• オオゴマダラが蛹になる時期と期間は?
  • オオゴマダラは羽化した姿も綺麗なの?

日本最大のチョウといわれる、オオゴマダラ。

実はこのオオゴマダラ、その大きさだけでなく、蛹(さなぎ)の時期の姿にも大きな特徴があります。

成虫になってから綺麗な姿を見せてくれるチョウはたくさんいますが、蛹の姿で綺麗だと心を奪われるほどの美しさを持つチョウはあまりいませんよね。

 

これからお話するオオゴマダラというチョウは、蛹になったときの姿が『光り輝いている』といっても大げさではないくらい、きらきらと美しい姿をしているのです。

 

どんな姿をしているのか?羽化した姿はどんな姿をしているのか?

 

オオゴマダラの蛹の姿から成虫になった姿などについて見ていきましょう。

オオゴマダラの蛹は光る?
オオゴマダラの生態とは?

https://www.youtube.com/watch?v=Qe26mqPNOqo

オオゴマダラは、日本に生息するチョウの中でも、最大級といわれるほどの大きさを誇ります。

 

翅(はね)を広げると13㎝にもなるので、かなり大きいですよね。

 

ですが、オオゴマダラは、羽化したあとの大きな姿だけが珍しいわけではありません。

 

むしろ、蛹の頃の姿の方が、とても珍しく大きな特徴といえるのではないかと思います。

 

オオゴマダラの蛹のときどんな姿をしているのか、とても気になりますが、まずはオオゴマダラの生態など、どんなチョウなのかお話していきましょう。

 

オオゴマダラってどんなチョウ?

オオゴマダラは、『大型で胡麻のように見える斑(まだら)模様のあるチョウ』という意味で、名前がつけられました。

 

日本に生息してるチョウの中では最大級のチョウで、前翅長で7㎝前後、開長(羽を広げたときの左右の大きさ)は約13㎝もの大きさになります。

 

オオゴマダラ(大胡麻斑)の生態や特徴
  • チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科マダラチョウ亜科に分類される
  • 白黒のまだら模様が特徴
    翅は白地に黒い放射線状の筋と斑点がある
  • 分布地
    日本:喜界島や与論島以南の南西諸島
    海外:東南アジアに広く分布
  • 生息地
    平地から山地
  • 食べ物
    幼虫:ホウライカガミの葉
    成虫:花の蜜
  • 季節を問わず繁殖できるため1年中見ることができる
  • 寿命
    羽化してから数ヵ月、長い場合半年ほど

生息している沖縄県石垣島市と宮古島市では市のチョウに指定されていますが、残念ながら、本州では自然の状態で見ることはできません。

 

ですが、狭い場所でも飼育しやすいチョウであるため、本州を含む日本各地の動物園や植物園などで飼育されていることが多いので、比較的お目にかかりやすいといえます。

 

オオゴマダラの大きさがわかる話

オオゴマダラは日本に生息するチョウの中でも最大級の大きさなのですが、いくら大きいといっても実際に見ないとわからないことがあるかもしれません。

 

そこで、その大きさがわかるお話をしたいと思います。よく見かけるアゲハチョウ(ナミアゲハ)を思い浮かべてください。

 

そのアゲハチョウは、通常の大きさだと前翅長5㎝、大きいものでも6㎝ほどです。

 

ここでお話しているオオゴマダラは、前翅長が7㎝前後ですから、比較してみてもオオゴマダラがいかに大きなチョウがわかっていただけるはずです。

 

オスの成虫はフェロモンでメスを引きつける

オオゴマダラは1年を通して繁殖するので、年間を通して見ることができます。

 

オオゴマダラのオスの成虫には、腹部の先に『ヘアペンシル』というブラシのような器官があり、ここからフェロモンを分泌してメスを引きつけます。

 

メスを見つけると、オスはこのヘアペンシルを広げてメスの周囲を飛び回ります。

 

そして、ホウライカガミという植物の葉に卵を産み付けます。

 

幼虫の頃の姿はとっても派手

まず、オオゴマダラの幼虫の頃の姿ですが、最初の頃は白と茶色のしま模様をしています。

 

そして、だんだん色が濃くなり白黒のしま模様になっていき、やがて、幼虫期の終わりに近づいてくると、からだの側面に赤い斑点が一列に並びます。

 

頭とお尻の部分には、黒くて細長い角が生えています。

 

オオゴマダラの幼虫の大きさは、最終的に7㎝ほどの大きさになります。

 

大きなチョウになるだけあって幼虫の頃も大きいですし、角もあって、色も黒と白と赤と派手!

