- オオミズアオは絶滅危惧種?近縁種の間違い?
- オオミズアオの幼虫がかわいい&珍しいと話題?
- オオミズアオの成虫は寿命が短い
蛾というと茶色のイメージがありますが、オオミズアオはそんな蛾のイメージを覆す、とてもきれいな色をした蛾です。
大変大きな蛾でもありますが、幼虫の頃の姿も可愛い&珍しいと話題って本当なんでしょうか?
オオミズアオは、きれいな翅(はね)の色が大変目をひきます。
なかなか見慣れないという方の方が多いかもしれませんが、よく見かけるような茶色い蛾に比べると、その綺麗さからどこか神秘的な雰囲気を感じさせてくれます。
オオミズアオは絶滅危惧種?近縁種の間違い?
オオミズアオは、チョウ目のヤママユガ科に分類される蛾の一種。
また、青白くきれいな見た目をしていますが、成虫の前翅長は80~120㎜とかなり大きな蛾なので、実際に目にしたら少し引いてしまうくらいインパクトがあります。
- ヤママユガ科に分類される蛾の一種
- 分布地
日本:北海道から九州
国外:朝鮮半島、中国、ロシア南東部 - 生息域
平地から高原まで広くに生息する - 大きさ
成虫の前翅長:80~120㎜
幼虫:70~80㎜ - 翅の色
青白色 - 出現する時期
幼虫:4~8月頃
成虫:初夏と夏の頃の2回
冬は蛹(さなぎ)のまま越冬する - 食べ物(幼虫期)
モミジ、うめ、サクラ、リンゴなどのバラ科、ブナ科、カブノキ科、ミズキ科など多くの樹木の葉
成虫になってからは食べない - 寿命
約1年
成虫になってからは1~2週間ほど
オオミズアオは個体数も多く、また、サクラの葉を食べるので、都心のビル街の街路樹などで見かけることもあります。
街灯など灯火に飛んできては、大きな翅をバサバサさせる姿も見られます。
からだが大きいので、バサバサしている姿は迫力がありそうです。
そんなオオミズアオですが、「絶滅危惧種では?」といわれることがよくあります。
大きくてきれいな色をしているので珍しいと思われるのでしょうか?
近縁種であるオナガミズアオが準絶滅危惧種
オオミズアオは、それほど珍しい種類の蛾ではないのですが、なぜ絶滅危惧種では?といわれることが多いのでしょうか?
大きさや見た目のきれいさなどもあると思いますが、近縁種であるオナガミズアオの存在も関係しているようです。
オオミズアオとオナガミズアオ、名前も似ていますが、その姿も大変似ていて外見での区別もなかなかつきづらいほど。

