- ペガサスとユニコーンの違いは?
- ペガサスとユニコーンが象徴する意味とは?
ペガサスとユニコーンの違いといわれると、ファンタジーや神話に詳しい人以外は頭をひねってしまうかもしれません。
まず現在、一般的に定着している姿形はどうでしょうか。
ペガサスは天馬ともいい、馬に翼のついた存在ですね。ユニコーンは額に長い一本の角をもった馬です。
ただ、神話の馬、想像上の馬ということで、混同してしまいがちかと思います。
今回は、ペガサスとユニコーンの違いとその象徴する意味について、調べてみました。
ペガサスとユニコーンの違い
ペガサスは神話の生き物?
ペガサスは神話の中に登場する生物です。鳥の翼を持った馬なのですが、ギリシア神話の中では、海神ポセイドーンとメドゥーサの子とされています。
海の神であるセイドーンとの子どもを、髪の毛が蛇になっているメドゥーサが妊娠していたのです。
その妊娠した状態で、英雄ペルセウスにメドゥーサが倒されます。
クビを斬られたメドゥーサの傷口から生まれたのがペガサスです。
なんとも、すさまじい物語です。古代人の物語を考える能力に驚嘆しますね。
そして、ペガサスはギリシア神話の最高神であるゼウスに認められ、雷鳴、雷光を運ぶという役割を与えられます。
そもそも、ゼウス自身が雷を象徴する神ですから、ゼウスの神獣というような位置についたことになります。
このようにペガサスは、明らかの出典の明らかな神話上の生物ということになります。
いくつ解説はあるようですが、基本的にギリシア神話の中で誕生した想像上の生物ということになります。
また、ペガサスは「霊感」を象徴します。ヨーロッパがローマ帝国に支配された時代には「不死」であったり「教養」、「名声」などの象徴となっています。
ヨーロッパにおける縁起のいい神獣という立場となっています。
ユニコーンはUMA?
そして、ユニコーンですが、元々はヨーロッパに住んでいたケルト民族の伝承に起源があるといわれています。
元々の伝承では、ユニコーンはさまざまな姿を持つ怪物のような形で伝承されていました。
今のイメージではペガサスと混同するように「馬」に一本の角がついている姿が一般的にイメージさえると思います。
しかし、ユニコーンは最初は「馬」という明確なイメージをもっていませんでした。
これは、神話という物語の中で想像上の生物として生まれたペガサスと違い、ユニコーンは現存する角のある生き物であるヤギ、ヒツジ、シカ、トナカイなどのヨーロッパで目撃できる生き物。
そして、周辺地域から存在すると伝わった、サイやイッカクなどの情報が混ざり合い、今で言うならUMAとも言うべき存在として認識されていた可能性が高いです。
UMAとは、ネス湖のネッシーや雪男やツチノコのように、まだ生存が確認できていないが、存在すると主張する人がいる未確認生物のことです。
ユニコーンは、イッカクの角が「ユニコーンの角」として扱われた歴史もあり、存在する可能性が在るのではないかと考えられた一種のUMAであったといえるでしょう。
ユニコーンの生物的特徴
ヨーロッパで実在の可能性を否定されず、伝承されてきたユニコーンには神話の中で生まれたペガサスにはない「生物としての特徴」が考察され、文章として残っています。
ユニコーンは最初は「馬」という認識ではなく、ヤギやヒツジやシカという角を持った生物の姿で紹介される時代もありました。
中には魚の尾をつけている姿で描かれてるユニコーンもあり、歴史の中でその姿が定まらなかったのも、実在が信じられたがゆえでしょう。
ヨーロッパも19世紀になるとさすがに、その存在が信じられなくなったのが、フランスの小説家のフローベールの描いた小説の中のユニコーンの姿が定着していきます。
それが、現代に伝わり「一本の長い角を持つ白馬」という姿として伝承され定着していきます。
