- 狸・たぬきを飼うには?
- 野生のタヌキは凶暴だし飼育には許可がいる?
たぬきは昔からその個体の形は誰もが見たこともあり、ごく自然に馴染みのある動物のような気がします。
近年では、都市部に出没するなど、見た目にも愛らしい顔をしているので、ペットとしても最適なの?などと思ってしまいます。
しかし、たぬきを実際にペットとして飼育しているという方は未だ聞いたことがありません。本来、そのようなことはできるのでしょうか?
ここでは、たぬきを飼育する方法や、たぬきの生態についてご紹介したいと思います。
たぬきはどんな動物?
たぬきは哺乳網ネコ目イヌ科タヌキ属のたぬきとされています。
たぬきは昔から家畜や養殖魚が被害を受けることが多かったために、害獣指定されていたとされる動物なのです。
その性格もとても臆病だと言われています。
また、臆病な割に凶暴な面を持ち併せていることから、ペットとして飼育するには不向きな動物として知られています。
たぬきは基本的には夜行性となり、食性は雑食にあたります。その為、冬は冬眠を行うことから、秋になると身体に脂肪を蓄えるため、食欲旺盛になります。
たぬきは、農作物や養殖魚など、様々なものを食い荒らす動物であることから、農業や漁業を行う方にとってはとても迷惑な動物であると言われているのです。
最近では、ごみを餌にするたぬきも増え、山から都市部に足を運ぶ姿が目撃されています。
また、たぬきには、同じ場所をトイレとする習性を持ち、あまり衛生的ではないことから、昔から害獣指定とされている動物に区分けされているのです。
鳥獣保護法とは
たぬきは害獣指定を受けた動物ではあるものの、鳥獣保護法により、狩猟は認められる動物となります。
その為、野性のたぬきをそのまま認可なしに家庭において飼育することはできません。
タヌキの飼育を行うためには、国や自治体が発行してる正式な「生涯飼養許可」というものを申請しなくてはなりません。
しかし、実際にはたぬきを生涯飼養許可と認可してもらえることはまずありません。
また、野性以外で仮に犬のブリーダーなどといったたぬきのブリーダーが存在するのかと言うと、それもいません。
ペットショップなどでの販売実績も存在していないことから、通常はイヌやネコのような飼育は不可であることが分かります。
たぬきは人間に懐く?
これはたぬきだけに言えることではありませんが野性に生きる成獣については、まず人間になれるといったことはありません。
仮に小さな幼獣の頃から人間に馴れさせて育ててきた場合はまた状況が異なるかもしれませんが、実際には人間にはなかなか懐いてくれない動物であると言われています。
その為、仮に山などでたぬきを見かけた際は、軽い気持ちで手を出すことはやめましょう。
なぜなら、たぬきはとても臆病な性格を持っている為、もしも何かの危害が加わったとたぬきが判断した場合は、それをもって人間を自分たちの味方であると判断することは二度とありません。
イヌやネコなどの温厚な性格とはまた異なります。臆病な性格だからこそ我が身を守ろうと、攻撃的な一面を持ってしまうのだと言われています。
運よくタヌキを飼育できたら?
幼獣から育て、こまめにお風呂に入れれば、高確率で人になれ、懐くこともあるでしょう。
ですが慣れるのは世話をしていた1名であったり、家人のみであるため他人との接触には十二分に注意が必要です。
もちろん固体固体の個性や性格も反映されますが、生き物を育てきる以上の覚悟が必要となってくるのは明白です。
環境やご自分の生き物を育てるスキルなどとよくご相談の上、入手方法を検討してみてくださいね。
たぬきの生態
日本には2種類の狸が生息
たぬきは、日本国においては、北海道に生息しているエゾタヌキと、本州や四国、九州に生息しているホンドタノキの2種類が多く生息していると言われています。
その他、アナッポアイホリ、カイネホリ、ダンザといった日本人に親しまれているたぬきが生息しています。
また、たぬき「狸」という漢字は、ネコ科の動物も含め哺乳類の総称とされていました。
しかし、ヤマネコは絶滅危惧種となり、現在ではたぬきは日本国において天然記念物として指定されているのです。
都市部にも狸が出るように
最近では、たぬきが人間の住む都市部に出没し、餌もゴミをあさるなど、人間の生活の中で身近に見られるようになっています。
そのたぬきの一般的な大きさは、体長が約50〜70cm、体重は4〜6kgだと言われています。
たぬきの寿命は短くて4年ほど、長くても8年、長寿なたぬきの場合は10年ほど生きる個体も存在します。
たぬきは、そもそも日本だけではなく、中国や朝鮮半島、ロシアにも生息していました。
もとは毛皮にするため、それを取るだけの目的でロシアに移入され、それが野性化して、現在はヨーロッパ各地でも生息範囲が広まっていると言われています。
メスの個体の方が大きく
オスも育児に参加する
たぬきはその見た目から性別の判断は難しく、メスの個体の方が身体が大きいことが特徴です。
野生のたぬきを見かけた場合、オスとメスのペアでいる雰囲気であれば、身体の大きな個体がメスであると判断することができます。
たぬきは、2月下旬から4月頃が繁殖期となり、メスは60〜65日ほどの妊娠期間を経て、一度の出産で5〜13匹ものたぬきを出産するそうです。
たぬきの授乳期間は30〜40日ほどで、人間と同様、イクメンと呼ばれる父親たぬきも育児に積極的なのだそうです。
そして、その後、生後4〜5ヵ月ほどで独立し、9〜11ヵ月もすれば成体へと成長します。
たぬきは雑食であるため、どんなものでも口にします。例えば、ネズミの死骸やくだもの、昆虫なども食べます。
そして、たぬきはとても臆病で警戒心が強い為、とても凶暴で攻撃的な性格を持っています。
そんなたぬきは鳥獣保護法が認められれている動物であるが故、野生のままそのまま個体を飼育することはできないとされています。
たぬきを飼育する方法は?