実は、このオナガミズアオが準絶滅危惧種に指定されているのです。
絶滅危惧種ではなくて、『準絶滅危惧種』です。
オオミズアオは、オナガミズアオと見た目も名前も大変似ていますから、そのためオオミズアオが絶滅危惧種では?と言われ、よく間違われることが多いのではないでしょうか?
オオミズアオとオナガミズアオの区別は難しい
オオミズアオとオナガミズアオを並べてみても、パッと見る限りではあまり違いを感じることはできません。
翅(はね)やからだの色や触角などが違うように見えますが、大きく違うと感じるわけではないので、「個体差でしょ」、「オスメスで違うんじゃない?」くらいにしか感じてしまうほどです。
実際に判断する場合、各ポイントに当てはまらない個体もいますので、いくつかの比較ポイントを1つのポイントだけで判断するのではなく、総合的に見て判断すべきといわれています。
では、オオミズアオとオナガミズアオの比較ポイントを見てみることにしましょう。
- からだの大きさ
オオミズアオ:大型
オナガミズアオ:小型
オオミズアオの方がオナガミズアオより一回り大きく、尾も長い - 翅の色
オオミズアオ:色が濃い(青緑~黄色っぽい)
オナガミズアオ:やや半透明で薄いようにも見える(青緑~青白色っぽい) - 翅頂
オオミズアオ:全体的に丸みを帯びている
オナガミズアオ:先が尖っていて外縁に丸みを帯びない - 後翅眼状紋(後翅にある目のような模様)
オオミズアオ:楕円形~丸形
オナガミズアオ:円形~より膨らんだ円 - 前翅前縁(顔に近い方の内側の縁)
オオミズアオ:白地に赤色が混ざっている
オナガミズアオ:色が鮮やかで、前半分が白色をしている - 後翅の外横線
オオミズアオ:波打っている
オナガミズアオ:直線的 - 触角
オオミズアオ:黄色で大きい
オナガミズアオ:緑色で小さい - 止まり方
オオミズアオ:翅を広げるようにして止まる(平たく止まる)
オナガミズアオ:後翅眼状紋を隠すように前翅を立てて止まることが多い
言葉だけで見るとわかりづらいかもしれませんが、実際に見比べたときもよーく見ないとわかりづらいような比較ポイントに感じてしまいますね。。。
オオミズアオの出現期は2回あり、春型と夏型という言い方をされますが、その時期によっても色や翅の形などの違いもあるようです。
となると、ますます判断に困ってしまいそうですが、先ほど挙げたポイントだけで見ますと、触角の色や後翅眼状紋の違いがわかりやすいかなという気もしますが、どうでしょうか?
ほかには、止まり方にも特徴があるので、こちらもわかりやすいポイントになると思います。
また、オオミズアオは、生態のところでも挙げたように、広食性でさまざまな樹木の葉を食します。
ですが、一方のオナガミズアオは、ハンノキの葉しか食べません。
こういったことが個体数の少なさに影響しているのでしょうね。
ハンノキの林が近くにない場所で見かけたときは、オオミズアオの可能性が高そうです。
オオミズアオの幼虫がかわいい&珍しいと話題?
蛾が苦手という方も多いと思いますが、オオミズアオの幼虫がかわいいとか珍しいと話題になっていると聞きつけ、調べてみることにしました。
- 終齢幼虫の大きさ:70~80㎜
男性の人差し指くらいの長さ - 色:緑色
蛹になる直前には茶色になる - からだに節があり、節ごとに毛の束(刺毛)が少し出ている
動画を見てどうでしたか?
かわいらしいと感じないわけではないですが、率直な意見をいいますと、それほどかわいいとは思いませんでしたが、かわいいと感じた方もいると思います!
ただ、毛(刺毛)の感じ、サボテンみたいでそこはかわいいと感じてしまいました。(個人的な意見です)
ちなみに、毒はありませんが、刺毛に触れると軽い炎症を起こす場合がありますので、その点はご注意ください。
また、珍しいかどうかという点では、それほど珍しくないですね。
オオミズアオは個体数も多いですし、成虫よりは見つけるのは大変かもしれませんが、幼虫もからだが大きいので探そうと思えば見つけるのもそれほど難しくないでしょう。
こちらも、準絶滅危惧種であるオナガミズアオの影響があるのかもしれません。
成虫のオオミズアオの方が話題かも

成虫になってからのオオミズアオの方が「きれい」「かわいい」など、話題になっていることが多いようですよ。
大きさはあるものの、青白色の翅は大変美しく目をひきます。
どこか神秘的で、蛾とは思えないくらいのきれいな姿をしていますよね。
以前の学名は、ギリシャ神話に出てくる月の女神『アルテミス』だったことからも、オオミズアオがどれほど美しいかがわかりますね。
また、モフモフしているところ、くりくりした目。
これはけっこうかわいいポイントになっているのでは?
実際に見るには近づいたりじーっと見たりするのは少々気が引けてしまうかもしれませんが、画像で見る限りとてもかわいさが伝わります。
話題になるのもわかりますね。
オオミズアオの成虫は寿命が短い
オオミズアオの寿命は約1年というお話をしましたが、蛹(さなぎ)から羽化をして成虫になったオオミズアオ、それからどのくらい生きられると思いますか?

