• 栗の木につく毛虫の幼虫には毒がある?
  • クスサンの幼虫を駆除する方法は?

クスサンという蛾が大量発生すると、栗の木が一気に丸裸になってしまうと言われています。

そんなクスサンという蛾の名前を聞いたことはありますか?

見た目にはかなり大きな蛾でもあり、それほど色彩豊かな蛾ではないため、どちらかと言うと不快害虫に該当すると言えます。

 

ここでは、被害拡大を防ぐためにも、クスサンの幼虫を駆除する方法について解説します。

クスサンの幼虫には毒がある?

クスサンとは何?

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漢字では「樟蚕」と書きます。

 

クスサンとは
  • ヤママユガ科に属する蛾の仲間
  • 幼虫は成長すると身体全体が白色の長い毛で覆われる。
  • 別名「シラガタロウ」
  • 体長は約8cmという大型の毛虫

1年に1回、4〜7月に幼虫となって出現し、若齢幼虫の色は黒色をしており、集団生活しています。

 

その後、成長するとともに、葉を暴食し、その葉を糸で綴ってカゴ目状のマユを作ってそこでサナギになり、秋に羽化した成虫が卵を産み、そのまま越冬する昆虫です。

 

クスサンは、栗の木の葉を餌にし、多くの食害を起こす為、別名「クリケムシ」などと呼ばれることもあります。

 

その他、落葉広葉樹である、クルミ、クリ、トチノキ、ウダイカンバクリ、クヌギ、コナラ、サクラ、ウメ、イチョウ、クスノキなどの樹木の葉を食すなどの木にも寄生し、すべての葉を食い尽くし、大きな被害を与えるとして知られる昆虫です。

 

クスサンの幼虫の毛はとても硬く、触れるとチクチクとした痛みを感じることもありますが、この毛には毛虫のような毒性はありません。

 

クスサンとどんな暮らしの関わりがあるのか

昭和時代にさかのぼり、昭和20年代頃は、クスサンの幼虫が釣り糸のテグスを作るためにとても貴重でもあり重要な昆虫でした。

その為、栗の木に寄生しているクスサンの幼虫を見つけては、腹の中から絹糸線を出し、それを使用してテグスを作っていました。

しかし、クスサンの幼虫は昔から栗の葉を食い尽くしてしまう害虫として扱われていたため、成虫になってからの蛾が明かりに寄ってきて家の中に入り込んではその巨大な身体で飛び回り、多くの方に嫌われてきた存在です。

 

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このクスサンの成虫にも、天敵が存在します。

 

それは狸です。

 

狸は雑食性の食性を持つ為、昆虫であるクスサンを捕食します。

 

人間や動物、昆虫の世界での食物連鎖がここでも繰り広げられていることが分かります。

 

クスサンの生態

クスサンの生態
  • 日本全国、北海道から九州まで広く分布している昆虫です。
  • 成虫は7〜9月にクヌギやコナラ、クリの木が生える雑木林に生息する
  • 冬が近づくと成虫は枝に卵を産み越冬する
  • 卵を産んだ成虫はそのまま寿命を終える
  • 春になると卵から孵化し幼虫が姿を現す

もちろん、人間の生活する域の、明るいところにも飛んできます。

 

夏が終わり、冬が近づいてくると、クスサンの成虫は枝に灰褐色の平べったい卵を産み、越冬します。

 

そして、成虫は卵を産むとそのまま寿命を終えると言われています。

 

その後、暖かくなり春が訪れると、卵から孵化したクスサンの幼虫が姿を見せます。

 

幼虫の間は集団で生活していることも多いクスサンですが、成虫になると単独で生活するようになります。

そして、この幼虫の頃からすでに栄養を蓄え、繭を作り、自身が成虫になるための準備を始めると言います。

まだ小さな幼虫の頃は身体の色が黒色ですが、成長してくると腹部の側面下方が黄色に変化します

老齢幼虫ともなれば、胸腹部背面が水色になり、そのまま長毛が密生しだすようになります。

繭は葉をたくさん集めて作られ、この繭から糸を採ります。繭は糸を寄り合わせた楕円形のもので、壁面は網目状に穴が開いています。

 

その為、スカシダワラ(透かし俵)と呼ばれています。

 

クスサンの大きさは?

