニンやチャコニン等のアルカロイド系による食中毒は、さまざまな症状を引き起こします。
まず、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、意識障害、痙攣、呼吸困難、無気力、錯乱、幻覚症状もでるケースがあります。非常に毒性が強く最悪の場合は死に至る可能性すらあるのが、じゃがいもに含まれる有害物質なのです。
潜伏期間は幅広く、症状が出るまで早い人で数分。中には数日後に症状が現れる人もいます。
市販されるじゃがいもを、普通の冷蔵庫に保管して食べているならばそうは食中毒にはならないのですが、自家栽培のジャガイモを食べる場合は本当に注意すべきでしょう。
じゃがいもの食中毒になったらどうすればいいの?
じゃがいもの有害物質であるソラニンやチャコニン等のアルカロイド系の食中毒になった場合は、絶対に即病院です。
よく食べる食材ゆえに、じゃがいもで食中毒というのは、中々想定しづらいのですが、異変を感じたら即病院に向かいましょう。特に子どもの場合、大人より少ない量で食中毒を発症するケースがあります。
じゃがいもの食中毒を防ぐには
じゃがいもは市販のものであれば、大きな危険はありません。ただし、日光に当たって皮が緑色に変色しているじゃがいもは購入の時点で避けるのが賢明です。
そして、保存するときには日光が当たるような場所にはおかないことでしょう。緑色のじゃがいもは全体に有毒物質がたまっています。
また、長期間の保存はしないことです。確かに日持ちする食材のイメージが強いですが、家に保管しないで、必要量を買って、どんどん消費していくほうが安全です。
芽と根本を大きめにくり抜く・皮をむく
実際にじゃがいもの物食中毒事例は、学校における自己栽培が多いですが、家庭菜園で作ったじゃがいもも、要注意です。
まず、調理のときはじゃがいもの芽とその根元は完全に大きくざっくりと削除することです。ケチケチしていると、食中毒のリスクが上がります。
そして、じゃがいもの皮は剥くことです。カレーや肉じゃがなど、皮つきのままでも調理することがありますが、食中毒を避けるならば、皮は剥いておく方が安全です。
緑色に変色したじゃがいもは、使わない方がいいですが、使うなら大きく皮を剥くこと、そして、変色していないじゃがいもでも、皮を剥いた方がいいでしょう。
小さく未熟なジャガイモは食べない
そして小さな未熟なじゃがいもは食べない方が賢明です。また傷のあるじゃがいもも、有毒物質の濃度が高い可能性がありますので避けるべきでしょう。
じゃがいもの調理については、煮ることが多いかと思います。カレー、肉じゃがなどもそうですし、トン汁の中に入れる家庭もあるでしょう。
この煮るという加熱方法では、ソラニンやチャコニンは分解しません。農林水産省の実験では150分間煮込んでも全くその量が減っていないという報告が上がっています。

揚げたり焼いたりした場合はどうでしょうか。
170度の熱で5分間上げた場合は、ソラニンやチャコニンの分解について有意な実験データは得られていません。つまり、揚げるという調理方法でも危険が残るということです。
また、210度の温度で10分間揚げるとかなり、ソラニンやチャコニンの濃度が下がることが分かっています。
オーブンを使用した場合は170度で10分間、じゃがいもを焼いた場合、ソラニンやチャコニンの濃度はかなり低下することが確認されています。
170度を境目に、じゃがいもの食中毒を起こす有害物質であるソラニンやチャコニンは分解を初めますが、焼く方が効果的であるようです。
じゃがいもの自己栽培でも気を付けること
そして、じゃがいもの食中毒は自家栽培のもので起きることが多いという点から、栽培の時点から、有毒物質を生じないような栽培方法を心掛けるべきでしょう。
太陽の光が当たらぬように、じゃがいもが土から露出しないように注意するようにしましょう。
また、十分な肥料を与えること、未成熟なじゃがいもを収穫しないこと、じゃがいもに傷をつけないように丁寧に扱うことなどが必要です。
まとめ
じゃがいもの食中毒は主に学校で栽培したじゃがいもで発生します。
また、自己栽培したじゃがいもも危険性があります。
市販のじゃがいもについては大きな危険はない形で出荷されていますが、それでも皮や芽、芽の根元は切り取ってから調理しましょう。
じゃがいもの食中毒はちゃんと注意していれば防げるものなのです。
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