たぬきは通常、野生動物である為、ペットショップなどで生体を販売していることはまずありません。
その為、野生の個体を捕獲してくる他ありません。
たぬきはイヌ科の動物です。見た目もそんなに怖い印象はなく、とても可愛らしいと言えます。
しかし、もとを考えると完全に野生動物であることには変わりありません。
その為、人間に対してはかなり恐怖心と警戒心が強く、仮に安全に保護することができたとしても、飼育して人間に懐くということはまず考えにくいです。
本来、その愛らしい姿を見ると、ペットとして飼育してみたいと思う方も少なくありません。
しかし、やはりたぬきは野生動物であるということを踏まえ、飼育は断念する方が無難であると言えます。
ここでは、たぬきの飼育方法についてご紹介します。
ゲージを準備する
たぬきを飼育するとは言え、放し飼いにすることはまずできません。
当然、室内で飼育するのも難しくなります。となると、飼育用のゲージを準備しなければなりません。
ゲージに使用されている素材は、頑丈なステンレス製のものをおすすめします。
最近では大型犬を飼育する方も多い為、ペットショップにはかなり大型のゲージが販売されていると思います。
そのようなゲージを購入してくると良いでしょう。
できれば庭先で飼育するにも、ゲージは必ず必要である為、ある程度の広さを有しているものを購入するようにしてください。
たぬきの餌
たぬきは雑食性である為、どんなものでも食べると言われていますが、だからと言って人間の食べ物を与えるわけにはいきません。
代用品として、栄養バランスが考えられているドックぐーどなどを活用すると良いでしょう。
イヌは基本的には肉食性である為、雑食性のたぬきを思うと、それに近い栄養素を摂取することができるでしょう。
このようなことから、ドックフードだけで十分な栄養は摂取することができますが、犬や猫におやつを与えるよう、たぬきにもおやつとして果物や野菜、時には昆虫などを与えるととても喜びます。
庭先でゲージ飼育していれば、自然と昆虫を口にしているかもしれませんね。
食器(エサ入れ、水入れ)
たぬきも餌を食べ水を飲みます。
イヌやネコに餌を与えることと同じく、たぬきに餌を与える際の食器や水入れなどを購入し準備しましょう。
ベッドや毛布
たぬきも人間と同様、寝床が必要です。
ここが寝る場所であるという認識を与えるためにも、ベッドや毛布などをゲージの中にセットしておくと良いでしょう。
トイレ
ペットシーツその他、すのこといったような他の床材などを準備し、トイレの設置を行いましょう。
リードやハーネス
たぬきを飼育するのもイヌの飼育と同様、放し飼いにすることはできません。
ゲージから出してお散歩に連れて出るのであれば、当然、リードやハーネスを付ける必要があります。
万一、誰かに襲い掛かるなどすると大変なことになります。その点に注意して散歩するようにしてください。
キャリーケース
動物病院に連れて行かなければならないという事態になった場合。
また、外出時の移動の際に利用するキャリーケースは必ず準備しておくようにしてください。
室温管理はどうすればいい?
たぬきはそもそも野生動物であるため、日本国においても寒暖差の激しいような場所に生息していることから、日本の気候にもかなり慣れていると言えます。
その為、飼育下において、温度管理をしっかりと行わなければならないといったこともありません。
真夏や真冬については、少し空調管理などを行ってあげると快適に生活することができるでしょう。
とは言え、それも本来そこまで必要なことでもありませんので心配はいりません。
たぬきは単独飼育が原則?