クスサンは成虫となると体長が11〜15cmほどになると言われています。

 

蛾の中でもかなり大きい種類であることが分かります。女性の手のひらにならひょこっと乗ってしまいそうですね。

 

これだけ巨大な蛾だと、大抵の場合、「気持ち悪い・・・」などと感じてしまうのは仕方ありません。

 

それに色も茶系をしている為、とても良い見栄えとも言えません。

 

クスサンの幼虫の餌&成虫の餌

クスサンの幼虫の餌は、栗の木の葉がメインです。

 

その他、落葉広葉樹であるクルミ、クリ、トチノキ、ウダイカンバクリ、クヌギ、コナラ、サクラ、ウメ、イチョウ、クスノキなどの樹木の葉を食すなどの木に寄生し、それらの木の葉を食べて大きく成長します。

 

成虫になると口がないため、餌は食べません。成虫になって卵を産んだらそのまま寿命を終える昆虫です。

 

その為、幼虫の間に飼育して楽しむと良いでしょう。

 

クスサンの幼虫に毒はある??

クスサンの幼虫ともなれば、見た目に長い毛が生えている為、一般的に知る毛虫のイメージを持ってしまいますよね。

 

あの長い毛に触れたら刺されるのではないか?など心配になる方も多いと思います。

 

しかし、クスサンの幼虫の身体に生えている長い毛に触れても、かぶれたりすることもなく、毒も持っていません。

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クスサンは触れても大丈夫なんですね!

触っても特に皮膚症状などが発生するという訳ではないため、安心してください。

 

ただし、クスサンの幼虫の糞については、直接触ることでかぶれる恐れがある為、安易に触れないようにしましょう。

 

クスサンが大量発生するのはなぜ?

クスサンに限って言えることではありませんが、実に、昆虫や動物界ももちろん、何かのバランスが崩れた時に、それが要因となって大量発生を繰り返すとも言われています。

 

専門家の話によると、人間による人為的な要因に加え、それぞれその時の気候の変化により、クスサンの体内に寄生するハチが生息しにくい、また、秋の産卵時にクスサンの成虫うが集まりやすいなど、様々な環境の変化により、クスサンの大量発生に結びついているようです。

同じ蛾の種類でも、毎年必ずどこかの土地で大量発生事態が起こっています。

また、別の説においては、クスサンは種そのものが絶滅危機に瀕してしまわないよう、計算されて大量発生を繰り返し、移動するといった方法を行っているのではないかと考えらているのです。

 

それにしても、あれだけの巨大な蛾が大量発生するなんて、考えただけでも何だかゾっとします。

 

幼虫のうちに駆除が追いつかなかったために、成虫としてあちらこちらで見かけることになる訳ですから、それもとても気持ち悪く、本当の不快害虫だと言えますね。

 

クスサンの幼虫は飼育できる?

クスサンは、幼虫の頃は様々な落葉広葉樹の葉を食べてどんどん大きく成長していきますが、成虫になると口を持たない為、何も食べることはありません。

 

その為、クスサンを飼育したいという方は、幼虫のころから成虫にかけて飼育を楽しまれると良いでしょう。

クスサンの幼虫を飼育する場合は、他の蝶や蛾などと同じように、餌となる落葉広葉樹の葉を瓶に敷き、その瓶を飼育ケースの中に入れてあげるだけで飼育をスタートすることができます。

当然ながら、幼虫とは言え、毎日毎日かなりの量の葉を食べ続けます。

 

その為、葉が少なくなってきたら、新しい葉と入れ替えるようにしてください。

 

クスサンの幼虫を駆除する方法は?

クスサンの幼虫の姿は主に栗の木にとても目立つと言われています。

 

大量に発生してしまうと、栗の木は裸になり、美味しい栗の実すらつかなくなってしまいます。

 

このように、クスサンの幼虫がたくさんついてしまった場合、どのように駆除を行えば良いのでしょうか?

 

効果的な駆除方法
  • 掻き落とす
  • 潰す
  • 焼く
  • 割りばしで1匹1匹摘まんで駆除
  • 薬剤を撒く

といった方法がとられるようです。

 

実際に成虫になる前に見つけた時点で即座に駆除を試みる必要があります。

 

薬剤の使用は?

