- カマキリの特徴から見る、オスメスの見分け方のポイント!
- なぜ、オスは交尾したら逃げるの?
カマキリが両方の鎌を上げて立っている姿を見ると、面白いような、美しいような、怖いような、不思議な印象を受けます。
また、あの逆三角の顔、長い脚なども特徴的ですよね。
カマキリは、そんな不思議な姿から、一度見ると忘れられない昆虫です。
不思議な昆虫、カマキリのオスとメスに違いがあるのを知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、カマキリのオスとメスの見分け方、交尾や産卵についてご紹介します。
カマキリの特徴から見る、
オスメスの見分け方のポイント!

カマキリは全世界で約2000種類いると言われています。
研究者によっては、1800種から4000種いると言われていて、大きな開きがあります。
特に、熱帯、亜熱帯地方で多くの種類が見られます。
日本産のカマキリとしては、オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ウスバカマキリ、コカマキリなどがいます。
カマキリのオスとメスの見分け方については、体の特徴で判断できます。
カマキリの生態と合わせて、特徴と見分け方のポイントをご紹介していきます。
カマキリの生態は
カマキリの生態やからだの特徴などについて、まずはお話していきましょう。
カマキリの大きさ

大きさは種類によっても違いますが、基本的にオスよりメスの方が大きいです。
いくつかの種類の大きさについてまとめてみました。
- オオカマキリ
オス:68mmから90mm
メス:70mmから95mm - チョウセンカマキリ
オス:65mmから80mm
メス:70mmから90mm - ヒメカマキリ
オス:12mmから15mm
メス:13mmから18mm
日本にいるカマキリで一番小さいカマキリは、ヒメカマキリになりますが、いずれの種類もメスがわずかに大きいのが分かりますね。
カマキリのお腹

お腹の部分では、オスの方がメスよりも少しスマートになります。
一匹だけ見ると、オスメスの見分けが難しいのですが、オスとメスを並べて見ると、メスのお腹はふっくらと丸みがあります。
ぼてっとしていると言ってもいいですね。
お腹の下の方が丸くなっています。

オスのお腹部分はまっすぐでスラっとして、丸みがないのが特徴です。
メスは卵をお腹にたくわえるので、その分お腹がふっくらとしているのでしょう。
こうした腹部の違いは、6齢ぐらいから目立ってきます。
カマキリのヒゲ
生殖器付近のヒゲの数でオスかメスか判断できます。

このヒゲは、尾毛(びもう)と言う感覚器官です。
腹部をずっと下に見ていきますと、先っぽの方に生殖器がありますが、その付近にヒゲが2本生えているのが見えます。
このヒゲはオスもメスもあります。
ヒゲはしま模様になっています。
ただ、オスはこの2本のヒゲの内側にさらに短いヒゲが2本生えています。
つまり、カマキリのオスはヒゲが4本、メスはヒゲが2本あります。
カマキリの翅
カマキリの成虫には、前翅と後翅があります。

前翅は細長く、後翅は扇形に広がります。
多くのカマキリは飛ぶことが苦手で、短い距離を一直線に飛ぶのが精一杯です。
特に、メスは体の作りが大きく、重いので飛ぶことはできません。
翅はもっぱら威嚇するために使われます。
一方、オスはメスと比べて体が細く軽いので、飛ぶことはできます。
野生のカマキリで飛んでいるのを見たら、それはオスということです。
見分け方の大きなポイントにもなる、カマキリの生殖器官

カマキリのオスとメスの見分け方で、一番いい方法は生殖器官を見ることです。
一番はっきりとわかります。
メスは、お尻の先を見ると突起物のような管になっているものがあります。
それは産卵管と言う卵を産む器官です。
この管から卵を産み、卵鞘と言う白い泡を出します。
オスの生殖器官は、先ほどのヒゲがついている部分を横から見ると、上下に開く口のような形になっており、その奥にあります。
これは2匹のカマキリを見比べた時に分かりやすいと思いますが、体がぼてっと丸くて、お尻の方に突起物があるのがメスということです。
カマキリの動き

カマキリは脱皮をするために、動かなくなることがあります。
脱皮前後は動かずに絶食状態になるのです。
動かないまま、脱皮に入ります。そして、脱皮した後もしばらく動きません。
脱皮後は、体が柔らかいため固まるまで動かずに待っているのです。
また、産卵直前のメスはお腹が大きくなり、動きが鈍くなります。
人間もそうですが、出産直前の妊婦さんはお腹が重くて動けないですよね。
それと同じで、お腹が大きく、重そうに動きが鈍くなっているカマキリはメスです。
なぜ、オスは交尾したら逃げるの?