それまでは、ユニコーンは生物上の特徴がいろいろと考えられました。獰猛でゾウ相手にも突撃するという気性の荒い生物であるという主張もありました。
また、ユニコーンの実在が信じられたのは、オリックスなど似たようなイメージの生物が実際に存在し、それを見世物としていたという歴史も背景にあったかもしれません。
また、イッカクの角などが、ユニコーンの角としてヨーロッパで取引されていたこともあります。中には、サイの角などもユニコーンの角とされて売買されたようです。
それは、ユニコーンの角が非常に価値のあるものであると、中世期のヨーロッパでは考えられていたからです。
ユニコーンの特徴である1本角は、水を浄化して、病気を治すという力があるという伝承があったため、上記のように偽ユニコーンの角が出回ったのです。
このような、偽者の存在によりヨーロッパでは、近世にいたるまで、ユニコーンの存在の可能性は信じられていた形跡があります。
そのため、ユニコーンを捕らえる方法が考えられたのですが、ユニコーンは人間の処女が大好きという特徴を持っているとされていました。
ですので、処女の娘を森の中に連れて行き、その匂いでユニコーンをおびき寄せ捕獲するという方法が伝承されています。
処女に会うとユニコーンは獰猛な性質を押さえ込み、処女のひざに頭をおいて寝てしまうというスケベな生き物だということです。
ただし、非処女が処女を偽って、罠をかけると、非処女はユニコーンに殺されるとのことです。
ヨーロッパ、キリスト教圏における処女性重視の文化的影響を受けた可能性はあるかもしれません。
ユニコーンの象徴・意味
なんともスケベな感じの生き物な感じのするユニコーンですが、ヨーロッパの文化圏では処女性が高く評価されたことから、処女を好むユニコーンは貞淑を象徴する生物となっていきます。
これは、キリスト教の処女受胎に始まる処女性の神聖化と、イエスが「神のひとり子」とされたことの類似としての1本角の生物であるということで、神聖な生き物であるという考えが出来上がっていきます。
しかし、神話を起源とするペガサスと違い、ドルイドの旧い伝承からUMA扱いとなったユニコーンは元々気性の荒い生物と考えられていたわけです。処女を好むといっても、処女でないと分かれば殺しますから。
そんなユニコーンに対してはキリスト教の7つの大罪のひとつ「憤怒」の象徴であるとする生物とも考えられました。
また、処女を好み、そのひざの上で寝てしまうという性質に対し「この生き物は道徳的にどうなの?」という考え方もでてきます。そして性的にだらしのない「不節制」の象徴となりました。
「不節制」とは欲望を理性で制御できないという意味です。この場合は特に性的な欲望を制御できないとうことになりますね。
ユニコーンは近世に入り、白馬、一本角で、処女を好む生物としてイメージが定着していきます。
ただ、ユニコーンが象徴するものは、ペガサスのように単純ではなく、いろいろな意見がでてしまっています。
これは、神話上の想像の生物であるとことが明らかなペガサスに比べ、実在の可能性が考えられたユニコーンとの差ではないでしょうか。
まとめ
ペガサスは明らかに出自が明らかですが、ギリシア神話の中で、有名な英雄ペルセウスにメドゥーサが倒されたことでペガサスが生まれたということは、あまり知られていないのではないでしょうか。
しかも、海神ポセイドーンとメドゥーサの子というのは、すさまじい設定ですね。
ただ、その後のペガサスは神獣として、かなり高貴なイメージを持つに至っています。翼を持つ白馬は、やはり美しく高貴な象徴です。
しかし、ユニコーンはペガサスのように一筋縄でいきません。
神話ではなく伝承であり、しかも実在が信じられていた歴史とキリスト教の文化が混ざり合い、非常に複雑なイメージを持つに至っています。
ペガサスとユニコーンは同じ想像上の生物で「馬」の姿をしているのですが、そのイメージや生物としての扱いはかなり違うようです。
未確認生物・UMAについて