 

また、角というとカタツムリのような角を想像していましたが、長い角が生えているのも、それがまたかなりのインパクトを与えてくれますね。

 

オオゴマダラの蛹の姿ってすごい!

約20日ほどの幼虫期を経て、やがて、蛹になる準備を始めます。

 

まず、幼虫は蛹になるために糸座を作ってから、お尻部分の鉤爪でぶら下がります。

 

そして、一晩のうちに蛹になります。オオゴマダラは、この蛹の姿が大変珍しいのです。

 

最初は、茶色のような色をしているのですが、だんだんと透き通るような金色に変化していくのです。

 

そして、羽化が近づいてくると、翅の色が透けて見えて蛹の色はだんだんと黒っぽい色に変化します。

 

このオオゴマダラの蛹、まさに『光り輝いている』といっても過言ではないくらい、とても輝いていますよね。

 

まるで金属のような、メタリックな感じもチョウの蛹とは思えないほどとても綺麗です。

 

オオゴマダラの蛹はなぜ金色になるの?

では、どうして、このような綺麗な金色になるのでしょうか?

 

とても、気になるところですね。

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オオゴマダラの蛹が金色に輝いている理由は、黄色い体液が満ちているため。

そして、何層もの膜が光を反射することで、輝いて見えるためだということです。

 

これは、『構造色』と呼ばれていて、タマムシのように光との屈折の関係で、実際には色がついていないのに色が見える、といった現象と同じです。

 

実際に、羽化したあとの抜け殻は、透明なんだそうですよ。

 

オオゴマダラが蛹になる時期と期間は?

まるで作り物と見間違えてしまいそうなくらい、綺麗な輝きを放つ、オオゴマダラの蛹。

 

では、オオゴマダラが蛹になる時期はいつなのか?

 

期間はどのくらいなのでしょうか?

 

オオゴマダラが蛹になる時期は決まっていない

こんなに綺麗な蛹を一度見てみたいという方もいらっしゃると思います。

 

オオゴマダラの生態についてもお話しましたが、オオゴマダラの繁殖は1年を通して可能なため、特に決まった時期や季節で蛹になるというわけではないようです。

 

ですが、蛹から羽化までの期間は、季節(気温)によって異なります。

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オオゴマダラが蛹から羽化するまでは、夏で1週間、冬は1ヵ月くらいとなっています。

日本各地に飼育している場所はありますが、オオゴマダラの蛹を見れるのはそのときの運なのかもしれません。

 

オオゴマダラは毒を持っている?

これだけ珍しい特徴を持つオオゴマダラですから、毒を持っているのでは?と思われたかもしれません。

 

からだ自体大きいですから、自分の身を守るために毒を持っているとしても不思議ではありませんよね。

 

オオゴマダラの幼虫が食べるのは、『ホウライカガミの葉』です。

 

このホウライカガミには、ピロロジジンアロカイド(PA)という有毒物質が含まれているため、鳥やほかの昆虫が食べると死んでしまいます。

 

オオゴマダラの幼虫には害がないため、また、体内にため込むことで、外敵から身を守ることができるといわれています。

 

また、幼虫のときに蓄積された毒は、蛹やチョウになっても残っています。

 

オオゴマダラは羽化した姿も綺麗なの?

 

オオゴマダラの蛹は、金色でとても綺麗な姿をしていますが、羽化をしてチョウになった姿はどうなのでしょうか?

 

蛹が金色だったから金色の羽を持っている?

