- イスラム教が断食する理由は?
- 期間や断食月(ラマダーン)はいつ?
イスラム教徒は昔から断食を行う風習があります。その期間は約1ヵ月とも言われ、その期間を「ラマダーン」と呼んでいます。
しかし、これは日本にとっては馴染みのないものであり、イスラム教徒の方がなぜ断食を行うかの理由が分かりません。
ここでは、イスラム教が断食する理由やその期間、ラマダーンの時期はいつなのかについて、様々な疑問に迫ってみました。
イスラム教のラマダーン(断食月)とは?
ラマダーンとは、イスラム暦の9番目の月に、預言者であるムハンマドが髪からの啓示を授かり、神聖な月とみなされています。
そして、このラマダーンの月になると必ず行われることがイスラム教徒全ての方が「断食」を行うのです。
これは、食べ物がいかに有難いものであるのかを知るためのものであり、貧しい人達に思いを馳せる行為、そして人間の忍耐強さを身に付けるものであり、イスラムの信仰心を高めるといった、断食には奥深い意味が込められているのです。
とは言え、1ヵ月もの間、何も飲み食いしないだなんてそれはできません。実際には、日没から夜明けまでの間に食事を行います。これについては後に詳しく説明していきます。
ラマダーンの期間はいつから?
ラマダーンが行われるのは、太陰暦のサイクルと太陽暦のサイクルには差があることから、ラマダーンの日程は毎年11日ほど早まるようになっています。
そして、ラマダーンが終わったら、断食の終わりを祝う為、「イド・アル=フィトル」というお祭りが行われます。これは、断食を開始した日から29日か30日目に開催されます。
イド・アル=フィトルは、朝の祈祷から始まった後、家族や友人と共に祝宴が行われることになっています。
ラマダン期間中の注意事項は
ラマダン期間中は、お互い相手に対し、宗教に敬意を払うという気持ちを持つことが何よりも大切であると言われています。
また、イスラム教徒ではない方も、断食中のイスラム教徒の方の前で飲食や喫煙は行うべきではなく、それは礼儀であるとされています。目につく形での食事は、ある程度の配慮が必要です。
また、ラマダン期間中は、イスラム教徒の方にはアルコールは販売されません。観光客には提供されるようです。仕事は普段通りが義務付けられているものの、労働時間は9~14時で終了となります。
ラマダーンはどんな行事なの?
日本にはとても馴染みのないラマダーンとは、一体どのような行事として行われているのでしょうか?
イスラム教を信じるイスラム教徒の方々にとって、ラマダーンはお祝いごとでもあり、1年の中で最も大切とされる宗教行事なのです。
特に、家族や友人との連帯を高めるとされる時期であり、寄付やチャリティ活動などが盛んに取り行われる時期とされています。
断食にはどんな理由がある?
イスラム教徒の方々にとって、断食を行う本当の目的は、人間がアッラーに近づけるようにするためであると言われています。日常生活におけることや仕事などはラマダーンの期間中も普段通りに行われます。
しかし、特にこのラマダーンの期間中こし、道徳的、精神的な重要性を理解し、それらについての理解を深め、心身ともに集中させることが大切であると考えられているのです。
生活の中でも、見るもの、感じるもの、聞くもの全ての感覚を厳格に保ち、アッラーを祈念することに集中しなければなりません。
「断食の期間に断食を断っていながら嘘をつくことをやめない人は、断食を行う意味がない」と言い伝えられているのです。
預言者ムハンマドは、ラマダーンの期間に、貧困者や困窮者、また、病人や孤児に対しても気を配り、救済し、彼の慈悲には限りないものがあったということが古くから伝えられています。
そして、断食を行うことにより、世界のあらゆる不遇な人々の辛さや苦労に対し、慈悲の手を差し伸べることが大切であるといったことを改めて実感しなければならないと言われているのです。
これらは、自身ではなく、他人に対する思いやりや優しさ、配慮は、イスラムの徳目であるとし、断食は美徳をさらに伸ばす為のものであると考えられているのです。
断食を行う時間は?
断食は、日の出から日の入りまで、正確には、夜明け前の祈りの時間から日没時の祈りの時間までとされています。
断食が明けてすぐの食事となる良不タールには、水やジュースといった水分に、栄養価が高いと言われるナツメヤシの実、他、ゆで卵やお菓子といった軽食を摂ります。
そして、その後、揚げ物や甘いものなどを豪華にズラリと並べた料理を家族や友人と共に楽しむことになります。ラマダーンは、特例があり、小さな子供や病人、また、妊婦は断食を行わないとされています。
日没後のビュッフェ
断食が終わると、イフタールビュッフェを楽しむことができます。これらは、イスラムを訪れる観光客に対しても、ホテルやレストランで提供されます。
ホテルの中庭などを利用し、ラマダーンテントのもと、伝統料理を存分に楽しめる食べ放題のイベントです。ラマダーンの時期は、街のお店などは夜遅くまで営業しており、ラマダーンセールなどを開催している模様です。
イフタールは「断食破り」という意味です。日の出から日没まで続いた断食を終了し、家族や友人とその日初めてとなる食事を摂ります。
イフタールはイスラム教徒ではなく、異教徒でも参加可能で、みんなで仲良く分け合うといった信仰者の気持ちが温かく溢れる時間として行われます。
イルタール食とは?

イフタールは、まずは水分摂取から始めます。
特に、ローズシロップを使用した「ルーオブザ」という飲み物が人気となっています。その他、ナツメヤシ、サラダ、サモサ、揚げ物などを食べ、お腹をいっぱいにします。
その為、大量の食事をすることで断食月であるにも関わらず太ってしまうといった方もいるようです。ラマダーンの期間中は、どこの飲食店も大繁盛する時期でもあります。
ラマダーンは日本のお正月のようなもの

ラマダーンが終わると、断食が終わったことを祝うお祭りであるレバランが行われます。
レバランの前後は、多くの国で休日となることが多く、その間に礼拝に行く、また、新しい服を購入、そして、家や自身の身の周りの大掃除を行います。
その様子を想像すると、何だか日本の年末年始のような感覚になります。レバランを行う際に、お互いに贈りものを贈るといった習慣があるそうです。
レバランを行う際、色んな食べ物が振る舞われますが、その中でも特にクッキーのような焼き菓子が人気です。とにかくたくさん作り、家族で食べる、友人に分ける、そしてお客様をもてなす際もクッキーをずらりと並べるのだとか。
ヨルダンでは、デーツの飴を生地に包んで焼いた「ファッムール」という名のクッキーが主流です。インドネシアでは、鶏肉をココナッツミルクで煮たり、甘いお菓子の定番であるドドルを食べるのが主流です。
ラマダーンにより、営業時間を短縮しているお店もあれば、街ではセールを行っていたりと、日常生活への影響は多少ありますが、行事の内容を熟知していれば、この時期に旅行へ出かける観光客でも、ラマダーンの雰囲気を楽しめると思います。
日本でもイスラム教徒の方が生活されています。まずは身近なイスラムの食べ物を知ることで、異文化に接してみられるのも楽しいですよ♪
まとめ
いかがでしたか?イスラム教が断食する理由についてご紹介しました。
ラマダーン期間やレバラン、レバラン休暇はイスラム教徒の方にとっては1年に1度のビックイベントですね。
なかなか日本には馴染みのない断食ですが、他の国の異文化を知ることも重要だと感じますね。
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