カマキリのオスが交尾したら逃げていくといいますが、それには理由があります。
それは、カマキリのメスは交尾中、交尾後にオスを食べてしまうからなのです。
そのまま食べられてしまうオスもいますが、交尾後にうまく逃げるオスもいます。
カマキリの交尾、産卵について調べてみました。
カマキリの交尾、産卵はいつ?

カマキリのメスが産卵をするのが、10月ごろと言われていますので、交尾も秋ごろです。
交尾の時期のメスはとても攻撃的になっています。
交尾の後には卵を産むという一大行事が控えてますので、そのためにもたくさんのエネルギーが必要になります。
オスはメスに近づくと交尾前に食べられてしまうこともありますので、慎重に近づいて交尾を行います。
愛の行為も命懸けなんですね。
交尾中にオスを食べてしまうメスもいるそうですので、よっぽど栄養を必要としているんだなとわかりますね。
昆虫ですから、本能で生きています。
目の前にある動くものを餌として捉えるので、交尾中なら交尾しているオスがちょうど目の前にいる訳ですから、それを餌と思うのは、カマキリ界では当然のことなのです。

ただ、すべてのオスが食べられてしまうわけではありません。
うまく逃げおおせるオスもいます。
カマキリのオスは、一生で複数回交尾することが可能ですので、生き延びたオスはまた別のメスと交尾します。
ある研究では、交尾の際にオスを食べたメスは卵を多く産むという結果が出ています。
オスにとっては、メスに食べられて子孫を多く残すか、逃げ切って別のメスとさらに子孫を残すか、という2つの選択肢があるんですね。
食べられたオスは、子孫へと受け継がれる?
先ほど、ある研究でオスを食べたメスの方が卵を多く産むという書きましたが、その同じ研究で食べられたオスの栄養が、子どもたちへと受け継がれているという結果もわかっています。
何とも涙ぐましい、親の子に対する自己犠牲愛ですね。
この研究では、追跡可能な放射性アミノ酸をコオロギに注入して、カマキリのオスたちに食べさせます。
そして、その後メスとつがいにさせます。
つがいになったオスの半分は救出し、半分はメスに食べられるままにします。

結果、食べられたオスからは、90%のアミノ酸がメスにわたっていたのです。
食べられなかったオスからは、射精した時の25%がメスにわたっていました。
その後、大部分のアミノ酸がカマキリの子どもへと受け継がれていることも分かりました。
つまり、自分の体を提供して、メスや子どもたちに栄養を与えているのです。
自然が生み出した子孫を残すための本能なのでしょうが、驚きの自己犠牲システムと言えますね。
交尾後のメス
交尾を終えたメスは卵を産みます。
草の茎や木の幹に逆さまに止まって、お尻から白い泡を出しているカマキリがいたら、産卵しているメスのカマキリです。
この白い泡は卵鞘と呼ばれ、中には150から200個の卵が入っているそうです。
そういえば、小さいころ家の庭で木の枝や草にくっついてる白い泡を見たことを覚えています。
あれは、カマキリの卵だったんですね。
また、卵鞘は、卵を守る役割をしています。
クッションのように外からの衝撃を防いだり、寒さからも守ってくれ、また、炎にも強いと言われています。

畑の野焼きの後、黒焦げになった卵鞘から卵が孵ったという記録もあるそうです。
本当に動物や昆虫の生き残るための知恵は、びっくりさせられるものが多いですね。
カマキリは多産?
卵鞘によって冬の寒さから守られている卵は中で成長し、4月から5月で孵化シーズンを迎えます。

カマキリの寿命は1年ですが、メスはオスより長生きします。
特に、交尾時期の10月以降は、メスばかりが見られるようになります。
メスは種類や餌の状況にもよりますが、一生で2~3回産卵することができます。

多くて5回産卵するということも言われています。
カマキリって、多産な昆虫なんですね。
まとめ
カマキリのオス、メスの見分け方を紹介しました。
調べてみると、人間と共通する部分もあり、興味深いですね。
これからカマキリを飼おうと思っている方は、オスとメスを一緒に飼う時には注意して下さい。
カマキリについて!