 

いえいえ、生態のところでも書いたように、白地に黒の放射線状の筋と斑点がある翅を持つチョウになります。

 

蛹のときがあまりに綺麗で少しがっかりなんて方もいるかもしれませんが、大きくてとても綺麗なチョウだと感じる方も多いはずです。

 

オオゴマダラのさまざまな呼び名とは?

チョウになったオオゴマダラは、その見た目からいくつかの呼び名をつけられています。

 

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オオゴマダラは、『南国の貴婦人』、『シンブンチョウ(新聞蝶)』と呼ばれることがあります。

 

どちらも、オオゴマダラの飛び方が呼び名の由来になったそうです。

 

オオゴマダラの呼び名の由来とは
  • 南国の貴婦人
    白黒模様の羽をふわふわと動かし、ゆっくり飛ぶ姿がとても優雅に見えることから
  • シンブンチョウ(新聞蝶)
    飛び方と羽の模様が新聞紙が風に舞っているように見えることから

貴婦人と新聞紙だなんてまったく別のものなのに、オオゴマダラの飛び方を見ると、どちらも的を得ている呼び名だなという感じがしますね。

 

チョウになったオオゴマダラは人なつっこい?

オオゴマダラは飼育がそれほど難しくないため、さまざまな場所で飼育されそれを見ることができます。

 

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チョウになったオオゴマダラは、人間を避けるようなことが少ないので、逆にいうと、人間の方に近寄ってくるような人なつっこいともいえるチョウなのです。

 

また、オオゴマダラは、赤い色を好むといわれていて、赤い服を着ている人にチョウが止まることもあるのだとか。

 

チョウなのになんだかとっても意外!

 

チョウになるととても大きいので、少し驚いてしまうかもしれませんが、せっかく見に行ったのなら近くに寄ってきてもらえるとうれしいですよね。

 

オオゴマダラはどこで見れるの?

オオゴマダラの蛹の姿やチョウとなった姿、実際に見たいと思うようになってきてしまいました。

 

ご覧になっている皆さんはどうでしょうか?

 

オオゴマダラは、沖縄より南の島々に生息していますが、沖縄まで足を運ばなくても見ることができます。

 

比較的飼育が優しいオオゴマダラは、全国の動物園や植物園など大きな温室がある場所には、必ずといっていいほどオオゴマダラが飼育、展示されています。

 

お近くの動物園や植物園で展示されているかどうか、ぜひ調べて見てください。

 

神秘的!オオゴマダラの蛹のクリスマスツリー

オオゴマダラの飼育、展示を行っている動物園や植物園の中には、クリスマスの時期にオオゴマダラの蛹のクリスマスツリーを展示するイベントを行っている所があります。

 

中には、毎年恒例としている所もあるようで、とても綺麗で神秘的なクリスマスツリーを見ることができるのです。

 

オオゴマダラの蛹が金色というのを知らないお客さんは、「色を塗ってるの?」と聞いてくる人もいるのだそう。

 

「生き物に色を塗って!」とクレームを言ってくるお客さんもいるそうですよ。

 

光り輝いているような綺麗な蛹だと知らない人からすれば、色を塗っていると思うのも無理はありませんよね。

 

個人的な飼育はできる?

オオゴマダラは飼育するのは比較的簡単なので自分で飼ってみたいと思うかもしれません。

 

ですが、生息場所以外で個人的に飼ってしまうと、いつか生息地以外の場所で放すことになってしまいます。

 

ですので、いくら飼育が簡単だといっても、個人的に飼うことはおすすめできません。

 

幼虫から飼う場合、ホウライカガミの葉を用意してあげたり、湿度を保ってあげる必要もあります。

 

オオゴマダラの蛹のクリスマスツリーなど、イベント展示を行っている場所や飼育展示を行っている場所は比較的多いので、個人的に飼われるよりは動物園や植物園などに足を運んで見るのがいちばんだと思います。

 

赤いものを見につけて、ぜひ一度オオゴマダラを見に行かれてはいかがでしょうか?

 

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