オオミズアオの成虫は約1~2週間しか生きられません。
とても短いですね。
1~2週間の間に、相手を見つけて子孫を残さなければいけないなんて、大変なことだと思います。
オオミズアオの成虫が短命なわけ
オオミズアオの成虫は、どうしてそんなに短い命なのでしょうか?

オオミズアオの成虫は、口が退化しているために食べることができません。
これは、オオミズアオだけ特別なことではなく、ヤママユガ科の蛾のほとんどうがそうで、口が退化します。
食べることができないので、幼虫の頃に蓄えた養分で行動するということになります。
オオミズアオの飼育はできる?
かわいいとかきれいとか話題性もありますし、オオミズアオを飼ってみたいと思う方もいるかもしれません。

飼育できるか?できないか?といえば、飼育することは可能です。
幼虫を見つけることもそれほど難しいことではないと思いますので、幼虫から飼育するということもできると思います。
寿命が短いのでおすすめはしません
オオミズアオの飼育はできますが、先ほどお話したように、羽化して成虫になってからは1週間、長くても2週間くらいしかいきることができません。
せっかく成虫になったのに、狭いケースの中で一生を終えてしまうのも可哀想ですよね。
また、口が退化しているので、食べ物を与える必要もなくなります。
飼育自体はあまりおすすめはしませんが、もしも飼育するのであれば、幼虫の時期に飼育してみるのはどうでしょうか?
卵から成虫になるまでは1年ほどの期間がありますし、食べ物となる樹木の葉も、比較的手に入れやすいはずです。
オオミズアオ(幼虫)の飼育法
オオミズアオの幼虫の飼育について、もう少しお話しておきましょう。
オオミズアオは、成虫になってからは食べることはできませんが、幼虫の頃にはいろいろな種類の葉を食べます。
- モミジ、うめ、サクラ、リンゴなどのバラ科
- ブナ科
- カブノキ科
- ミズキ科
比較的、手に入れやすい種類の樹木ではないでしょうか。
これらの種類の樹木の葉を中心に食べますが、これら以外の種類の木の葉も食べることもあります。
実際にバラ科やブナ科などの樹木以外の木から幼虫が見つかったこともありますので、そのような場合は幼虫を見つけた木の枝(または葉)を採ってあげても大丈夫です。
これからの木の枝を手に入れたら、ビンなどに活けたり、水を含ませたティッシュやキッチンペーパーをアルミホイルに包んで、飼育ケースに入れておきましょう。
また、オオミズアオの幼虫は最終的にかなり大きくなるので、大人の人差し指くらいの太さにまで成長します。
当然大きくなると、食欲も旺盛になります。
1~2日おきにはエサを用意しないと追い付かないというということもあるので、葉っぱが少なくなってくる秋頃(10月頃)の調達には注意が必要になることもあります。
加えて、蛹になるときにも落ち葉が必要になるので、蛹になりそうなくらい大きくなったら(終齢幼虫になる頃)多めに落ち葉を入れて備えてあげるといいですね。
オオミズアオが蛹になるときは緑色だったからだが茶色にだんだん変わってきますが、いつ蛹になるかどうかのタイミングは事前に知ることが難しいので気をつけましょう。
そして、成虫になったら外に放してあげるのがいちばんいいのかな、と思います。
1年近くいっしょにいれば愛着もわいて離れにくくなってしまうかもしれませんが、成虫になってからはあまり長く生きられません。
また、繁殖や残り少ない時間を狭いケースの中で過ごすことを考えると、外に出てのびのびと過ごせた方がオオミズアオらしくさせてあげられるのではないでしょうか。
それまでは、愛情たっぷり注いであげてくださいね。
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