たぬきは、その自身の性質と似た動物となら一緒に共生することはできると言われています。
しかし、もとが臆病な性格であるために、警戒心が強く、それが仇となり、凶暴化してしまいます。
こういうことを思うと、他の動物と同じゲージの中で飼育するのは避けた方が良いかもしれません。
人間に懐く?懐かない?
たぬきは本来野生動物であり、人間に飼育されるといった環境で生息していません。
その為、生まれた時から野生動物であることから、頭脳もそのようなものとして生まれています。
結果的に人間に懐くといったことはまず考えられないと思っておいてください。
また、犬などと同じように、たぬきに声をかけながら手を出すと、噛みついてきたりと危険が及ぶこともあるため、注意してください。
また、動物園でたぬきが飼育されていると思いますが、それらはすでに人間と接する機会の方が多く、多くの個体は野生界での生活をしていません。
その分、すでに飼育環境に慣れてしまっていると言えることから、簡単に人間に近寄ってきます。
動物園で飼育されているたぬきは、人間は自分たちいとって一切害のない生き物であると認識している為、凶暴な個体の方が少ないとされています。
もしも母たぬきに飼育放棄されたような子たぬきを山で見かけ、運よく飼育を始めるようなことになった場合は、小さいうちから愛情を込めて育てたことで、子たぬきが人間に懐くといったことがあるかもしれませんね。
しかし、実際にはそのようなことはごく稀なことであると言われているのです。
たぬきが罹患する病気とは
たぬきが罹患する病気に多いものが「疥癬(かいせん)」と「犬ジステンパーウィルス」です。
これについては罹患の恐れがある病気であることを踏まえ、たぬきを飼育する際は知識として知っておくべきことです。
疥癬(かいせん)
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニが身体に寄生し、皮膚に強い痒みを生じさせてしまう皮膚病となります。
これに感染することで、激しい痒みが生じ、皮膚からフケのような粉がふいてきます。
現在においては、これが人間に感染するといった事例はありません。
しかし、同じたぬきへの感染は確認されている為、早急な治療が求められます。
犬ジステンバーウィルス
犬ジステンバーウィルスは、犬が罹患するものと全く同じものとなります。犬はそれ専用にワクチンが用意されている為、予防することができます。
しかし、たぬきに対してはその予防ワクチンは存在していません。その為、犬ジステンバーウィルスに感染すると、致死率が高くなります。
万一たぬきに異常が見られた場合は、他の動物から隔離するとともに、早急に動物病院を受診するようにしてください。
たぬきは動物病院では診てもらえない
たぬきはイヌにも見える動物ですが、実際には野生動物となるため、通常、動物病院での診察は受け入れてもらえない可能性が高いと言えます。
その為、もしもたぬきを動物病院で診てもらおうと思う場合は、飼い主であるあなたがいろんな動物病院を探し回る他ありません。また、当然ながら、診察は自己負担となります。
もしも保護した動物を動物病院に連れて行くとなった場合は、動物病院に連れてきた方がすべての費用を負担しなければなりません。
自分のペットでもないのに…などと思っても、保護したあなた自身の責任でもあるため、そのあたりをしっかりと考慮しておかなければなりません。
たぬきはそもそも野生動物
仮に山の中でたぬきに遭遇しても、むやみに手を差し伸べるものではありません。
弱ったたぬきを見て、見て見ぬふりはできないことは十分に分かります。
しかしだからと言って、何か手立てを考えたところで、次はあなたが危害を加えられてしまっては大変です。
そもそも野生に生きる動物であるという概念を持って、保護するべきか否かを判断する能力も必要です。
タヌキを保護した場合は届け出を出す
たぬきは野生動物であることから、もしもあなたが保護した場合は、各自治体に必ず届け出を行う必要があります。
これは、たぬきだけにとどまらず、あらゆる野生動物がこれに該当します。
また、明らかにケガや病気をしているなどという判断がついた場合は、鳥獣保護センターなどの野生動物保護施設に連絡するようにしてください。
まとめ
いかがでしたか?たぬきを飼うにはどうすればよいか?また、野性のたぬきの飼育は可能であるかについて解説しました。
野生動物であるたぬきは、臆病な性格であるがゆえ、その分、警戒心が強いことで凶暴になる可能性が高い動物であることが分かっています。
また、そもそも野生に生きている為、仮に人間に飼育されても懐くということはまずありません。
それでもたぬきを飼育するという場合は、認可を受けなければならないということ。
また、飼育の際にも様々な注意点を守り飼育しなければなりません。
たぬきはあの可愛らしい顔とは裏腹に、やはり野生動物であるという面が見受けられました。
お互いが強いストレスを感じることがない方が楽しく過ごせることも考慮し、無理にたぬきを飼育するのは避けるようにしてください。
たぬきは何も飼育しなくても、動物園でその可愛い顔を見ることができます。
たぬきをじっくり観察したい場合は、近くの動物園を訪れてみてはいかがでしょうか?
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