また、薬剤使用については、人間の身体には無害であるとは言え、やはり薬を使用するという点において少し心配になりますね。

 

特に無農薬にこだわる農家であれば、なおさら、手作業での駆除を行っているという農家もあるようです。

 

クスサンは日本だけではなく、近隣の中国や台湾などにも多く生息している為、珍しい昆虫ではなさそうです。

 

それでも、栗の木の葉をすべて食べ尽くしたのでは、農家はやっていけません。

 

それなりの駆除対策を講じることが重要となってきます。

 

クスサンの繭の利用方法は?

クスサン 幼虫 駆除 方法

 

クスサンの幼虫は、栗の木の葉を食べ尽くす害虫として扱われていますが、実は、クスサンの繭には意外な利用法があるのです。

 

クスサンの幼虫による被害

以前、広島県の観光農園である「ラ・スカイファーム」にて、クスサンが大量発生し、栗の木の葉が食い荒らされたために、例年秋頃の期に行われている栗拾いが中止となるといった騒ぎが起こりました。

これは、栗の木の葉を餌にして食するクスサンの幼虫が原因です。

 

クスサンの幼虫はその姿形も他の幼虫などと比較しても個体が大きく、大きい為に食べる量も測りしれません。

 

その為、栗の木に寄生したら、その木の葉はすべて食べ尽くしてしまうほどです。

 

このラ・スカイファームさんでは、完全無農薬を売りとしている農園であることから、クスサンの幼虫駆除のためには薬剤の使用を避けていました。

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駆除が追いつかず、このような形で中止となってしまったのですね。

私たちからすると、当然、無農薬の方が身体にも安心ですし、小さな子供も安心して食べることができます。

 

しかし、これだけのクスサンの幼虫による被害が拡大していたのであれば、少なからず薬剤の散布を行っておいた方が・・・と思ってしまいます。

 

それでも無農薬にこだわるこちらの農園での栗拾いはチェックしておきたいものですね。

 

クスサンの繭は何に使われているの?

クスサンの幼虫は、栗の木の葉を食べ尽くし、栗拾いなどのイベントをことごとく潰しにかかってくるというとても厄介な幼虫ですが、そんな嫌われ者のクスサンの幼虫にも、意外にもいいところがあるのです!

 

クスサンの繭は、「スカシダワラ」と呼ばれています。

 

その繭を見ても、粗い目で、向こうがスケて見えるほどの繭です。

 

しかし、その繭は、繊維がとても丈夫で、手で一生懸命力任せに引き裂こうとしても、全く動じることなく破れることがありません。

 

それほどの強度を持つクスサンの幼虫からできる繭ですが、この強度を利用し、かつて昭和時代には、釣り糸として使用されるテグスの原料として扱われていたそうです。

クスサンの幼虫から繭を採るために、酢、食塩、水を混ぜた液体を作り、そこにクスサンの幼虫を入れ、身体を着ると、お腹から絹糸線が出てきます。

それを引き延ばし、乾かすとナイロンのような釣り糸になります。

 

このように釣り糸を作り、使用していたそうですよ。

 

まとめ

いかがでしたか?クスサンの幼虫には毒があるのか?また、クスサンの幼虫を駆除する方法についてご紹介しました。

クスサンの幼虫は、長い毛を持つことから、その毛に触れるとかぶれてしまったり刺さったりしそうに見えますが、実は全く毒性はありません。

また成虫になっても毒性を持たない昆虫であることが分かりました。

 

しかし、幼虫の頃は、栗の木を始め様々な落葉広葉樹の葉を食べ尽くしてしまう為、できれば早々に駆除しておきたいものです。

 

手っ取り早く薬剤を使用する方法が選択されやすいですが、栗の木ともなれば私たちが食す実がなることから、できれば人間の手による駆除方法を用いることになります。

 

個体を見つけた時は、できるだけ早く駆除を試み、焼く、潰すなどで1匹1匹の駆除を行いましょう。

 

発見が早ければ大量発生を防ぐこともできるでしょう。

 

クスサンの幼虫からは釣り糸の材料となる繭が採れる為、私たちの生活にも役立つ幼虫なのかな。とも感じますね。

 

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